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高齢者の運動指導、体力測定について

こんにちは。渋谷、大宮、岐阜にてパーソナルジムSharezを運営している岡崎秀哉(@hide_sharez)です。

このnoteでは、パーソナルトレーニングに関する情報や、フィットネス業界に関する情報など幅広く発信しています。

今回は、高齢者の運動指導に関する内容をお届けします。
とある運動施設で高齢者の運動指導をする機会がありました。しかし、参加者の属性がハッキリ読めず、内容は全てこちらに委ねられているという状態だったので、推測しながら内容を考えていく必要がありました。
その際のことを振り返りながら、高齢者の運動指導において実際に実施したこと、や考え方などについてまとめていきたいと思います。(具体的な指導内容などについてはまたの機会にまとめます)

1.年齢と健康

まずは、高齢者の運動指導をするにあたって、年齢と健康に関する基礎情報を整理しておきましょう。

・筋肉量は何もしないと20歳をピークに減少する

「サルコペニア」という言葉もあるように、加齢によって筋肉量は低下していってしまいます。これらに抗うためにも運動は必要だし、栄養にも気を遣う必要があります。

・40代から骨量は低下する

筋肉量に目が行きがちですが、骨量も低下していきます。加齢によって、筋肉や骨など運動器の機能が低下し、人の助けが必要になってくることを「ロコモティブシンドローム」と呼んでいます。

また、運動面だけでなく、疲れやすくなったり、病気になりがちになったり、加齢によって虚弱体質になっていくことを「フレイル」と言います。

この辺りのものが高齢者、加齢に伴う健康に関するキーワードについての概要です。
厚生労働省の高齢者の健康や体力に関する調査によると、「高齢者の運動頻度、運動時間と体力は相関性がある」というデータがあり、やはり上記の問題を防いでいくためには運動が必須であることが言えます。(これは高齢者に限ったことではありませんが)
また、昨今の健康ブームもあり、数年前と比べると、高齢者の体力レベルは向上してきていますが、高齢者の健康に関する課題はまだまだあります。
そういった意味で、我々トレーナーの存在の重要性も感じます。

2.体力測定の意義

僕は高齢者の運動指導をするにあたって、「体力測定」が大切だと考えています。全世代で重要なのですが、例えば、若者でダイエットをしたい人にとっては、体力の数値よりも体重の数値や見た目の方が重要です。
しかし、高齢者の場合、見た目よりも健康に重きを置いている場合が多いですし、もちろん楽しく運動していただくことは大切ですが、ただ楽しいだけであれば自分以外にも指導者はいると思います。
健康に対して、専門性を活かした指導や正しいものを提供しようと思った時に、評価は必要になってきますし、それがある程度定量的なものであるに越したことはないと考えています。
また、上記で記載したような年齢によるフィジカルの問題を予防改善していくためにも、数値化し、成果を可視化しながら進めていくことが必要だと考えています。
さらに、今回のように参加者の事前情報がない場合、初回は探り探りにどうしてもなってしまうので、できるだけ初回に参加者に関する情報を取得し、次回以降、できるだけ参加者に合わせたプログラムを設計するためにも必要だと考えています。

3.体力測定を行う際に考えること

今回の高齢者の指導における人的、環境的条件としては以下の通りです。

・1人で行う
・予算がかけられない
・参加者の体力レベルが読めない
・場所は体育館
・与えられた時間は1時間

なかなか厳しい条件でしたが、手軽さ、再現性などを加味し、僕は以下の体力テストを実施することにしました。

4.高齢者の体力測定の内容

今回の測定では

・2ステップテスト
・閉眼片足立ち
・上体起こし
・長座体前屈
・椅子立ち上がりテスト

の5種目を選定しました。
まず、5種目にしたのは手軽さと時間の関係です。次にそれぞれ選定理由を記載します。共通する点としては、まず安全性が高いこと、さらにこれまで多く実施されていて数値が出回っていたり、これくらいできると良い、これくらいできないとまずい、などの目安となる数値もあるので、測定した結果をベースにプログラムが組みやすいという点があります。

4-1.2ステップテスト

これは名前の通り、大またで2歩歩きます。その距離を身長で割って出た数値を「2ステップ値」とします。数値が高いほど良いということです。
下半身の可動性、筋力をチェックする種目として選定しました。2回測定し、良い方の数値を採用します。
ロコモティブシンドロームのチェック種目としても扱われており、どれくらいの数値が良いのか?などの目安がわかりやすく、メジャーを置くだけで実施できる手軽さが魅力です。

4-2.閉眼片足立ち

これは定番のテストですが、バランス機能をチェックします。
バランス機能は転倒などとも関係があるので重要な機能です。左右2回ずつ、何秒間できるか測定し、良い方の記録とします。
比較するための測定データも多く存在しますし、ストップウォッチ、タイマーさえあれば、どこでも手軽にチェックできるので採用しました。

4-3.上体起こし

この種目はスポーツテストで行われるので定番ですが、体幹部を中心とした全身の筋力、持久力をチェックします。30秒間で何回できるかを記録します。体力の消耗具合、回復具合で1回か2回実施します。
こちらも比較するための測定データが多く存在しますし、2人1組で行うことで参加者のコミュニケーションにもなり、特に道具もいらないので採用しました。

4-4.長座体前屈

この種目もスポーツテストで行われるので定番です。身体の背面の柔軟性をチェックします。2回実施し、良い方を記録します。
測定するための棚のようなものは必要ですが、すぐに自前でも作成できますし、比較するための測定データも多く存在しますし、安全性も高いので採用しました。

4-5.椅子立ち上がりテスト

30秒間で椅子から何回立ち上がれるかを記録します。下半身の筋力、筋持久力を測定します。体力の消耗具合、回復具合で1回か2回実施します。
高齢者の体力の指標として、下半身の筋力は重要な評価ポイントですが、なかなか手軽かつ比較するためのデータがある種目が少ない中で、再現性も高いので採用しました。

5.まとめ

今回は、高齢者の運動指導における体力測定について記載してきましたが、いかがでしたでしょうか?
もっと専門的な測定をする専門家の方もいらっしゃると思いますが、まだ現時点ではそこまでコストもかけられない部分もあるので、現状の内容をベースに時間や環境が許せば新たな項目も追加する、というイメージで進めています。これらを測定し、プログラムを実施し、成果を見ていくことで、非常に有効なデータの蓄積にもなります。
測定も含め、良いものを提供できるように引き続き頑張っていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
お気づきの点や感想、疑問点などお気軽にいただければと思います。



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