時を経た愛おしさ かわいい柄の韓国土塀の前で想うこと
みなさん、土塀はお好きですか?
私は大好きです。
日本でも、古い町並みの中で今にも砂に戻りそうな土塀を見つけるとかなり嬉しく、かなりヒヤヒヤします。生まれ育った地元がまさにそんな風情の町なのもあって、土塀を見るとなんとも言えないエモーショナルな気持ちになります。
韓国の美しい模様の土塀
韓国では「徳寿宮」という、元々は朝鮮時代に王族が住んでいた邸宅であり、朝鮮時代中期には王の宮殿としての役割を果たした古宮を訪れました。
広大な敷地に鮮やかな歴史的建造物、その先には都会の高層ビルが見える様子から、東京の明治神宮、奈良の平城宮跡と同じバイブスを感じたりも。
真夏の日差しが暑すぎてサラッと見て周る感じでしたが、今回韓国旅に誘ってくれたプロ韓国愛好家のEさんとも「土塀の模様が好き!」という意見が一致して、土塀界隈はじっくり見物しました。
地面の階段に沿って、塀の模様も段々と変化が付けられているこの表情。規則があるようにも、無いようにも見えるこの感じが、素晴らしい塩梅で美しさを醸し出しています。美しさとは平均律では無い!とインドの古典音楽声楽家の巨匠も力説していました。
この言葉は「美しさとは」という問いに対する、最強の答えだと私は思っています。
この塀も、仕上がりサイズから逆算して埋め込みの装飾に使う石のサイズをキッチリ均等なサイズで仕上げたならば、きっとこの風情は出ないでしょう。
門の写真の右上に映り込んでいる都会のビルはまさに平均律でデザインされています。ビルと塀とを比べると、その美意識に違いがあることは歴然です。
美しさとは平均律では無いんです。
割り切れないところに美しさがあるということです。
池も良い意味で飾り気が無くて良い。
エフェクト、加工、補正、AI、アバターなどなど。ツルンとした不自然な美しさが拡がる世界で、素の美しさからは心底パワフルさを感じます。
キラキラした韓国も良いけれど、私的にはこちらの土っぽい韓国がしっくりきました。
パーフェクション主義の日本に疲れた時は、是非お隣の韓国に訪れてみて下さい。なんともホッとするような、完璧でなくても「これでええんやが?」と自分を貫けるような、しなやかさと愉しさを取り戻せるような、そういった空気がまだアチコチに漂っていると感じます。
この記事で紹介した