マガジンのカバー画像

人間学の学び(『致知』および「木鶏クラブ」等)

158
雑誌『致知』の読後感、木鶏(読書会)クラブ、関連書籍についてまとめています。
運営しているクリエイター

#1日1話読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書

人事と人間学ー『致知』からの学びがもたらす効果

 人間学を学ぶ雑誌『致知』。本当に素晴らしい雑誌です。また、読書会である「木鶏クラブ」にも参加し、学びを深めることができます。私も地元の木鶏クラブに参加し、多くの学びを得ています。  人間学は学校で教えてくれません。したがって、社会人になってから学ぶ方も多いです。人間学の学びがもたらす効果について、人事の立場から再度考察してみました。 自己啓発と内省の促進 職場でのリーダーシップ  自己啓発を通じて得られる自己理解は、リーダーとしての資質を高めることになるでしょう。リーダ

【書籍】祖父からの教え:業即信仰と米倉満氏の理容哲学

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp78「2月19日:業即信仰(米倉 満 理容 「米倉」社長)」を取り上げたいと思います。  米倉理容の社長である米倉満氏は、まだ理容師としてのキャリアをスタートさせたばかりの頃、祖父に連れられて熊本県阿蘇で開催された松下電器(現パナソニック)の代理店大会に参加する機会を得ました。大会自体は賑やかで、代理店同士の情報交換や新製品の紹介などで活気に満ちていましたが、米倉氏にとって最も印象深かった

【書籍】70歳の革新者:内藤多仲とその時代を超えた設計

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp72「2月13日:東京タワーはかくて完成した(内藤多四郎 日本建築積算協会元副会長)」を取り上げたいと思います。内藤多四郎氏が、父・内藤多仲氏を回顧したものです。  内藤は、1957年、70歳という高齢で早稲田大学を退職し名誉教授となった直後に、東京タワーの設計という大役を任されました。当時、産経新聞社社長の前田久吉から、エッフェル塔を超える世界一高い電波塔の建設を依頼されたのです。地震や

【書籍】母の一喝がもたらした目覚め:原田隆史氏の教育者としての原点

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp66「2月7日:私を目覚めさせた母の一喝(原田隆史 原田教育研究所社長)」を取り上げたいと思います。  原田氏は、自立型人材の育成「原田メソッド」を提供しています。  原田氏は、大阪市最大のマンモス校で体育教師としてのキャリアをスタートさせました。学校は荒れており、生徒の服装は乱れ、校内にはタバコの吸い殻が散乱し、赴任初日から窓から投げ落とされた椅子が間一髪で当たるという危険な目に遭うなど

【書籍】一秒一ミリの積み重ね: 井村雅代氏が教える成長の秘訣

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp60「2月1日:一ミリの努力、一秒の努力の積み重ね(井村雅代 アーティスティックスイミング日本代表ヘッドコーチ)」を取り上げたいと思います。  オリンピック本番の一か月前には選手たちの疲労を防ぐため練習量を減らしますが、それまでは選手たちを猛練習させました。一般の人は週に5、6日働いて休みますが、下手な選手はそれではダメです。上手な人が寝ている間も練習する以外に上手くなる方法はないので、

【書籍】新たな成長への挑戦:米長邦雄氏の栄光の一手を捨てる決断

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp53「1月26日:誇るべき栄光の一手を捨てる時(米長邦雄 日本将棋連盟会長・永世棋聖)」を取り上げたいと思います。  米長邦雄氏は、将棋界において異色の経歴を持つ棋士として知られています。一般的に、若い棋士は20歳前後で頭角を現し、タイトルを獲得するなどして活躍しますが、40歳前後から体力や記憶力の衰えとともに成績が下降していく傾向にあります。しかし、米長氏の場合は40歳を過ぎてからさらな

【書籍】心に響く努力と感謝の教訓ー大橋秀行氏のボクシング人生から学ぶ

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp47「1月20日:ここ一番で負ける理由(大橋秀行 大橋ボクシングジム会長)」を取り上げたいと思います。  大橋秀行氏は、幼少期から抱き続けた世界チャンピオンという夢を叶えるため、過酷な減量生活を送りました。その日々は想像を絶するものだったでしょう。一日一食という厳しい食事制限に加え、学校では給食はおろか、水さえも口にしなかったといいます。まるで修行僧のような生活を送る大橋少年の姿に、教師た

【書籍】夢を実現する目標設定術ー佐々木洋監督の教え

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp41「1月14日:大谷翔平と菊池雄星に教えた目標設定術(佐々木 洋 花巻東高等学校硬式野球部監督)」を取り上げたいと思います。  佐々木洋監督は、岩手県の田舎町で生まれ育ち、野球に打ち込んだ少年時代を過ごしました。しかし、選手としては芽が出ず、大学時代に戦力外通告という挫折を経験します。失意の中、寮を出て初めての一人暮らしを始めた佐々木監督は、孤独感と虚しさに苛まれ、それまで見向きもしなか

【書籍】「おふくろさん」の教え:森進一が語る母との絆

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp35「1月8日:「おふくろさん」の教え(森進一 歌手)」を取り上げたいと思います。  森進一氏は、18歳という若さで、新人作曲家・猪俣公章のデモテープがきっかけとなり、歌手デビューを果たしました。そのデビュー曲「女のためいき」は、オリコンチャートで週間1位を獲得するなど、瞬く間に大ヒットを記録し、森はスターダムにのし上がります。その後も、「港町ブルース」「銀座の女」など、数々のヒット曲を世

【書籍】利他の心と経営革新ー稲盛和夫とJAL再建

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp29「1月2日:人生で一番大事なもの(稲盛和夫 京セラ名誉会長)」を取り上げたいと思います。  稲盛氏は日本を代表する経営者の一人であり、京セラや第二電電(現KDDI)の創業者として知られています。彼は、2010年に経営破綻した日本航空(JAL)の再建を無報酬で引き受け、その手腕でわずか2年で再上場を達成するという偉業を成し遂げました。この劇的な再建劇の裏には、稲盛氏の揺るぎない経営哲学と

【書籍】未知への挑戦ー川口淳一郎と『はやぶさ』プロジェクトの軌跡

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp404「12月27日:高い塔を建てなければ新しい地平線は見えない(川口淳一郎 宇宙航空研究開発機構「はやぶさ」 プロジェクトマネージャ)」を取り上げたいと思います。  小惑星探査機「はやぶさ」プロジェクトの成功は、いくつかの重要な要素が組み合わさった結果でした。まず、プロジェクトマネージャーの川口氏が掲げた「地球へのサンプルリターン」という明確な目標が、チーム全体に共有され、共通認識とし

【書籍】技術と情熱の頂点ー理容師田中トシオ氏の物語

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp398「12月21日:理容日本一への道 田中トシオ 理容師」を取り上げたいと思います。  理容師の田中トシオ氏は、ヘアカットの技術を競う大会で日本一になるまでの道のりを語っています。田中氏は当初、感性よりも技術力を重視する「規定」部門での競技を通して、技術を磨くことに没頭していました。規定部門では、指定されたヘアスタイルを正確に再現する技術力が評価されるため、田中氏は自身の技術を追求するこ

【書籍】勝負を決めるのは日々の生活:米倉健司氏が考えるボクシングの教訓

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp392「12月15日:どんな生活を送っているかで勝負は決まる(米倉健司 ヨネクラボクシングジム会長)」を取り上げたいと思います。  米倉健司氏は元プロボクサー。元日本フライ級王者です。1963年、ヨネクラボクシングジムを開設し。柴田国明、ガッツ石松、中島成雄、大橋秀行、川島郭志の5人の世界王者を育てました。  川島郭志選手は高校生の時に全国大会で優勝し、プロボクサーとしての道を歩み始めま

【書籍】信念と行動の価値ー勸山弘氏のアイバンク運動の教訓

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp386「12月9日:百人のわれにそしりの火はふるも(勸山 弘 真宗大谷派真楽寺住職)」を取り上げたいと思います。  九条武子氏の名言です。一人でも涙を流してくれる人がいたならば、たとえどれほど多くの方に謗られても十分というもの。  この一節は、個人の信念と行動が、多くの批判にさらされながらも、たった一人の心を動かし、助けることの価値を示しています。本文に記されている勸山弘氏の経験は、その