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人間学の学び(『致知』および「木鶏クラブ」等)

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雑誌『致知』の読後感、木鶏(読書会)クラブ、関連書籍についてまとめています。
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人事と人間学ー『致知』からの学びがもたらす効果

 人間学を学ぶ雑誌『致知』。本当に素晴らしい雑誌です。また、読書会である「木鶏クラブ」にも参加し、学びを深めることができます。私も地元の木鶏クラブに参加し、多くの学びを得ています。  人間学は学校で教えてくれません。したがって、社会人になってから学ぶ方も多いです。人間学の学びがもたらす効果について、人事の立場から再度考察してみました。 自己啓発と内省の促進 職場でのリーダーシップ  自己啓発を通じて得られる自己理解は、リーダーとしての資質を高めることになるでしょう。リーダ

【書籍】狂狷の徒に学ぶ:孔子と白川静氏の仕事観

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp75「2月16日:狂狷の徒たれ(白川静 立命館大学名誉教授)」を取り上げたいと思います。  白川静氏によると、孔子は「中庸」を理想としつつも、現実に中庸の人間はいないと考えていました。中庸とは、偏らずバランスが取れた状態を指しますが、孔子は、常に中庸を保つことは非常に難しいことだと認識していたようです。  その上で、孔子は「狂狷の徒」を評価しました。「狂者」は、型破りで、既成概念にとらわ

【書籍】70歳の革新者:内藤多仲とその時代を超えた設計

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp72「2月13日:東京タワーはかくて完成した(内藤多四郎 日本建築積算協会元副会長)」を取り上げたいと思います。内藤多四郎氏が、父・内藤多仲氏を回顧したものです。  内藤は、1957年、70歳という高齢で早稲田大学を退職し名誉教授となった直後に、東京タワーの設計という大役を任されました。当時、産経新聞社社長の前田久吉から、エッフェル塔を超える世界一高い電波塔の建設を依頼されたのです。地震や

【書籍】「我一心なり」―伊藤謙介氏の心の決意

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp69「2月10日:心の中に佐渡島をつくれ(伊藤謙介 京セラ元会長)」を取り上げたいと思います。  伊藤謙介氏は、自身の戒めとして「我一心なり」という言葉を決して忘れず、常に心に留めていました。これは、心を一つに定め、他のことに気を取られることなく、一つの目標に向かってひたすら努力することの重要性を説く言葉です。若い頃は誰しも目移りしやすいものですが、一度目標を定めたら、周囲の意見に惑わされ

【書籍】母の一喝がもたらした目覚め:原田隆史氏の教育者としての原点

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp66「2月7日:私を目覚めさせた母の一喝(原田隆史 原田教育研究所社長)」を取り上げたいと思います。  原田氏は、自立型人材の育成「原田メソッド」を提供しています。  原田氏は、大阪市最大のマンモス校で体育教師としてのキャリアをスタートさせました。学校は荒れており、生徒の服装は乱れ、校内にはタバコの吸い殻が散乱し、赴任初日から窓から投げ落とされた椅子が間一髪で当たるという危険な目に遭うなど

【書籍】勝負よりも芸を磨け:藤沢秀行氏の仕事哲学

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp63「2月4日:勝負にこだわるな、芸を磨け(藤沢秀行 囲碁九段・名誉棋聖)」を取り上げたいと思います。  藤沢氏について以前、『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)の内容にても取り上げましたが、今度は「仕事」という観点で考えてみたいと思います。  藤沢氏は、囲碁の世界で数々のタイトルを獲得した名棋士です。彼は、波乱万丈の人生経験を積み重ね、人間

【書籍】一秒一ミリの積み重ね: 井村雅代氏が教える成長の秘訣

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp60「2月1日:一ミリの努力、一秒の努力の積み重ね(井村雅代 アーティスティックスイミング日本代表ヘッドコーチ)」を取り上げたいと思います。  オリンピック本番の一か月前には選手たちの疲労を防ぐため練習量を減らしますが、それまでは選手たちを猛練習させました。一般の人は週に5、6日働いて休みますが、下手な選手はそれではダメです。上手な人が寝ている間も練習する以外に上手くなる方法はないので、

【書籍】ハーモニカと榊の葉:桂小金治の父の教えに学ぶ成功の秘訣

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp56「1月29日:努力の上の辛抱という棒を立てろ(桂小金治 タレント)」を取り上げたいと思います。  桂小金治は10歳の頃、友達の家でハーモニカを吹く機会があり、その音色に魅了されました。どうしてもハーモニカが欲しいと父親に懇願しますが、父親は代わりに榊の葉を一枚取り出し、「いい音ならこれで出せ」と演奏してみせたのです。その美しい音色に心を打たれた桂少年は、父親のように吹けるようになりたい

【書籍】新たな成長への挑戦:米長邦雄氏の栄光の一手を捨てる決断

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp53「1月26日:誇るべき栄光の一手を捨てる時(米長邦雄 日本将棋連盟会長・永世棋聖)」を取り上げたいと思います。  米長邦雄氏は、将棋界において異色の経歴を持つ棋士として知られています。一般的に、若い棋士は20歳前後で頭角を現し、タイトルを獲得するなどして活躍しますが、40歳前後から体力や記憶力の衰えとともに成績が下降していく傾向にあります。しかし、米長氏の場合は40歳を過ぎてからさらな

【書籍】限界を越える意志:安藤忠雄氏に見る挑戦の大切さ

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp50「1月23日:一度は死に物狂いで物事に打ち込んでみる(安藤忠雄 建築家)」を取り上げたいと思います。  安藤忠雄氏は、1941年大阪の商人の家庭に生まれました。幼少期は、戦後の混乱期で経済的な困難を経験し、住まいも決して恵まれたものではありませんでした。学業成績も決して優秀ではなく、大学進学は叶いませんでした。しかし、彼は幼少期から建築に興味を持ち、独学で建築の道を志しました。  中

【書籍】心に響く努力と感謝の教訓ー大橋秀行氏のボクシング人生から学ぶ

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp47「1月20日:ここ一番で負ける理由(大橋秀行 大橋ボクシングジム会長)」を取り上げたいと思います。  大橋秀行氏は、幼少期から抱き続けた世界チャンピオンという夢を叶えるため、過酷な減量生活を送りました。その日々は想像を絶するものだったでしょう。一日一食という厳しい食事制限に加え、学校では給食はおろか、水さえも口にしなかったといいます。まるで修行僧のような生活を送る大橋少年の姿に、教師た

【書籍】渋沢栄一の「魔」に学ぶ:情熱と狂気が生み出す成功の秘訣ー城山三郎氏の考察

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp44「1月17日:渋沢栄一は三つの「魔」を持っていた(城山三郎 作家)」を取り上げたいと思います。城山氏が、渋沢栄一の「魔」の概念を考察しています。私も人事として、「魔」の概念は非常に重要であると捉えており、内容を紐解いてみたいと思います。  単なるアイデアを事業として成功させるには、「魔」のような情熱や狂気が必要とのこと。この「魔」とは、燃え上がるような情熱、目標達成のためには手段を選ば

【書籍】夢を実現する目標設定術ー佐々木洋監督の教え

『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』(致知出版社、2022年)のp41「1月14日:大谷翔平と菊池雄星に教えた目標設定術(佐々木 洋 花巻東高等学校硬式野球部監督)」を取り上げたいと思います。  佐々木洋監督は、岩手県の田舎町で生まれ育ち、野球に打ち込んだ少年時代を過ごしました。しかし、選手としては芽が出ず、大学時代に戦力外通告という挫折を経験します。失意の中、寮を出て初めての一人暮らしを始めた佐々木監督は、孤独感と虚しさに苛まれ、それまで見向きもしなか

【書籍】人を動かす力:井深大が示すリーダーシップの新しい形ー宮端清次氏の学び

 『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(致知出版社、2020年)のp38「1月11日:ソニー創業者・井深大のリーダーシップ論 (宮端清次 はとバス元社長)」を取り上げたいと思います。  この話は、はとバス元社長の宮端清次氏が、井深氏のリーダーシップについて考察しています。宮端氏もまた、はとバスをV字回復させた方です。  ソニー創業者の井深氏は、リーダーシップについて従来の「指導力、統率力」という考え方を覆し、「影響力」と定義しました。これは、厚木工場での