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♨漫遊記#1 日本最北端の稚内温泉

 稚内温泉は、北海道稚内市富士見地区にある日本最北端の温泉です。稚内温泉は、「童夢」という名前の市営の日帰り入浴施設として運営されています。この温泉からは、天気が良いと日本海の向こうに利尻岳(利尻富士)が遠望できます。

 稚内温泉は、昭和51年に行われた原油の試掘の際に湧出した温泉をもとに、2年後の昭和53年に開業しました。それまでの最北端の温泉は、豊富町の豊富温泉だったのですが、稚内温泉が最北端の記録を塗り替えました。

 稚内には、原油が地表に染み出している場所の地下がどうなっているかを調べる、いわゆる環境調査のために来ました。名前は忘れましたが、稚内市内の民宿に泊まりました。その民宿がすごくて、夕食のオカズの品数の多さと量にびっくりしました。私の時には出ませんでしたが、その民宿ではカニが一人に一匹出たりするそうです。民宿の人から、近くに温泉があると聞いたので、調査が終わった後にメンバー全員で温泉に行くことになりました。

 入口から入ろうとすると、何やらガソリンのような臭いがします。少し気になりましたが、服を脱いで湯船に向かうと、その臭いはさらに強くなりました。自慢するつもりはありませんが、鼻は結構いい方で、臭いにも敏感です。ですので、デパートの一階の化粧品売り場は大の苦手です。

 湯船につかると、温泉の表面にうっすらと油膜のようなものが浮いていることに気が付きました。臭いの正体は、この油のようでした。臭いを我慢して湯船に浸かっていましたが、だんだん頭が痛くなってきたので、早めに切り上げてお風呂から出ました。周りの人たちは平気みたいで、ゆっくりと温泉を楽しんでいました。民宿の人の話では、地元の人たちは稚内温泉のことを「あぶら温泉」と呼んでいるそうです。

 稚内は実は国境の街です。港からは、サハリン行きのフェリーも出ています。また、ロシアのカニ漁船が寄港することも多く、温泉に入っていた時も腕にタトゥーの入った屈強な漁師さんが温泉に来ていました。また、繁華街ではきれいなロシア人のお姉さんも見ました。

 臭いに敏感な私には、この温泉はちょっと苦手ですが、ガソリン臭が平気な人なら、最北端の温泉に一度チャレンジしてみては。

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