はじめに
最近タイトルのようなことをずっと考えています。ただ、その話を周りの方に話してみるのですが、残念ながら
「そうなのかもしれませんね(何を言っているの?)」
というリアクションをされることがほとんどで、そもそも伝えたい概念が理解されていない気がしています。
今回は、議論の前に昨今のメタバースの話題を整理した上で、頭に思い浮かんでいる「マルチバース」という概念をなるべくシンプルに記述してみようと思います。
メタバースは単一なのか、複数なのか
メタバースというフレーズは、昨年あたりから非常に盛り上がっておりますが、そもそもその定義からして曖昧だと感じることはないでしょうか?(とはいえ、そもそもバズワードとは定義が曖昧なものなのですが。)
ここで書かれている「1時間以上を過ごすメタバース空間」が、まさに議論の焦点なのですが、ここでメタバースとは以下のどちらを指しているのでしょうか?
メタバース=「リアル空間のデジタルツインをなす単一の仮想空間」説
メタバース=複数の、それぞれ独立した「没入感の高いVRサービスを提供するコミュニティ」説
1の説は、要するに現実の写像となる単一のメタバースを構築し、地球全体を丸ごとメタバース化しようと明確に宣言している企業がMeta(旧Facebook)です。Mark Zuckerberg氏は、そもそも最近「メタバース」という言葉をバズらせた張本人です。
しかし、この記事で述べられていることとしては
メタバースを一つに収斂させたいと思っているのはメガIT企業の都合
であって、実際には
用途に応じた「小さな」メタバースが多数存在することになるのでは?
という意見が載せられています。それが2の説に繋がります。
では、多数のメタバース=マルチバースが実現した世界というのは、いったいどういう世界なのでしょうか?
そもそも「マルチバース」とは?
マルチバースとは「多元宇宙=複数の宇宙」という意味です。
※ところで、2022/5/4(水)より「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」が公開されましたが、最近の(特にシリーズものの)SF作品で、クロスオーバー作品を取り扱う「舞台」をユニバースと呼ぶようになりましたね。
メタバースの管理者問題から考えるマルチバースの有用性
上で示した2の説「メタバースはマルチバースであって、単一メタバースにならない説」を支持する一つの考え方としては、たとえば「誰がその仮想空間を管理・維持していくのか?」という問題があります。というのは、仮想空間を利用したサービスは、いまや単なる空想ではなく、様々なサービスがすでに多数稼働中だからです。
2010年代から、主にゲームの世界で様々な仮想空間が作られました。「マインクラフト」や「フォートナイト」、日本製だと「あつ森(あつまれ どうぶつの森)」が代表的です。
ところで、たとえば「マインクラフト」と「フォートナイト」と「あつ森」という「ゲーム界3大メタバース」を統一してほしいでしょうか?
それってユーザにとって何か嬉しいでしょうか?
もう少し別の例でいえば、たとえば「Facebook上の『友だち』をTwitterに引き継ぐ」ということを考えてみてもいいかもしれません。
そもそも、これを引き継ぎたい・統一したいと思っている人がどれだけいるのでしょう?というところにポイントがある気がしています。これらのSNSは別IDであるから良いと思っているユーザもたくさんいそうなものですが…。
ほかにも、KDDIは2021年から「バーチャル大阪」を作っております。
ここに書かれているように「バーチャル大阪」は、2025年の大阪万博を見越して作られているわけで、だからこそ「実在都市とバーチャル空間が連動した大阪の都市の魅力や経済圏の拡張を目指す」と書いてはおりますが、それは万博後も引き続き管理されて続けていくということを保証しているわけではありません。
メタバース上にデジタルツインが実現するというのは「そもそも管理者は誰?政府?IT企業?」という点からしても難しいのでは?と感じます。
むしろ、既存の様々なオンラインコミュニティのように「簡単に作れて簡単に閉じられる」のがメタバースだと思うのです。
おわりに
Metaが構想するような「世界唯一のメタバース」が誕生するのかどうか、現時点ではまだわかりませんが、これについては、引き続き考えていきたいと思います。
(つづく)