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自動生成AIに将棋について聞いた結果、業務への活用方法を考えた
はじめに
こちらのnoteでは「ChatGPTを使うと、デジタルの開発は大きく変わる」という記事を書いております。
いまや、ChatGPTだけでなく、Stable Diffusionのような画像生成AIも含め、これらを紹介する記事や動画が非常にたくさんある状況です。そうなると、当然「業務に活用したい」と思うのは自然なことだと思います。「デジタル技術を有効活用して業務効率化を実現する」という字面だけを見ると、社内におけるDXの取組と親和性が高そうに見えます。しかし、もしこれを本当に言い出したとしたら
「確かに面白いけれど、うちの会社ではできない」という声
が社内で聞こえないでしょうか?
「これって面白いテーマですよね」と私が話し掛けると、「面白いのですが、うちの会社ではできないんですよね」とAさん。「なぜできないと思うのですか」と私が聞くと、「いや、これをやるには……」とAさんは答え始めました。
(中略)
それは、「うちの上層部がこの手のテーマの提案を受け入れそうにない」というものだったのです。
これは新規事業の話ですが、こういう姿勢を見せる上層部が出てくると、せっかく新しい技術・ツールが登場しているのに、それを業務に使おうという話はいずれなくなってしまうものです。これは非常にもったいないと考えています。そこで、この点について、事例を紹介しながら考えていきます。
ChatGPTのアウトプットは「不正確」、だからこそ活用すべき
まず、そもそもChatGPTは業務に活用すべきなのか?という点についてですが、これは以下の記事が非常に参考になると思います。
米Wall Street Journal(WSJ)は2023年2月22日に「生成系AIどう生かす CEOや建築家も試行錯誤」という記事を掲載した。生成系AIは、いわゆるChatGPTのようなコンテンツ生成系のAIである。おおよその趣旨は、従来のAIが物流の合理化など縁の下の力持ちとしての役割だったのに対し、生成系AIは個人や小規模企業が容易に入手し、負担の重い作業の自動化や創造性を必要とする作業のスピード化を図れる、というものだ。
一方このWSJの記事は、AIの専門家が「生成系AIツールは、既にその道の専門家である人を支援することに限り使用すべきだと注意を促している」と指摘したことを紹介している。不快なコンテンツや誤情報を生成することや、知的財産盗用やプライバシーに関する懸念があるからだという。
週刊ITニュース深読み:日経クロステック Active
https://active.nikkeibp.co.jp/atcl/act/19/00432/022700006/
この記述はとても正確に自動生成系AIのポイントを押さえています。一言で言うと
人間が行う作業をラクにしてくれるかもしれないが、不正確かもしれない
というものです。
うそはうそであると見抜ける人でないと(自動生成系AIを使うのは)難しい
これはとても有名なインターネットミームですが、2000年の言葉だそうです。
しかし、この考え方はいつだって重要です。それが、自動生成AIであっても。
たとえば、ChatGPTに、私の趣味である「(将棋を勉強するのに)良い問題集を教えてください」と聞いてみます。
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ChatGPTはすぐに5つも紹介してくれました。が、ここで一つ問題があります。
この5つのいずれも実在しない書籍
なのです。
確かに、ここで「著者」とされる方はすべて実在のプロ棋士で、どなたも複数の書籍を出されています。しかし、その説明文は(将棋に少しでも興味がある人が読めば)どれも違和感ばかりです。たとえば、将棋の問題集を「将棋パズル」と呼ぶような言い方はしませんし、書籍4については、その「著者」とされる鈴木大介九段のところから違和感です。将棋ファンに「鈴木大介と言えば?」と聞けば
四間飛車
ハチワンダイバー(漫画。作品内に実名で登場もする)
麻雀
などとは言うでしょうが、鈴木九段に詰将棋のイメージはありません。
もう一つ、AIに将棋に関するイラストを描かせてみました。
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これの絵に関しては「残念」の一言なのですが、これはおそらく生成に使うDBの問題で、
将棋 → 英語で“Japanese Chess” → Chess をもとに画像生成
というプロセスを経たためそうなったのでしょう。いずれにしても「将棋の駒」というものが正しく理解されていないように見えます。
おわりに ~ 敵を知り、己を知れば
このように、ChatGPTのアウトプットは確かに不正確なところがあります。「不正確である」という点に懸念を示すような企業であれば、この時点で「だから利用は止めよう」となるかもしれません。しかし、本当にそれでよいのでしょうか?
私が考えるに、現状の自動生成AIは二つの方向性で使い方が考えられます。
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