【創作】構想:緻密な構築がリアリティを支える【説得力】
「創作にファンタジーを選ぶ人」
・ファンタジー世界はなんでもアリでしょう?
・空想世界だからオリジナリティさえあればいい!
・自由に描けば論理性なんて必要ない。
そんなふうに考えているとしたら、大間違いです。
というわけで今回は
「構想:緻密な構築がリアリティを支える」についてのお話。
ファンタジーは「なんでもアリ」なのか?
思いつくままに派手な魔法を登場させればそれで盛りあがるのでしょうか?
そんなことはありません。
そこにリアリティが欠けていれば、かえって陳腐な描写に見えるだけでしょう。
幻想世界にも、虚構としての緻密なリアリティが必要です。
もちろん現実世界とは異なる論理によって組み立てられているわけですが、その「異なる論理」のなかで、矛盾が生じてはいけません。
「旅の扉」ひとつで大きく変わる世界
たとえば、現実世界に『ドラゴンクエスト』に登場する「旅の扉」が存在したら、どうなるでしょうか?
時代的には、閉鎖的な「中世ヨーロッパ」としましょう。人の往来も情報の伝達も乏しく、商業もあまり発展していません。
そこに「旅の扉」が存在したら、どんな変化が起きるか考えてみます。
「旅の扉」は、遠隔地の特定の場所同士を繋ぐ、ワープゲートのようなものです。
張りめぐらされた扉を使用すれば「各地に一瞬で赴く」ことができます。
手紙や荷物、人の移動も可能です。
伝書鳩などとは違い、手紙は紛失することなく、ほぼ確実に届けられます。
速く、安定した通信は、世界を大きく変化させます。
現実のネットや携帯電話の普及による変化も、劇的と呼べるものでした。
国が出した法令なども、より正確なかたちで広まりやすくなるでしょう。
荷物も安全に運べるので、盗賊の横行を防ぐことにも繋がります。
往来が安全になれば、交易や情報交換などが活発に行われ、学問などの分野も、より質の高いものへと変化することが考えられます。
国の規模も大きくなるでしょう。
情報の伝達や通信の発達により「国としての統一感」も増します。
商業が発達するため、商圏が広くなり、文化的にも洗練されるはずです。
これらの変化は、人間の考え方や価値観を変えることにもなります。
そうなれば、国のかたちまで変わっていくことも考えられます。
いかがでしょうか?
「旅の扉」が中世ヨーロッパに存在する、と少し考えただけでも、大きく変化する世界の姿が想像できるはずです。
ファンタジーにリアリティを与えるためには、こうした論理性のある構築を考えていく必要があるわけです。
その論理的に矛盾のない世界ではじめて、独自の魔法やオーバーテクノロジーの活躍を描くことができます。
「ファンタジーだからなんでもアリだろう」と思いつきで派手なことをやってしまうと、おそらく作品が長続きしません。
どこからか矛盾が目立ちはじめ、物語世界が破綻してしまうためです。
せっかく世界を創造するのですから、末永く愛されるものを作りたいですよね。
ファンタジー作品の舞台を構想する際は、心に留めてみてください。
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