少しずつシニアへ……の話。・6 終 24.12.23

申し訳ない気持ちもあるにはあるが、「『お年寄りを大切に』という風習に守られている心地よさ」も同時に感じる。
言い換えれば、ポンコツおじさん(僕)が、一般人に擬態して/なりすまして、さも敬われるべき存在であるかのように振る舞える快感、とでも言おうか。

一方で、この歳で独身と知ると、なぜだか急に使命感(?)を持ってお説教をカマしてくる人々もまだいらっしゃる。多くはノンケ(であろう)ご老人。
僕が独身であろうが、殿方好きであろうが、その人には全く関係ない話なのだが、「人間の命は未来へとつなげていく義務があり……」みたいなお説を拝聴する羽目になる。

というより、50代男性という時点で、すでに結婚して子がいるのは当たり前、とみなす固定観念強すぎぃ……。
なので、冒頭でのオペレーターとのやり取りのように、

オ「お客様は、18歳未満のお子様はいらっしゃいますか」
飛「うっ……」

と、そもそも独身か訊くのをすっ飛ばしたやり取りになるのだと思う。

55歳一年生の僕にも、どう対応すればいいかの正解がわからないので、同年代もしくは年上のゲイの殿方のSNSをこっそり拝見。
それぞれの生き方、そしてご苦労にしみじみ。
ある程度の年齢になっても、いや、だからこそ、独身であることへの風当たり/重圧/プレッシャーからは逃れられないという……。

シニアに対しては原則手厚いサポートをしてくれる国も、同性愛者に対しては、まるでいないかのように、何もしてこなかった。
それどころか、同性婚に慎重な(実質不支持?)立場を長年続けている。

僕が本当のシニアになる頃には(その前でももちろん良いけど)状況が変わり、「今までどうもすみませんでした。直ちに法律改正の手続きに入らせていただきます」との言葉が聴ければいいな。
それでこそ安心して歳を取れるというもの。
どうよ国?

そして――

「流君なんでまだ結婚しないのぉ~(ニコニコ)」

スマホのKindleアプリをタップし、自分の小説を表示させて相手に差し出す。

「ずっと前からこういうの書いてんだけどぉ~(ニコニコ)。察 し て ♥」

ってやりたい……。
いや、やっぱり恥ずかしい……。

(おわり)


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