嫁に食わすなと言われるほど美味しい秋ナスがなぜ秋に美味しくなるのか教えます
こんにちは、岐阜県の飛騨高山で無農薬野菜を25年以上つくり続けている「飛騨高山 橋本農園」です。
私たちは、2022年の夏より「県外の方にも美味しい野菜を」「農家の食品ロス削減」を目的として“食べチョク”を通して日本全国の方々へ新鮮野菜をお届けしています(ネット販売開始のお話はこちらから)。
高山もすっかり朝晩の気温が下がり、秋の到来を感じる季節になってきました。10月のアタマに襲来した台風18号の強風にやられてダメになってしまった野菜もあったのですが、今日はシーズンの終わりが見えてきた今が旬のナスや秋しまささげなど、いくつかの野菜をご紹介したいと思います。
秋ナスが美味しいのにはわけがある
まずは前回の投稿でもご紹介した秋ナスです。この時期のナスは夏場と違ってゆっくり成長するので中身が詰まってギッシリしてきます。それに加えて寒くなると糖度が上がってくるというのが、ナスの一番美味しい季節だという理由なんですが、もう一つ橋本農園では穴肥(あなごえ)という手法を用いて秋ナスに種が多く入らないような工夫をしています。
穴肥というのは、秋のこの時期を目掛けてお盆過ぎあたりから畝(うね)のビニールに穴を開けて追肥を施す作業のこと。1ヶ月以上かけて土中に溶けていく有機肥料の養分がじんわりとナスに効いてくるのがこの時期なんです。ナスは土中の養分が減ってくると冬の到来を予期して種を残し始めるのですが、穴肥を施して茄子を勘違いさせることで種の発生が遅れ、食感の良いナスが栽培できるというわけなのです。
別名 『湯上がり美人』 ってなんの野菜?
インゲンと秋しまささげも寒くなってくる10月中旬過ぎからが一番甘くなってきます。秋しまささげというのは飛騨高山地方独特のインゲン豆に似た伝統野菜です。紫外線を浴びると紫色の縞模様が浮かび上がってくるのですが、寒くなってくるにつれ縞模様が濃くなって、初めて見る方にはけっこう驚かれますね。
この模様は茹でるとなくなって鮮やかな緑一色になるため、「湯上がり美人」なんて呼び方もされることがあるんですよ。風味が良くて莢(さや)に筋もないので食べやすく、煮浸しや白あえにして食べると美味しいですよ。
割れたトマトだって食べない手はありません
ミニトマトもシーズン終わり際のいまが美味しくなる野菜の一つです。なのですが、その反面、寒暖差があると割れやすくなるのが悩ましいところです。トマトが割れてしまうことを裂果というのですが、身が膨張したり皮が収縮したりすることで起こる現象で、朝露などがつくとさらに裂果しやすくなります。朝露はそれ以外にもカビがつきやすくなるなんて弊害もあるので、今日も丁寧に朝露を拭いて収穫してきました。
裂果してしまったトマトも美味しく食べられるのですが、訳ありだとしても商品としてお出しできるものではないほど割れてしまったトマトは、スタッフが調理して美味しくいただきました。味付けは塩だけのシンプルレシピですが野菜の旨みで十分美味しくいただけます。
どの野菜も気温が下がってくると自らの身を守るために糖を纏うようになります。だから寒くなってきた今が糖度が上がって一番美味しいのですが、霜が降る(ふる)とシーズンが終わりになる野菜たちでもあるんです。あ、”霜が降る”というのは高山独特の言い回しで、一般的には”霜が降りる”と言いますね。
10月いっぱいか、遅くとも11月中旬には終わってしまう今の時期が旬の野菜たちをぜひお楽しみください。