理美容師さんに、ぜひ読んでもらいたい物語
夏の本屋の楽しみ
この時期、本屋さんに行くと、夏フェアであったり、夏休み読書コーナー、などがあります。
夏休みに本を読もう!ということですが、
文豪の名作や、芥川賞、直木賞、本屋大賞、 それぞれの受賞作品、注目度の高い本など、 ところ狭しと並びます。
数ある本の中から、初見で、 「よし!これ読んでみよう!」という本に 出会えた時、それが予想を超えていると、 かなりハッピーになります。
ジャケ買いならぬタイトル買い
最近、タイトルが気になり買った本。
「海の見える理髪店」 荻原 浩
※文庫版は、2019年に第一刷。2020年に第十刷となっているので、多くの人に読まれているのではないでしょうか。
短編集なので、表題以外の話も載っています。 長編が苦手な方も読みやすいと思います。
何より、この本のタイトルにもなっている、
海の見える理髪店
この話がとても良いのです。
人生の色々を学べる話
メインの登場人物は二人、理容師とお客。
店主である理容師が、施術をしながら、 自分が何故ここに店を構えたのか、自分のこれまでを遡り、初めて来たお客に話します。
その、会話のやりとりも、施術の様子も何か引き込まれるような感覚で読み進められます。
理容店での情景が浮かび、昔、父親について行った床屋さんは、こんな感じだったかなと思い出したりもしつつ。
文中、理容師の言葉で、
「どんなに会社を大きくされても、社訓じゃなく初心を飾ってください。」 という言葉が出てきます。
ハッとさせられる言葉で、自分の仕事の仕方、 なぜ、この仕事に就いたのか、など根っこの部分を大事にしなければいけないということを気づかせてくれる言葉でもあります。
理美容師さんだと、自分の仕事場との情景なども合わせ、感情移入しやすいかと。
また、理容室に行ったことがないという人も、 情景が浮かび、 最後は、そうだったの!?という驚きと、涙。
心温まる物語です。
ただ、髪を切る場所ではない
理容室、美容室。 髪を切る、髪を整える場所、お店ではありますが、 単にそれだけではない場所、空間なのだと、 改めて実感します。
理美容師さんにはぜひ、読んでみてほしい、 おすすめ図書です。
Aya Horiguchi