西村さんがうらやましい|事情を知らない転校生がグイグイくる
ちょっと趣をかえて、漫画の感想を書いてみようと思います。
漫画のタイトルは「事情を知らない転校生がグイグイくる」。西村さんは、ちょっと根暗な印象のクラスでいじめにあっている女の子です。
どうしてその西村さんのことがうらやましいのか、読書感想文も苦手なわたしなので、うまくお伝えできるかどうか少し心配です。
3,000字と長くなってしまいましたが、お付き合いの程、よろしくお願いします。
わたしの漫画遍歴とこの作品を知ったきっかけ
二十歳ごろは漫画をよく読みました。といいつつ、何を読んでたかタイトルが全然思いだせません。子供のころは「ドラえもん」くらいしか読ませてもらえませんでした。大学入学を機にひとり暮らしになったことで、タガが外れただけかもしれません。
2回目の大学生のときは、まじめな学生(年齢も上でしたし)で専門書漬けでした。これもどこまで理解して、頭に残っているやら自信がありませんけど。
要するにこれまでの人生、漫画を楽しんだような楽しんでないような、過ごし方をしてきたわけです。有名どころをピンポイントで読んだことはあります。ジョジョとか?話が難しかったことがいちばん印象に残ってます。
ところでSNSは他にTwitterだけやってます。Twitterで漫画が2Pくらい流れてくることがあります。2次制作だったり、プロ志望の方の習作だったり、出版社の宣伝だったりと目的はいろいろあるようですが、そこで目にしたのが、「事情を知らない転校生がグイグイくる」という作品でした。作者ご本人が習作をTweetされていたようで、のちに雑誌連載が始まってます。
「事情を知らない転校生がグイグイくる」ってどんな話?
内容を詳しく書きすぎない程度に、作品のポイントを紹介します。
小学5年生の西村茜ちゃんはクラスでいじめにあってました。西村さんは、おとなしく真面目で内気なタイプです。その内気さがいじめっ子には、陰気でからかいやすいと思われたのでしょう。
女の子なのに、いじめっ子たちを中心に「死神」とあだ名をつけられ、触ると呪いが移ると仲間はずれにされてしまいます。
そんなクラスに転校してきたのが、高田太陽くん。小さな田舎の小学校から転校してきた彼は、「いじめ」という状況をよくわかっていないみたいです。それどころか、西村さんの「死神」というあだ名を真に受けてしまいます。西村さんには常人にはない、特別な能力があるらしい、すごい、かっこいい、と信じ込んでしまったのです。
太陽くんは、そんな特別な能力を持つ(と信じている)西村さんのことが、気になってしょうがありません。その力の一端でも分けてもらいたい、それは無理でもぜひ親しい友人になりたいと思い、度々西村さんを遊びに誘うようになります。
その結果、西村さんがどう変わっていくか、クラスのみんながどう影響を受けるか、そこがこの漫画の主な見どころになります。
なぜ西村さんがうらやましいのか
子供のころに親しい異性の友人なんていませんでした。だから、グイグイ誘ってくれる太陽くんのような友人がいるだけでも、じゅうぶんうらやましい。
しかし、それ以上にうらやましいところは、西村さんがいじめに屈しない強い心を持っているところです。
クラス中から「死神」扱いされて、触ると呪いが移るなんて言われて仲間はずれにされたら、わたしは絶対泣いてしまって、登校拒否します。
ナチュラルに異常さに気づかせてくれる太陽くん
ところが太陽くんは、いじめなどなく、西村さんの超常能力を、みんなが怖がっているだけと本気で信じています。
だから、彼は素直に西村さんと友達になり、他のクラスメイトも誘い、クラス全員と学校生活を楽しもうとします。クラスメイトたちも本心からいじめたいわけではありません。参加しないと自分に跳ね返ってくるかも、という圧力で何もできなかっただけです。しかし、太陽くんの影響で徐々に西村さんを取り巻く環境は変わっていきます。
何があっても西村さんの味方になってくれる太陽くん。異性なので友達のままなのか、特別な関係に発展するのか(まだ小学生ですけどね)楽しみです。
そんなヒーローに守ってもらえる西村さん。うらやまずにいられません。
そして西村さんも変わっていく
太陽くんが転校してくる前から、西村さんはいじめに負けてはいません。それはいじめにくじけない強い心を持っていたから。そしてあとふたつ理由があります。
ひとつは西村さんが「いじめ」を幼稚な行為とみなしていたこと。その考え方は間違っていません。でも、いじめに加担するクラスメイトたちを、幼稚な人たちと見下してもいたのです。ともに成長していくべきクラスメイトを見下すのは、事情はあってもあまり感心できることではありません。
いじめへの自己防衛のために、そう思わずにはいられなかったのでしょう。でも、いつしか自己防衛の言い訳と本心がごちゃごちゃになってしまいます。
クラスメイトを幼稚な人たちとする考え方、他者に本心を開かないかたくなな心。どちらもよい傾向ではありません。
でもその凝り固まった西村さんの考え方にも、太陽くんは徐々に影響を与えていきます。
いじめに負けなかったもうひとつの理由は、ストーリーにも関わる内容なので割愛させていただきます。
西村さんがうらやましい。だけど・・・
ちょっと屈折はしていてもいじめに負けない強い心、自分を守ってくれる騎士のような太陽くんという友達。そして、周囲の影響を受けながら素直に成長していける心。
強い心、素直な心、親友のような守護騎士。簡単に手に入るものではありません。でも巨万の富や不老不死のような無理難題ではありません。日頃の心がけと周囲との接し方、そして多少のラッキーがあればどうにかできないでしょうか。。
太陽くんが転校してきたのはラッキーです。でも、漫画を読んでいたら、みんながみんないじめっこでないこともわかります。時間はかかったかも、もっと苦労はしたかもしれないけど、きっと西村さんも変わっていけたような気がします。
現実を生きるわたしたちにも、自分ひとりでどうにもならないことは山のようにあります。生活環境を変える、人の考えを変えることは容易いことではありません。特に人の考えを変えるのは難しいことです。
でも、強い心を持とうとすること、周囲に素直であろうと心がけること。この2つは自分次第のはず。小学5年生にしてこの両方を自分のものとし、しかも守護騎士太陽くんという存在に出会えた西村さんは、やっぱりうらやましいです。
でも、こうも思うのです。強い心で耐える西村さん。ネタバレなので伏せてますが西村さんが頑張ってこられたもうひとつの理由。その努力に対する対価が太陽くんなのではないかと。
人生の幸運と不運の量は、天秤の両端でぴったり吊り合っているという話を聞いたことがあります。わたしがうらやましがっている西村さんのラッキーも、西村さん自身が呼び込んだものかもしれません。
物事を投げ出すことなく、嫌なことも辛抱し耐えながら、素直であろうと努力すること。そうすれば、いつかわたしのもとにも太陽くんが来てくれるかもと期待しつつ、しめくくりとさせていただきます。
最後までおつきあい、ありがとうございました。
余談1;第7巻が11月発売みたいです。いまから待ちきれません。
余談2:今回のカバー写真の意味。プラネタリウムがポイントです。漫画本編のエピソードに関係があるので使いました。
わたしのサイトマップと自己紹介
おまけ:もうひとつ読んでいるマンガも紹介します。いまやってるスマホゲーム(マギアレコード)の公式マンガです。ある意味本編よりおもしろいと思ってます。(まどか☆マギカの世界観は台無しですけど、まあ外伝のスピンオフということで)3巻まで出てます。