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居心地の良さとは違う 真の「心理的安全性」について

こんにちは!
近年(?)、「心理的安全性」という言葉をよく耳にするようになりました。

人事だけではなく、多くの企業が注目し、様々な取り組みを行っているこの概念。
ただ抽象度が高いだけに定義やよくある誤解などが散見されているようにも感じています、、、

今回はそんな「心理的安全性」について、私見も交えつつまとめて行きたいと思います。



心理的安全性の定義

心理的安全性(Psychological Safety)は、Harvard Business SchoolのエイミーC・エドモンドソン教授が提唱した概念と言われています。


同氏によれば、心理的安全性とは

「チームメンバーが他者からの否定や非難を恐れることなく、自分の意見、質問、懸念、アイデアを自由に表明できる状態」

DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー

と定義しています。

重要なのは、これが単なる「居心地の良さ」とは異なることです。

むしろ、チームのパフォーマンスを最大化するための重要な組織的な特性として捉えるべきもの!
心理的安全性の高い組織では、建設的な意見交換や時には厳しい指摘も、チームの成長のために必要なプロセスとして受け入れられます。

注目されている背景

心理的安全性が特に注目を集めるきっかけとなったのは、2016年のGoogleによるProject Aristotleの研究結果です。

本プロジェクトの目的は、生産性の高い「効果的なチームの条件」を調査して、定義づけること


このプロジェクトは、180以上のチームを対象とした大規模な調査で、「最高のパフォーマンスを発揮するチームの共通要素は何か」を明らかにすることを目的としていました。

調査では、以下のような要素が検証されました

  • チームの規模や構成

  • メンバーの専門性や経験

  • リーダーシップスタイル

  • 目標設定の方法

  • 評価や報酬の仕組み

そして、驚くべきことに、最も重要な要素として浮かび上がってきたのが「心理的安全性」だったのです・・・!

この発見は、組織マネジメントの世界に大きな影響を与え、ここを皮切りに心理的安全性の重要性が各所で謳われるようになりました。

心理的安全性の経営効果

適切に構築された心理的安全性は、組織に様々なポジティブな影響をもたらすといわれています

1.イノベーションの促進

  • 新しいアイデアの自由な提案

  • 既存の方法への建設的な疑問提起

  • 創造的な問題解決アプローチの採用

2.問題の早期発見・解決

  • 潜在的なリスクの早期共有

  • オープンな議論による多角的な問題分析

  • 迅速な改善アクションの実施

3.生産性の向上

  • 効率的な情報共有

  • 重複作業の削減

  • 意思決定の迅速化

4.人材の定着・成長

  • 主体的な学習意欲の向上

  • キャリア開発の促進

  • チーム内での相互学習の活性化

フリーザ様の恐怖政治による独裁体制がなければ、悟空に勝っていたかもしれません(?)

よくある誤解と陥りやすい罠

一方!
心理的安全性の実現を目指す中で、多くの組織が陥りやすい誤解があると感じています( ^ω^)・・・

1.「優しさ」との混同

  • 単なる「居心地の良さ」を追求

  • 必要な指摘や改善提案を躊躇

  • パフォーマンスよりも調和を重視

本当の意味での「やさしさ」とは?という事ですね

2.表面的な施策への偏重

  • 形式的な1on1ミーティング

  • 効果の見えない交流イベント

  • 実質を伴わない意見収集

3.結果責任の軽視

  • 「失敗を許容する」の解釈ミス

  • 成果への責任感の希薄化

  • PDCAサイクルの形骸化

4.リーダーシップの不在

  • 問題への対処回避

  • 方針や期待値の不明確さ

  • フィードバックの不足

効果的な心理的安全性の構築方法

ではどうすればいいのか???
過去の経験も踏まえ、実効性のある心理的安全性を構築するためのアプローチを以下で述べさせて頂きます!

1.目的を明確にした関係性構築

  • 共通の目標設定と共有

  • 定期的な振り返りの実施

  • 成功体験の共有と称賛

組織は共通の目的を追いかける共同体であり、この目的を達成する為の結果・成果が共わなくては、チームとは言えないというのが持論です。

その為、「何のために我々は集まっているんだっけ?」という問いへの回答は常日頃、経営陣・マネジメント層は意識する必要があると強く感じます。

2. 自由な発言の促進

ここも世間一般的には「勘違い」が生じやすいポイントかと思います・・・!

「どんな意見も受け入れる」という無制限の自由は、却って生産性を下げる、目的を棄損する可能性があります。

重要なのは、その場の目的に応じた適切な発言の枠組みを設定することです。

  • 会議やミーティングの目的を明確に共有

  • 時間と参加人数に応じた適切な議論の設計

  • 建設的な意見と非建設的な意見の区別

  • 目的に沿った発言を促す雰囲気づくり

いくら自由とはいえ、本当に何でも全て自由な発言が認められる環境はありえません。

自由が機能するには、超えてはならない境界線が必要です。
その場の趣旨に合った発言は自由に認められるべきですが、明らかに反することは制御されなければいけません。

交通も同じ 交通ルールがなければ事故が起こる

3. 信頼関係を損なう要因への適切な対処

また、組織の信頼関係を壊すような行動(例:過度な批判、パワーハラスメント、情報独占など)に対しては、迅速な対応が必要になります。

  • 問題行動の早期発見と適切な対処

  • 建設的な行動の促進と称賛

  • 明確な行動指針の設定

  • リーダーの一貫した態度

尊重の文化を整えるには、逆説的ですが、「逸脱する事例を許容しないこと」「その方針が揺るがないことを全員が認識していること」が大切です。

4. 「挑戦」と「安心」のバランス確保~失敗の許容

失敗を許容する文化は重要ですが、それは「何でもあり」という意味ではありません。本気で目標に向かって挑戦する中での失敗を受け入れる環境づくりが重要です。

  • 明確な目標設定

  • 挑戦を促す声かけと支援

  • 失敗からの学びの共有

  • 成功体験の積み重ね

本気で挑戦しつづけるなかで失敗はつきもの。
それを誰もが理解しているからこそ、意識することもなく、失敗の許容が自然にうまれています。

「失敗の許容」という概念は、「失敗を認めること」という”プロセス”ではなくて、その行為がもたらす「本気で挑戦し続けるスタンスの促進」という”結果”にこそ本質!!!

本気でやるからこそ、失敗が生まれる 重要なのは「本気」と「挑戦」

おわりに

心理的安全性は、決して一朝一夕に実現できるものではありません。また、一度確立しても、維持し続けるためには継続的な努力が必要です。しかし、この取り組みは、組織の持続的な成長と発展には不可欠な投資と言えるでしょう。

重要なのは、心理的安全性を単なるトレンドワードや表面的な施策として捉えるのではなく、組織の文化として根付かせていくことです。

そのためには、経営層からの明確なコミットメント、中間管理職の理解と実践、そして従業員一人ひとりの主体的な参加が必要です。

チームメンバー全員が、失敗を恐れることなく挑戦し、率直に意見を交わし合える。

そんな組織づくりに向けて、私たち一人ひとりができることから始めていきましょう!
それが、個人の成長とチームの成功の両方を実現する近道となるはずです。

少しでも参考になれば幸いです・・・!

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