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【サマソニ2024】ニワカ音楽ファンがぼっちで初の夏野外フェスに参加した感想

こんな長くて胡散臭いタイトルにしたのは、私が音楽に詳しくもなければフェス初心者で友だちもロクにいない人間であり、この記事はそういう人間が書いたものだからどうか期待しないで、叩かないでほしいという願望の表れです。

私は星野源のしがないオタクで、かと言ってラジオは気が向いた時にしか聞かないし、彼の作品を網羅しているわけではないです。邦楽も洋楽も浅く広く聴きますが、それゆえに知識に偏りがあります。

かけられる保険は全部かけておきたい。最近のインターネットは怖いからね。

初めての夏しかも野外フェス

家から電車で2時間かけて、海浜幕張駅に到着したのは夕方4時。本当はSUPER BEAVERもChilli Beans.も観たかったけど、星野源が深夜にDJナイトするって急に言い出すから…仕方なく。
本当は前日『みんはや』(みんなで早押しクイズ)にハマって3時まで起きてたからなんだけど、そういうのはどうでもいい。

初の野外夏フェスということで、まず、

暑すぎ。頭おかしい。

あれだけ騒がれていた台風は呆気なく過ぎ去って、代わりに体温より高い外気温に溶け落ちそうになった。日陰は少なく、どこへ行っても人で溢れかえっている。
1時間かけたメイクが10分も経たず台無しになるのを感じながら、道ゆく美女が涼しげな表情で汗を全くかいていないことに羨ましさより先に驚きと心配を覚える。みんな細いし。
そして、

ぼっち、つらい。

後述のTempalayとPUNPEEはBEACH STAGEでの出演だったのだが、夕暮れの海辺はカップルか友人同士で写真の撮り合いをする観客で溢れていた。1人で1000円するチキンカレーを食っていると寂しくて死にそうだった。
1人でいる方が思い切り楽しめるし、音楽の趣味が完全に合う人なんていないので仕方ないけど、やっぱり誰かと感動を分かち合えないの悲しい。だからこれ書いてるんだけど。

私の居場所は作るものだった
って星野源も歌ってるし…

さらに同伴者がいないとキツいのが、

会場広すぎ。

方向音痴かつフェス初心者私にはかなりしんどかった。マップを見ながらZOZOマリンスタジアムを無駄に外周し、日焼けで真っ黒なスタッフのお兄さんに「ここはどこですか?」と頓珍漢なことを何回も聞くハメになった。

そういえば、シャトルバスの他になぜかトゥクトゥクがあって興味を引かれたが、いかんせん迷子で大幅に時間をロスしており見に行けなかった。

なんで?

あと、こういう大規模なイベントに来ると、派遣バイトで来ているであろうスタッフさんたちに同情してしまう。このクソ暑いのに浮かれポンチのアホどものだるい対応をしなきゃいけなくて日給一万ちょっとなんて、私ならできない。運営に携わる全ての方に感謝してます。

そんな初のぼっち夏野外フェスでしたが、まだまだ語り足りないので観た感想をアーティストごとに振り返る。おまけに印象的だった曲を一曲ずつ紹介。

Laufey

ちょーかわいかった。
迷子で滝のように汗かきながらギリギリ駆け込んだら、のびやかで優しい歌声に包まれて別の意味で溶けてしまいそうになった。
チェロもピアノもお上手。水色のふわふわなドレスに真っ赤なギターがよく似合う。
機材トラブルか何かでセトリが急遽変更になったが、お茶目に受け流していて女神様とかディズニープリンセスとかみたいだった。
ジャズ、ボサノバ、カリプソなどに真正面から向き合いつつ、ポップスとしても聴けるように昇華している稀有なアーティスト。

♪ Promise / Laufey

It hurts to be something
It's worse to be nothing with you

っていう歌詞が、英語らしい言葉遊びで、でも切なくて、好きなんですよねー。
ピアノメインのシンプルで音少なめなアレンジがじんわり胸に沁みる。大好き。生で聴けて嬉しかった。


星野源

またもや迷子になりギリギリに駆け込み。アリーナ席だったが久しぶりに会えた源さんは米粒サイズだった。スタジアムのスタンドいっぱいに人がいて、みんなに愛されてるんだなぁ、と、もうそれだけで泣きそう。
真っ青なTシャツに白ズボンで現れて、「ドラえもんだ〜!!!」となった。シャツの染みで滝のように汗かいてるのが遠目でもよくわかった。やっぱり暑すぎた。
セトリは完全にヒット曲メドレー。ファンじゃない人もみんなサビを口ずさめるからすごい。
でも今考えるとアレンジもしっかり効いてたな。武嶋さんのサックスソロはいつ聴いてもニヤニヤしてしまう。バンドメンバーもいつもの皆さんで、チーム星野源の安定感さすが。初めて野外で聴いたけど、音が響きにくい中であれだけのクォリティなのはあっぱれとしか言いようがない。
毎度のことながら “Week End” でぐちゃぐちゃになって踊り、"Hello Song" の「笑顔で会いましょう」で号泣。
会うたびにファンが増えてるし、歌が上手くなってるし、若返ってる。いつまでも憧れの人だなと思った。

♪ Ain’t Nobody Know / 星野源

この日聴くまでは冬の雨の日のイメージだったけど、亮ちゃんのギターソロで情熱的な熱帯夜のイメージに大変身。ライブの醍醐味って曲の見方聴き方が変わることだと思うので、大成功だったと思う。星野源がポップスの人だと思ってる人は全員この曲に撃ち抜かれてほしい。色気たっぷりで大好き。


Tempalay

ライブで観るのは初めて。リハの時から面白い音がたくさん飛び出してくる。そのリハに時間がかかりすぎて、本編が一曲カットになったのは笑った。
ボーカルの人上手い!知ってたけど。特にシャウトが上手かった。あと、あの見た目からは想像のつかない透明感のある高音、生で聴くと余計に色気が半端ない。キーボードの女性のコーラスも良い味出してる。パーカスもベースも凄い高度なこと求められてるのを感じた。
「縦揺れ」「横揺れ」という言葉があるが、このバンドの曲は「斜め揺れ」だな。みんな恍惚としてゆらゆらと揺れていた。
初見に向けて有名曲をやるという気遣いもなければ、「Måneskinを捨ててこっち来るなんて頭おかしい」と言われすらしたけど、観てよかった!
サイケな曲調もそうだが、カルト的な人気があるのがなんだかゆらゆら帝国っぽかった。隣にいたコアなファンと見られるお兄さんのテンションが上がりすぎて脇腹に肘フックを喰らった。ジンジンしたけど、お手本のようなノリ方を見せてもらったので許す。

♪ 今世紀最大の夢 / Tempalay

リハの時に歌ってました。シングルのジャケットが「地球の歩き方」のパロディでかわいいんだよね。ライブでもしっかり見たことない楽器使って世界観出してた。


PUNPEE

初っ端から「夜を使いはたして」おり最高。
本人が目の前でリズムとってるの見られるだけで幸せなのに、ゲストが豪華すぎた。
まずスカートの澤部さん。なんか見た目からしてほっこりするし、歌の安定感すごい。
次に来た漢a.k.a.GAMIの、背中で語る感じとてもかっこいい。凄まれてビビってるPUNPEE、なんかよい。それをいじるBIMくんもよい。
BIMくんはかわいい。PUNPEEのもう一人の弟みたいな関係性が素敵。Kohjiyaさんは存じ上げなかったんだけど、この3人の新曲をこの後星野源がDJでかけるという胸熱展開があったので帰ってからちゃんと聴いた。
PUNPEEの曲って、
「えもいわれぬ気持ちはエモいじゃない」
「君の芝生は緑 青じゃなくていい」
「愛してやまないってか愛してるから病まないで生きられそう」
みたいにどれにも必ず一つは忘れられないパンチラインが入っていてすごい。

♪ BABY BLUE / Fishmans

まさかのFishmansを澤部さんとカバー。この曲澤部さんの声質によくマッチしてるし、PUNPEEのラップもバチバチにハマってて超カッコよかった。音源化待ってます。何より歌ってる最中でマリンステージの方で花火が打ち上がって、映画のワンシーンみたいだった。夜の海辺で聴くPUNPEE良すぎる。


so sad so happy 真夜中

去年のSUMMER SONICでも星野源は一つのステージをキュレーションしていたのだが、デリー大学の無駄に早いインド招集のせいで泣く泣く見逃した。それが今年はこういう形でオールナイトのイベントで観られること、それだけでものすごく嬉しかった。
そもそもso sad so happyっていうコンセプトがいい。このタイトルで星野源があげているプレイリストが良すぎるので勝手にリンクを貼っちゃおう。

松重豊のDJも、UMI、CAMIRO、Ali Shaheed Muhammadも全員観たかったけどね!
去年の雪辱を晴らすという意味でも、すごく楽しみにしていたけど、それはもう想像以上だった。

DJ Gen Hoshino

昼間のステージではポップスターとして燦然と輝いていた彼が、今度はDJに。なんだかクラスの人気者と放課後お忍びデートしてるみたいな背徳感があってたまらんかった。
最初は知らないジャズでかなり攻めているな〜と思ったが、中盤でNujabesやJ Dillaなど、彼がラジオやテレビで紹介したことのあるアーティストの曲がかかって総復習のような感じだった。ファン大歓喜。R&Bの礎を築いた偉人の曲ばかりで、「80年代に戻ったみたいだね」と本人も言っていた。
DJしながらノリ方のお手本を示してくれるのも親切だった。途中「女々しくて」みたいになってたけど。何より本人がめちゃくちゃ楽しそうでこっちまで嬉しくなる。
私が留学していた一年の間に星野源はDJまで習得しているというのに、何も成長していない自分が恥ずかしくなった。

♪ Road Trip / Kirk Franklin

教会音楽とHipHopを組み合わせた新ジャンルを確立したKirk Franklinの楽曲。ANNで紹介されてから知って以来大切に聴いていた曲なので、流れた瞬間涙が出た。このパワフルなコーラスと歌詞に何度励まされたかわからない。開放的なラストに盛り上がった会場の拍手が、音源と重なったあの光景、一生思い出すんだろうな。


Answer to Remember

星野源楽曲のレコーディングにも参加している、ドラマーの石若駿率いるインストバンド。DJ星野で温まった空間を一気に最高潮まで引っ張りあげた。
トランペット、口どうなってる?と思うほど高音を連発してて唖然。吹奏楽部の金管楽器奏者が言いがちな「唇使いすぎた」というセリフが完全に練習をサボる言い訳だと証明されてしまった。
サックスもバカみたいにかっこよかった。あの楽器ってなんであんなにセクシーなんだろう。二大花形楽器がバチバチにイけててユーフォチューバ吹きとしてはなんか悔しい。
そしてそれに引けを取らないドラムやベースの超絶技巧。どうやってアンサンブルしてるんじゃ。ハマりそうにない拍が、ピタッとハマって鳥肌。どの楽器も人間業ではなかった。

♪ RUN / Answer to Remember, KID FRESINO

今回FRESINOは出てないしこの曲をやってたかどうかは正直記憶が定かではないのだが、帰ってきてYouTubeで見つけて大混乱してるなう。これをライブでやる狂気。また生で聴きたいな。このバンドの演奏で “so sad so happy真夜中” が伝説的なライブになることを確信した。


DJ Ryosuke Nagaoka

星野源バンドのギターとしても、東京事変の浮雲としても知られるイケおじ。なんでも卒なくこなす男。嘘みたいな長髪とストライプのシャツが何故か超かっこよく見える。バーテンにも、喫茶店のマスターにも、モデルにも、俳優にもなれそう。意味わかんない。
初DJだと言うが、シャンパンを開けてこちらを気にせず盤に向かう様子は、ベテランのような余裕があった。本当に好き放題やってる感じ。
選曲はカントリーからエレクトロまで、星野源とはまた別のアプローチ。盛り上がりそうで盛り上がりきらない、をずっと繰り返され、かなり焦らされた。星野源が入門編なら、こちらは簡単にはノらせてもらえない中級編だった。私たちはいつも長岡亮介の手の上で転がされている。

♪ Evil / Earth, Wind and Fire

Twitterの人がプレイリストを作っていてそれで初めてEarth, Wind and Fireの曲だと知った。”September” や “Boogie Wonderland”、”Sing a Song” ばかり聴いていたから、こういう落ち着いた電子っぽい曲も作ってるんだと驚いた。これはこれでいい。

ところで、帰宅後すぐライブのプレイリスト公開してる人って演奏中に曲目メモってんのかな。しかも聴いてどの曲がわかるってどういうこと?


Tucker

完全に初見。星野源の古い友人で、おげんさんのある回で紹介されていたらしい。おそらく留学中で見逃したやつだ。悔しい。
ドラムやエレクトーンなどを使ってその場で録音・再生し、曲を組み上げていく。エレクトーンってこんなに面白い楽器なんだ!自由自在に音を操って、めちゃくちゃ遊んでいた。上裸になったり帽子吹っ飛んだりテキーラ飲んだり火が燃えたり、それはもうめちゃくちゃに。音だけじゃないパフォーマンス、みんなでゲラゲラ笑いながら楽しむの最高にLiveだった。
でもメロディとか節々になんとなくSAKEROCKみのある懐かしさと切なさを感じるから困る。もう、どんな顔して聴けばいいのかわかんないよ!!!すごい!!!!!

最近はInstagram(@tuckerelecton)のリール動画でこういう即興?演奏動画をアップしているようです。見てみたら映像センスも神がかっていて本当にクリエイティブで楽しい人だなと思った。エンターテイナー。


DJ JIN (RHYMESTER)

流石は本職のDJとなると、場の盛り上げ方、曲間の繋ぎ方、もう全てが完璧。
名前がわからない曲ばかりだったけど、一瞬も飽きることなく最後までフロアを沸かせてた。台風で飛行機が飛ばずTerrace Martinが来日できなかったのは残念だったが、その分20分追加で流してくれて、最後には彼の曲もかけてくれて粋だった。疲れて足が棒状態だったのに、ずっと踊っていられたな。
洋楽で繋いできた中で終盤にかかったRHYMSTERの楽曲、キラキラしてたしフロアが一気に熱くなってた。今日はPUNPEEのステージも含めて日本語ラップの魅力を再発見する一日でもあった。

♪ ジャズィ・カンヴァセイション / SOIL & “PIMP” SESSIONS feat. RHYMESTER

この曲が流れたわけではないけど、改めてRHYMESTERを調べてたら見つけた曲。日本語ラップとジャズって実は相性抜群。Mummy-Dのラップは唯一無二でかっこいいな。


Robert Glasper (feat. Yebba)

もう死んでもいいと思えるくらいよかった。
シンプルなセットなのに、音の厚みも質も他のアーティストと段違い。同じフレーズを繰り返しながら少しずつ展開していく曲に聴く人みんながどんどん酔いしれていくのが肌に感じられた。
じわじわと曲が盛り上がる中で、ふと入ったドラムソロの超絶技巧に歓声より先に笑みが溢れる。なんだこれ。他の人も笑っていた。人は本当に感動した時笑うんだなと思った。人の為せる技ではない、正確無比な変拍子。
それを見て呆気に取られていたら、Yebbaが登場して盛り上がりがピークに。会場を突き抜けるパワフルなハイトーンと16部音符を感じるフェイクに惚れ惚れとした。

♪ Over / Robert Glasper, Yebba

この曲を披露している途中に機材トラブルでスピーカーの接続が切れた。先頭から10列目くらいで聴いていたので、アーティストの表情を見ながら生音を聴けた。その音が良すぎて泣いた。

さらにもう一曲印象的だったのが、Robert Glaperのピアノで聴く星野源の "Pop Virus"。昼間聴いたのとは全く違う曲になっていた。観客全員でナナナと大合唱して泣いて、歌い終えた2人が熱いハグをするのを見て泣いた。あの瞬間が焼き付いて、思い出した今でも泣いてる。人生最高のライブだった。


最後のMCで源さんが「真夜中って普段は1人で寂しく過ごすものだけど、こんな素敵なライブをみんなでできて、こんな夜があるなら生きていこうと思えた」というような趣旨のコメントをしており、正しく私が思ったことを一瞬で言語化されてしまったのでまた泣いた。

本当に明日を生きる力をくれるライブだったと共に、これ以上のライブが死ぬまでに何度あるだろうかと絶望的な気分にもなった。帰り道も余韻が抜けなくて、しばらく音楽が聴けなかった。でも「笑顔で会いましょう」と歌われてしまったから、生きていかなきゃなぁ。

源さんのMCが終わって舞台からはけていく時に、『光の跡』が流れて、みんな手拍子したり合唱したり。

消えてゆくのに なぜ
ただ 忘れたくない思い出を
増やすのだろう
ほら 出会いは 未来だ

この歌詞で締めくくられたso sad so happyな真夜中でした。星野源が長生きすると言ってくれて、オタク大満足です。

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