掴みはオッケー? 読んでもらうためには、読者が●●●●ことから書く
『痛い失敗体験から学んだ 愛される書籍の成功の秘訣(仮)』、今回は、どうやったら読まれる文章になるのか? 構成の点からお話してみようと思います。
私が最初に配属されたのは子ども服のファッション誌で、1年半で赤ちゃんの育児雑誌に異動になったのですが、この赤ちゃん雑誌の編集部で編集の基本を学びました。その一つが、記事の「構成」でした。
読みたい!と思ってもらうには、まず心を掴まなくてはいけない。そのために、構成を考えることが必要だったんです。
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編集脳アカデミーの藤岡信代です。
電子書籍出版サポートとコンテンツビジネスのコンサルティングを行っています。
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まずは、何も知らなかった新人の私が、「デスクにどんな指摘を受けたのか?」のお話から始めますね。
事実を並べて、面白い?
自分の中に完成のイメージがなければ、形をつくることはできない。まずは、たくさんの雑誌記事を読んで、モデリング(要は真似)をすること、というお話は、以前に書きました。
取材をするときにも、まずは類似の記事をたくさん読んで、展開の仕方や、伝えなければならない大切なポイントを知ることから始めます。
赤ちゃん雑誌では、育児中のママさんに取材することもありますが、小児科の先生や発達心理の大学教授などにも、医療や育児の専門的な知識を取材します。
こういった記事は、やはり下調べをしておかないと、取材先の先生の貴重な時間を奪うことになるので、特に関連記事を読み込んで準備してから取材するんですね。
あるとき、小児科の先生に取材する機会がありました。
事前に下調べをし、取材メモをとり、自分なりに丁寧に書くことを心がけて、原稿をデスクに提出しました。
その場ですぐに原稿を読んでくれたデスクは、一言、こう言ったんです。
「確かに大事なことはちゃんと書いてあるけど、この書き出しで面白い?」
一瞬、何を言われているかわからず、固まってしまった私に、デスクはこう続けました。
「話の流れを順番に書く必要はないんだよ」
そして、書き出しをどうすればいいのか、を教えてくれたのでした。
デスクが教えてくれたのは、メディアがすべきことの本質だと思っています。
事実を書くことは記者としてとても大事なこと。
でも、それを、読者の側から見て、興味をひかれて読みたい!と思ってもらうには、書き手が工夫する必要があるのです。
その工夫の一つが「並べ方」。つまり、文章の構成です。
掴みはオッケー? 最初が肝心です
デスクが教えてくれたことを具体的にお話しすると、段落の順番を変えるということでした。
「読者がいちばん知りたいことは、何だと思う?
そこから始めたほうが、面白く読めると思うよ」
一言で言うと、冒頭で心を掴め!ということです。
人は、自分の関心のあることにしか、注目することができません。
興味のないことは、そもそも目に止まらない。目がスルーしちゃうんですね。
雑誌の記事で言えば、記事タイトルで関心を引く。次は、最初の書き出しの文章で関心を引く。
そうして、次へ次へと関心を引き続けるから、最後まで読んでくれるわけです。
このことは、インターネットにメディアが移って、可視化されちゃいましたよね。
最後まで文章が読まれているかどうか、数値で測れるようになりました。
だから、WEBマーケティングの専門家のほうが、「関心を引き続けろ!」と熱心に言っているように思います。
でもこれ、インターネットやマーケティングの手法に限った話じゃないんです。
人間の脳のつくりが、そうなっているということ。関心をひかれないと、そもそも気づかないということ。
デスクから大事なことを教わってから、私は、「読者が関心を持っていることは何か?」「何から知りたいか?」を考えるようになりました。それは、「読者を深く知る」ということでもありました。
それなのに、入社15年近く経ってから痛い失敗をしているのですが(恥ずかしい……)、それは、こちらの記事でご覧くださいね。読み返してみましたが、大事なことが書けていると思います。
何から書き始めるか?
本当に大事なんです。
特に、まとまったコンテンツをつくるときには、「構成」が大事だと思います。
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「読者を深く知る」というところに繋がったので、次回は、読者を知るということについて書いてみようと思います。失敗体験というより、「思い込みに気づいた」という体験ですが、私にとっては転換点になった気づきなので、良かったら読んでください。
●著書
Kindle書籍です。読者プレゼントとして「日記ブログを読まれるブログに変える3つのステップ」という特典動画レッスンつき。
●編集脳アカデミーのウェブサイト
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