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忘れられないローマ旅 山中りんたそ

 犬は歩くと棒に当たるが、山中は旅をすると棒に当たる。

 こと、大学生の時に友人U、Hと訪れたローマ旅行では、私を含む3人全員に災難が降り掛かった。

【Hの場合】
 彼は、比較的大きな問題にならなかったのだが、出発前にオーバーブッキングが発覚した。オーバーブッキングとは航空会社が空席をつくらないように、予約を定員よりも多めに受け付けることで発生する。しかし、この旅行は安さを求めてJTBなどの大手旅行会社を通さず、自分たちで中国の航空会社のHPから直接チケットを確保していた。当然HPは中国語のみ。そんな経緯だったので、航空チケットが確実に確保できているのかの確証もあいまいな状態だったので、オーバーブッキング発覚時は大パニック。最悪、Hだけを成田空港に置き去りにしていくパターンまで考えていた。結果は、無事全員搭乗できましたとさ。

【Uの場合】
 Uはこの旅行で最も悲惨な目にあったかもしれない。事件が勃発したのは、現地に到着して観光1日目、ローマのシンボルとも言えるコロッセオの前で。3人で記念撮影を行っていたところ、1人のアフリカ系の外国人(現地では我々が外国人だが)に声をかけられた。彼は、我々一行の出身が日本だとわかると、「福岡や大阪、京都などに以前観光に行ったことがあるぜ。」ということを話し始め、その場が少し打ち解けた雰囲気になった。そこから、話題がサッカーの話題になったところで、3人で唯一の経験者であるUに会話のターンが回ってきた。このあたりから、雲行きの怪しさは3人とも感じていたが、サッカーの話でUとその彼の間に友情?が芽生え、Uは握手を求められた。と、その刹那、Uの腕には友情の証としてミサンガが巻かれた!すると、どこからともなく190cmはあるだろう仲間が2人現れ、ミサンガの代金として日本円7000円を要求されるU。Hと山中はUを捨てて遠くへ避難。結果、Uは7000円分の現地通貨と囲まれている隙にポケットの財布から1万円が抜き取られ、合計17000円の被害を、観光初日にして負った。あの時、助けずに遠くから笑って眺めててごめんね。

【山中の場合】
 私もUに負けず劣らずのトラブルにあった。Hの場合でも述べたように、安さ重視(実際、航空費ローマ往復72000円)のため、直行便ではなくて北京で一度乗り換えを行ってローマに向かう行程だった。約17時間のフライトの末、ローマの空港に到着し預け入れの荷物を待つ僕。一向にでてこない僕のキャリーケース。等々流れてくるレーンが止まってしまい、荷物が届かなかった。所謂、ロストバゲージというやつである。インフォメーションに確認を取ったところ、荷物は北京の空港にそのままあるということ。明日の同じ時間の飛行機でローマに届くように手配するので、ホテルのアドレスを教えてもらえれば配送してくれることをカタコトの英語で確認を行った。この時点で私の所持品は「財布、モバイルバッテリー、ポケットWi-Fi、パスポート、イヤホン、ガイドブック、ハンカチ」のみである。ミニマムなローマ旅行の始まり始まり。とはいえ、荷物を届けてもらえるということで、衣服や歯ブラシは現地調達、友人にズボンを借りるなどして乗り切ることができたが、2、3日経っても荷物が届かない。チェックアウト、帰りの飛行機は滞在5日目だったが、その日に荷物とすれ違いになるのは嫌なので、4日目に決着をつける必要があると考えた私は、同行者であるUとHにポケットWi-Fiを預け、1人荷物探しの旅にでる決断をした。4日目、2人と別れた私がまず向かったのは日本大使館。ここまで行くのにも、紙の地図を頼りに道行く人に聞き込みを行いながらであった。事情を説明したところ、大使館の人曰く「イタリア人は少し適当で、帳尻さえ合えばなんでもいいと思っている人が多いから、もしかしたら空港にあるかも」とのこと。カタコトの英語でディスコミュニケーションの可能性も考えられたので、その日のうちに空港に行くことに。そこからは、バス乗り場までの道のり、空港までのバスチケットの買い方、すべて現地の人に聞いていきなんとか空港に到着。この道のりは不安な心一杯だったが、RPGの主人公の様で少しワクワクした。空港につき、事情を説明すると、ある部屋に通された。そこには山のように積み重なる荷物の数々、、、。身長の倍近くは積み重なっていた。その山の中にあるかもしれないとスタッフに言われ、探すこと30分。とうとう、自分の荷物を5日ぶりに救出することができたのである!めでたしめでたしのハッピーエンドだが、最後に空港のスタッフが余計な一言。

「荷物が見つかるなんてお前ついているなあ!」

配送の約束はどこいったんじゃワレ!!

 長文失礼いたしました。

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