再・ツーブロック禁止!? 山中りんたそ
週末、髪を切った。
すると例のごとく、「先生、ツーブロックはだめなんじゃないですか?」と、自分の容姿を異性に対していかに良く見せようか日々奮闘している中学生諸君からの質問が飛んできた。
以前のエッセイでは偉そうに理由を述べたが、実のところをいうとツーブロック禁止のルールを守らせている私にも、その理由はよくわからないのである。みんなごめんね。
ツーブロック等の身なり・服装の校則に関する学校側の理屈はこうである。
「高校入試のときに、身なり服装はしっかり見られている。普段から身なりに気を配っていないと本番で失敗するから。」
この理屈の一理はわかる。
ツーブロックにしても、20年〜30年前はやんちゃな人の奇抜な髪型だったのだろう。学校がそれを忌避するのは致し方ない部分である。
ただ、次のような点で、この立場は否定されるものだと考える。
それは、この偏見にも近いこの価値観が再生産されるという点で否定される。昔こそやんちゃな人の髪形として認知されていたとしても、今ではツーブロックはごく一般的な髪形のはずである(すっきり見えるので美容院に行く回数が減り、経済的な髪形とも言える)。にも関わらず、ツーブロック禁止を強要することは、「ツーブロックはイケナイ髪形である」という全く根拠のない価値観を学習させ、将来ツーブロックの人を見たときにその人を「イケナイ人」と認識させることになってしまう(善良なツーブロックの人がかわいそうです)。
また、「高校入試の時に〜」の理屈を生徒に説明することは、「人を評価するには、容姿で判断すればよい。」というメッセージを与えていることになる。普段、道徳の授業では、「人を見た目で判断してはいけません(人種差別含む)。」なんて言っているのに、「でも実は大人は見た目で判断しているけどね。」なんて意思表示をしたら、ダブルスタンダードで混乱を招くのは必至だ。
人を見た目で判断するような人を、私は育てたくはない。なので、憲法の授業で力強く、「表現の自由」について熱弁しておいた。