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エッセイ集 へいたのはなし

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エッセイ集です。ここに書いていることだけは本当の話です。おそらく、多分、だいたいは。
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#映画感想文

エッセイ 世界を正確に見るための夢【映画「アステロイド・シティ」感想文・ネタバレあり】

エッセイ 世界を正確に見るための夢【映画「アステロイド・シティ」感想文・ネタバレあり】

 ウェス・アンダーソン監督の映画「アステロイド・シティ」を観に行った。名古屋にある伏見ミリオン座というところで、いろんな映画に関するイベントもやっている。応援したい映画館なのだけれど、このところ随分行っていなかった。久しぶりに来て、それだけで嬉しい。

 作品は1950年代のアメリカの架空の田舎町と、同時代の演劇界を舞台にしている。劇場ポスターをよく見ると集合写真に白黒の人物が混じっている。この作

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エッセイ 退屈で意地悪な私たち(映画『イニシェリン島の精霊』感想※ネタバレあり)

エッセイ 退屈で意地悪な私たち(映画『イニシェリン島の精霊』感想※ネタバレあり)

※このエッセイは映画『イニシェリン島の精霊』のネタバレがあります。情報を入れたく無い方は読まないでください。

 人の顔の見分けが下手な方です。
 なんだか、ふわーっとしか覚えていません。外出中に「あ。〇〇さんだ」と思って通りすがりの人をじーっと見ていて、結局違う、ということが結構あります。

 そんなわけで、俳優さんの顔の見分けもあんまりつかなかったりしますが、バリー・コーガンはつきます。アイル

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エッセイ 物語れ、呪いを解くために(映画「犬王」感想ほか)

エッセイ 物語れ、呪いを解くために(映画「犬王」感想ほか)

 映画「犬王」を観にいった。監督の湯浅政明さんのファンだからだ。いや、キャラクター原案の松本大洋さんのファンだからかもしれない。いやいや原作の古川日出男さんの…。
 とにかく、観る、ということだけ前々から決まっていた。初日の初回。地元の映画館のネット予約開始時間早々にアクセスして、真ん中の、一番いい席をとった。

 事前に原作を読破ずみだ。「平家物語 犬王の巻」。躍動感のあるいい小説だった。古川日

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