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#31クソみたいな日に名前を付けるなら⑤
鼻に残るホワイトワインの香水お酒を片手に高校生の日常を題材にした小説を読んでいた。
Apple Musicのプレイリスト「寝る」を聴きながら流した時間。
この時間だけ僕は学ランを着ていた。
懐かしさに深い息を吸った。
またあの匂いが鼻を通ってきた。
高校3年生の受験勉強真っ只中、僕は恋をしていた。
花火の打ち上がっているアスファルトの真ん中で想いを伝えた。
浴衣姿の彼女は麗しかった。
「勉強に
#23クソみたいな日に名前を付けるとしたら④
幻のような夢を見た日の朝アラーム音に気が付かず、寝過ごしてしまったのはいつぶりだろうか。
危うく寝過ごしてしまうところだった。
時刻は午前7時40分、天候は雨、覚めてしまった夢に首輪を着けられたまま動けなかった。 懐かしい香りと変わってしまったことに対する嘆きが交わされていた。
うがいをしようと洗面所へ向かう。
顔についているのは情けなく生えている髭だけ。
ぼーっ
#21クソみたいな日に名前を付けるとしたら③
何でもできる気がしていた無力なあの頃朝練の前に1人、まだ空が闇に包まれている時間に目を覚ました。
この空を見ると思い出すのが高校2年生の頃だ。
自分は何にでもなれると思っていた。
何でもできると思っていた。
客観的に見ても部活中に怪我したこと以外全て上手くいっていた。
羨むくらい思い通りになっていた。
高校2年の冬、僕に恋人ができた。
他校の同じ部活のマネージャーだ。
他校なのに当時通っていた学
#19クソみたいな日に名前を付けるとしたら②
受験生へ「自分を信じて」なんて言葉をかけるつもりはない。
ここぞという時ほど自信がなくなるのを知っているから。
「大丈夫」「頑張れ」なんて言葉もかけるつもりはない。
そんな言葉をかけるような無責任なことはしたくないから。
吐きそうなくらい緊張しているだろうし、怖くて泣きそうだったりしているだろう。
100%実力を出せるとは限らない。
これが「一発勝負」というものだから。
それでも血の
#18クソみたいな日に名前を付けるとしたら①
「ごめんね」と言いたくなるほど脆い夜に
部活が終わってマックと豚骨ラーメン屋をハシゴ。
友達と別れた帰り道、夜は平等にやってきた。
自転車を漕ぎながら部活でできた痛みに気が付いた。
日に日に増えていく傷。
けど、ポジションの関係上傷付けてしまう回数の方が多いだろう。
夜の匂いが鼻を通る。
車を運転している人しか権利のない道路を走る。
夜の10時過ぎ。
丘の上の高層マンションの明かりはまだ明るか