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工作室もくもくはりねずみの「仕組み」 都内で利用費1000円で成り立っている理由「共同オーナー制度」とは?
この記事では、工作室もくもくはりねずみがどのような収益構造で成り立っているかについて書いています。
下記のような方にオススメです。
工作室運営に興味がある
もくはりの値段設定があまりに低いのでどうして成り立っているのか不思議に思う
将来自分で工作室やカフェ、バーなどお店を持ちたい
工作室もくもくはりねずみとは
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文京区にある工作室です。地域の工作室というコンセプトで、お子さまから大人まで、工作初心者から工作上級者まで楽しく使って創造性を発揮できる場所づくりを目指しています。マイターソー、サンダー、ボール盤、3Dプリンター、レーザー加工機、カッティングマシーンなどの工作の道具を自由に使える工作室です。1日1000円で利用ができます。(消耗品が必要なものは消耗品代が別途かかります。)木っ端、端材も使うことができます。
1日1000円にしたかった理由
一般的に、工作室やファブスペースは「特定の機材を◯時間または◯分いくら」という料金形態にしているところが多いです。
こうした仕組みの工作室は、利用者が工作道具を使うのになれていて、かつきちんと計画を立てて作業内容を決められる場合は問題なく使いこなせるのですが、個人で制作を行うとき、きっちり計画を立てるのではなくやりながら考えて作っている人が多いのではないでしょうか。
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初めて扱う材料に、初めて使う道具。
計画通り作業ができたとしても自分が満足できる結果になるかはやってみないとわかりません。
機材を予約して材料を買ってきたけれど、対応していない材料だったとか、思うように加工ができなかったとか、うまくいかないまま利用料だけかかり再度予約をしないといけないのは利用者にとってストレスです。
朝、とりあえず工作室に来て、道具や端材を見たり、紙に設計図を描いたり、その場にいるスタッフに相談したりして構想を練り、お昼ごはんを食べるついでに近くのホームセンターや100円ショップで材料を調達して、午後ガッツリ作業を行う。
こういう使い方ができるとよいよね、と、仲間とディスカッションし、1日1000円で色々な道具を使える工作室にしました。
1日1000円を成り立たせる仕組み
そりゃぁ、安けりゃ安いほどいいですよね。
しかし、それでは事業として維持ができません。
ユーザーにとって良い形で、持続的にサービス提供するにはどうすればよいのか…?
もくはりを始めるとき、下記ポイントに気をつけてビジネスモデルを考えました。
① 初期段階では設備は最小限で始める
② 月々の固定費をめっちゃ下げる努力をする
③ 共同オーナー制度
一つ一つどんなことをやったか、書いていきます。
①初期段階では設備は最小限で始める
工作室を始めるとなると、初期に「良い機材・設備」を種類豊富に揃えたくなります。しかし、ユーザーのニーズが見えていない中でたくさん物を買ってしまうと不要なものまで買ってしまいます。また工具類は買ったけど使ってないものがお家に眠っている人が多く、譲って頂ける場合も多いです。(すでにうちの工作室にはジグソーが3台あります。笑)
ちなみに、「どんな工具がほしい?」と周りの人に聞いてはいけません。
なぜかというと、創作しているジャンルによって全く違うことを言うからです。
実際ヒアリングしてみたところ、UVプリンター、CNC旋盤、真空脱泡装置、手動射出成形機、オシロスコープなどが出てきました。全員のすべてのニーズに応えるのはスペース的にも経済的にも簡単ではないとわかりました。
もくはりを始めるときに所有していた工具は、事業を始める前から買い集めていたボール盤、3Dプリンター「Anker Make5」、簡易的なレーザー加工機「Laser Pecker2」、バンドソー、ジグソーの5つのみでした。
新しい工具・設備の購入は、運営を始めて実際のニーズを掴んでから行うのがオススメです。
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現在は、大変ありがたいことにいただきものや借り物、ジモティ活用、仲間によるDIYで設備がとても充実しています。
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また、木工工具の多くと作業台はKitewa Wood Workshop のTimさんからご提供&作成いただきました。
木工DIYに興味がある方は毎月もくはりで行われるTimさんのワークショップにご参加ください!
② 月々の固定費をめっっっちゃ下げる
月々のランニングコストの大部分をしめるのは「家賃」です。
特に、都内は高いですよね。小さい場所でも立地によってはびっくりな価格!
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この事業は、普通の値段で借りたら成り立ちません。
広さと立地など最低限の条件をクリアしていて相場よりずっと安いところはないか…?
探すと、たまーにあります。
たまにあるけど、そういう物件はすぐに契約が決まってしまいます。
私は一度、工作室に良さそうな物件を見つけましたが内見の予定をゴニョゴニョ合わせているうちに他の人に契約が決まってしまいました。
見つけた瞬間に電話し、内見し、申込者がいるかを確認して他にいる場合はその人より早く契約の手続きを進める必要があります。
今の物件は路面店で広さもちょうどよくDIY可能と、工作室運営をするにはピッタリの条件で、見つけたその日に連絡、次の日に内見、内見した日に契約を進めました。
③ 共同オーナー制度
さあこれで、成り立つ仕組みになったかというと、まだ足りません。
仮に1日1人工作室を使う人がいて利用費が1000円だと、毎日入ったとしても、30,000円/月。
一方で、利用費を上げると利用のハードルがグッと上がってしまい、「子どもから大人まで、初心者から工作上級者まで創造性を発揮できる場所」というコンセプトからズレてしまいます。
そこで考えたのが「共同オーナー」制度です。
「アトリエ」を利用したいメンバーを集めて「共同オーナー」とし経営委託のような形で一緒に工作室をつくることを考えました。
現状、もくはりの基本サービスは以下です。
工具のスポット利用:1日1000円/人で工具利用ができる
棚レンタル:棚に自分が作った作品の展示や物販ができる
共同オーナーは月額33,000円を支払う代わりに、上記サービスの利用ができ、かつ、他の人がサービス利用をするとその利益が毎月2割ずつ分配されます。
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共同オーナーが工作室を一緒に盛り上げ地域の工作人口を増やすと、共同オーナ自身にも利益があるという仕組みです。
また、共同オーナーから得られる利益でもくはりの最低限のランニングコストをまかなえるようになっており、さらには店番、工具のレクチャーや工作室の整備を分担させてもらっています。(とてもありがたい……)
工作室は7月23日にオープンし、8月から利益の分配を開始しました。
一人あたりの分配金実績は、下記の通りです。
2023年8月:1,749円
2023年9月:2,996円
2023年10月:14,379円 ←※臨時収入があったので飛び抜けている。
2023年11月:8,596円
共同オーナー以外から入った利益が165,000円を超えると、共同オーナーは収入を得ながら工作室利用・運営ができます。
そこへ到達するにはまだ遠く、もっと工夫が必要そうです。
共同オーナーふくめ、もくはりをよく利用してくださる常連さんと日々「こんなビジネスできるんじゃないか、おもしろいんじゃないか」とディスカッションをしています。
もう少し続けて、この仕組みの有用性が検証できたら、工作室に限らず複業で飲食店やその他のサービスに挑戦できる枠組みとして広げていけるとおもしろいんじゃないかと思っています。
共同オーナー3人はこんな人
ビリー(ビリーうどん)
月イチでうどん屋さんをやっている、工作好き。
顔マラソン(走ったルートで顔を描くマラソン)の開発者。
ウクレレ演奏できて、絵画も描く。
めちゃくちゃサポーティブで、いつも人助けをしている。
つちや(Neutfut)
タフティングという毛糸を布に打ち込むガンを使い自由な絵柄のラグマットをつくる技術を中心に、教える活動を行っている。
ペーパーメディアも大好きで、製本や印刷も詳しい。
普段のお仕事はWEB関係で、SEOとかも詳しい。
もりけん(Tokyo Butter Knife)
エンジニアとして、これまでプリンターやカメラ、嫁召喚装置などを作ってきた。機械設計を中心として、電子工作からDIYまでやる。
個人事業として恐怖症カウンセリングや大学講師、不動産経営をおこなっている。肩甲骨剥がし、ババロアや栗きんとん作りも得意。
実はオーナーの夫。
興味を持っていただいたら…
工作室もくもくはりねずみに遊びに来てくださいね!
工作したい方、ワークショップを開催したい方。
興味を持っていただいたらぜひ一度、遊びに来てください。
(見学は利用料かかりません。)
それから、同じような仕組みで別のお店をやってみたい方もお気軽にご相談ください。初期費用などいろいろ詳細情報をお見せしつつ、できる限りご協力します。
公式LINEからご連絡いただくとスムーズです。
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