見出し画像

『やさしさと冷たさの心理』 加藤諦三

 子供が親の期待するように手伝いをしなかったりする。親は「はあー」とため息をついて、辛そうな顔をして失望と惨めさの感情にひたる。この時、親は子供に罪の意識を持つようにしむけている。そして、態度を変えることを求めている。これが「強要」である。(中略)

親がこのようなタイプだと、子供はいつも罪の意識に苦しんでいなければならない。決して言葉でははっきりと求めない。いつも不快感情を使って子供の行動を縛ろうとする。こんな親に育てられると、子供はいつでも、何かこのままではいけないという気持になってしまう。

p120

甘え

・自分の要望ではなく一般論を装うことも。
「妻なら/部下なら、こうするべきだ」と責める

 甘えとは、要求の多いことである。周囲の自分に対する反応に要求の多いことである。「自分がこうしたら、周囲はこう反応してほしい」ということの多い人が、甘えた人ということである。
 自分が望む反応が周囲から返ってこない時、怒りを感じるのが甘えである。

自分のことをチヤホヤしてほしいと望んでいる時、相手がそっけない態度をとったとする。とたんに不機嫌になる。しかし、自分のことをチヤホヤしてほしいとは言えない。言えないけれど、そう望んでいる。不機嫌な人は、甘やかされたいのである。

p23-24

・周囲に誰かいてほしい

 甘えの欲求を満たされていない人は、たいてい虚栄心が強い。他人の注目を自分に集めようとする。他人の賞賛を必要とする。皆に、「わあ、すごい」と言ってもらいたい。

p30

 甘えていたり、劣等感が強い人というのは、マスローの言葉を使えば、欠乏に動機づけられている人なのである。自分の成長や自己実現に関心がいかない。そして、そのような人は、たえず自分を賛美してくれるような人を必要とする。

p100


罪の意識

・うつ病の人、SM好きになる人も関連がありそう。

「自己断罪は、代用的価値感を得るもっとも手っとり早い方法である。全くというのではなくても、ほとんど価値感を喪失してしまった人々は、一般にきわめて強力な自己断罪要求をもっている。というのは、自罰は、無価値感や屈辱感からくる苦しみを消すもっとも容易な方法である」

p67 ロロ・メイ『失われし自我をもとめて』からの孫引き

人と一緒にいても、用事がすめばとにかく早く別れようとする。それは「自分はそこにいる価値がいない、そこにいる権利がない」と感じてしまうからである。他人と一緒にいて、自分はその人と一緒にいるに値しない人間であると心の底の底で感じていたら、どうしても気持は落ち着かないであろう。

p54

・純粋に楽しむことができず、いつも口実(言い訳)を準備している。
「身体にいい」とか「〇〇さんが喜ぶから」とか

酒を楽しむことは、悪いことではない。それなのに、酒を飲んで楽しむことを自分に許せない人がいる。そういう人が「仕事のつき合い」と、口実をつくっているのではないだろうか。

p130


恥、恐怖心

・疲れやすいタイプの人は、常に恐怖心がある

 私は、どうして、ある人々はあらゆることにエネルギッシュで、ある人々は遊びにも仕事にもエネルギッシュでないのか、ということに関心を持っていた。

とにかく世の中にはタフな人がいる。睡眠時間も少なくて、バリバリと働き、豪快に遊び、いろいろな人間関係にも決して消耗しない。ところが、他方に、何もしていないのにいつも疲れている人がいる。

p176

小さい頃、何かうまくできないと、皆に笑われたり、その失敗を面白がられたり、もっとひどい時には、その失敗で皆にからかわれたりしたりすると、自分をさらけ出すことは危険であるという感じ方を、自分の中に育ててしまう。

p44

共同体とは

 家族というものは、本来、共同体なのである。しかし、うつ病者などを生み出す家族というのは、もはや共同体ではなく機能集団になってしまっているのであろう。その家には社会的地位の向上という目的がある。共同体には本来、そのような目的がない。

p201

企業も家族も「機能集団」ということになると、「共同体」としての役割を
ナショナリズム(地域、国ごとのアイデンティティ)や、信仰(伝統宗教、カルト)に求める人が増えるような気がします。


おわりに

初めて心理学/自己啓発ジャンルの本を手に取ったとき
非常に驚いたというか、自分が困っている人の行動原理が解説されていて感動した記憶があります。

学校をサボってジュンク堂で何冊も立ち読みしてた本たち。もうほとんど忘れてしまいましたが、こちらは題名を覚えていたので再読して紹介してみました。

『やさしさと冷たさの心理』は、分かりやすくてオススメなのですが、加藤諦三さんの著作すべて良いぞということもなくて
(KindleUnlimitedで見た範囲だと)
下手なたとえが何度もくり返されていたり「社会的不能症」のようなオリジナルの造語?が登場したり、目が滑る本も、、

こちらもどうぞ

いいなと思ったら応援しよう!