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note記事で取り上げた本や映画の一覧です。50音順 (2024年8月までのもの) ノンフィクション科学 『いじわるな遺伝子』 テリー・バーナム、ジェイ・フェラン 『確信する脳』 ロバート・A・バートン 『共感する女脳、システム化する男脳』 サイモン・バロン・コーエン⭐️ 『すばらしい人間部品産業』 アンドリュー・キンブレル⭐️ 『ドーパミン中毒』 アンナ・レンブケ 『動物感覚』 テンプル・グランディン⭐️ 『若返るクラゲ 老いないネズミ 老化する人間』 ジョシュ・ミッ

『巨大IT企業クラウドの光と影』 (ディストピア小説)

2020年に翻訳されたSF小説。 Amazonがモデルになっている巨大企業「クラウド」は ドローン配送による通販会社としてスタートし、現在では商品開発、保険、教育なども提供する巨大なグループ企業となっている。 近未来というほどでもない、現実にありそうな管理社会が描かれていて面白かったです。 クラウドシティ 「クラウド」に採用された人間は、社員だけが住むクラウドシティで生活をする。街では衣食住すべて揃っており、映画館もパブもある。イメージとしては "大きな刑務所" だが

『すばらしい新世界』 オルダス・ハクスリー

1932年に刊行されたディストピア小説の古典です。 この世界では宗教も家族もなく、資本主義をベースにした イデオロギー教育が行われています。 市民たちは社会で役割を与えられている代わりに、社会の役に立たない自由を持っていません。 社会システム・「親」は存在せず、すべての人間が試験管から生まれる ・アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イプロシン、という5つの階級がある ・受精卵への処置により、各階級に適した人間が作られる。 例えばイプロシン(最下層)の場合  →小柄で背

マフィア映画に学ぶ

フィクサーや相談役など 謎の役職が世の中にはあります。 「パイプ」と呼ばれるものは、頼みごとの貸し借り=利害関係が調整できるという意味だと思うのですが、私はそれらが直感的に分からないほうなので、マフィア映画から学べることは多いです。 たとえば 社会的地位とは、評判/金/暴力のことである ▶️ 法律を破っても逮捕されない(=権力) ▶️ 物の値段は変わる。強い人間はタダでもらえる   弱い人間は高いお金を払う(or 売ってもらえない) ▶️ 従わない者に制裁を与えるこ

無料の続きを買ったマンガ

KindleUnlimitedなど途中まで無料で読んだ作品のうち、続きを買ってしまったタイトルを紹介します。 全体的な傾向として  ・無料版を読んだあと、1週間以内に買うことが多い  ・2回以上読みそうなもの  ・媒体はKindleが90%(スクショが撮れるので参考資料にしやすい)  ・巻数が多すぎない 『断腸亭にちじょう』 文春オンラインに掲載されていたものを見て、シンプルで奥行がある絵とコマ割りが読みやすく、思わず1-3巻を購入しました。 作者(ガンプさん)は、普

上手くいかないときの方法

物事がうまくいかない/やるべきことが見つからない このような場面で役に立った本を2冊紹介します。 『ねじまき鳥クロニクル』は小説なので、ネタバレ気になる方はご注意ください。 『ずっとやりたかったことを、やりなさい』 12週間分のタスクが載っているワークショップ系の本です。 メアリーやジャックの事例が長々出てきたり、回りくどい文章だったり欠点も多いのですが ・モーニングページ(日記) ・活字を読まない期間を作る の2つは、個人的に合う感じがしました。 掃除、片付けの

『考えの整頓』ほか

2007-2017年に「暮しの手帖」で連載されていたコラム。 『ベンチの足』のほうは選集となっており、掲載順も時系列ではありません。 (2011年3本、2012年3本、2013年6本、  2014年4本、2015年5本、2016年1本、2017年1本) 今回の記事は紹介少なめになります。 以下、個人的な話 🐰💬 2010年からの数年間、制作会社に居候していました。 個人事業主の立場のまま、とくに契約などもなく私物の機材を持ち込み撮影があれば避難して、夜中でも休日でも関係

『性と芸術』 会田誠

作家の会田誠が藝大在学中から美術家になった経緯についてと、主に『犬』の解説。芸術とは何かを「良いです」「アカンです」とラベリングすることではない、という趣旨の話も。 『河口湖曼陀羅』(1987) typical(=典型的な) "私" を除外することとアンディ・ウォーホルの話。 あの作品は、「ボクはキャンベルのスープ缶が大好き」とも「大嫌い」とも言っていない。 『犬』以降の作品は〈ティピカル〉を目指して作ったという。 「最大公約数」「集合知」といった、「個性」の反対側に

『変半身』 村田沙耶香

宗教、伝統、地域おこしを題材にした小説です。 カルトであれクラシックであれ、宗教には不思議な作法がいくつもあります。「そういうもの」として受け入れているものの、長い歴史の途中で偉い人に都合よく書き換えられたものがあってもおかしくない。 柳田國男とかユングの集合的無意識みたいな、まっとうな方面の本には登場しない、人間社会の適当さが精緻に描かれています。 表紙の中園孔二さんの作品も最高です。 (以下、ネタバレあり) 島の祭りのあとに行われる「モグリ」は部外者が見ることは

映画に登場するブランド品

クリスマスシーズンになるとバス停やweb広告にブランド品が出てくることが増えます。宝飾品、化粧、バッグその他。「映画に登場するブランド品」というテーマで記事を書いてみたいと思います。 ブルー・ジャスミン(2013)ヴァンクリーフ&アーペルのネックレス。 主人公曰く「買うときは高いのに、売っても二束三文なの」 ウディ・アレン映画の中でもとくに完成度が高い作品だと思うのですが、裁判の影響か、配信では見れなくなってるものが多いですね、、 スリー・キングス(1999)金塊を運ぶ

Kindle Unlimitedの3冊

ブラックフライデーで安くなっていたので、久しぶりに登録しました。 読みたいリストに入れてた『テクノ・リバタリアン』ほか2冊を紹介します。 『テクノ・リバタリアン』 橘玲ピーター・ティール、イーロン・マスク、サム・アルトマンなどのテック経営者たち。数学的な能力が高い人ばかりが集まったとき、そこで形成される価値観が世界にどのように影響を及ぼすのかを書いた本。 とくに印象に残ったのは 推し活=アイデンティティの融合、という箇所。 システム化する能力/共感力は、一方が強ければも

サントラが美しい映画

好きな映画のうち、音楽がとくに印象的な作品を紹介します。 アメリカン・ビューティー Composer: Thomas Newman 登場人物の、ほとんど全員に感情移入できる不思議な作品(リッキーだけはイマイチ分からない…)メインテーマ以外の曲もほんと最高 恋愛小説家 Composer: Hans Zimmer 監督ジェームス・L・ブルックスは、テレビアニメ「シンプソンズ」シリーズの制作総指揮でもあります。 Mr.ビーン 劇場版 Composer:Howard

『自分探しの神話』 ロロ・メイ

神話があることによって、我々はアイデンティティと共同体感覚を持つことができるという趣旨の本です。(アメリカと西洋社会について)第2部以降で解説される主な作品は以下の通り。  『華麗なるギャツビー』  『ペール・ギュント』  『いばら姫』(眠れる森の美女)  『神曲』『ファウスト』 『白鯨』『大鴉』 第12章 ファウストこの章で取り上げられるのはマーロウ版  『フォースタス博士の悲劇』(1592)クリストファー・マーロウ  『ファウスト』(1808, 1833)ゲーテ  

『母は娘の人生を支配する』 斎藤環

生きづらい系のテーマを取り扱った本、マンガ、SNSの投稿を多く見かけます。「あるある〜😂」と共感するところまでは良いのですが、それで何かが変わるのか? 一通りの知識を得たあとは、似たような情報の繰り返しになります。 (これは「脳科学」「闘病」などのジャンルでも同じですが) 多くの人が、「それはそうとして」で頭の中と生活は区別して逞しく生きているイメージなのですが、私はあまり逞しくないほうなので、普通の人が2〜3年で済むことに5年10年かかっているような気もします。 読ん