【本棚から冒険を】どうぶつ会議(児童書?)
「どうぶつかいぎ展」
このチラシを見たとき、懐かしさで胸がいっぱいになりました。
『どうぶつ会議』。作者は、ドイツの作家エーリヒ・ケストナー。 小さい頃に読んだ記憶はあるものの、その内容はおぼろげです。そこで、これを機会に改めて購入しました。
物語は、人間(大人)たちの不甲斐なさ、自分勝手さに動物が呆れはてたところから始まります。
キリンの言葉から分かるように、動物たちにとって人間は憧れの対象です。しかし、ゾウのオスカーはこんな返事をします。
そうです。この物語は、戦争を繰り返す人間に対する怒りと、子どもたちの未来が平和であることを願うケストナーの思いが込められているのです。
戦争やめよう、世界平和をーー言葉を発するだけなら簡単ですが、実際の人間たちは冒頭の通り、会議を繰り返すばかりで何も進展させません。
そこでゾウのオスカーは考えました。「動物たちで会議を開こう」と。
合言葉は「子どものために!」。
動物会議のために、世界中からあらゆる動物が集まってきます。北極から白クマのパウルが、中国からハツカネズミのマックスが、北アメリカからウシのラインホルト…。もちろん、絵本の中の動物も絵本から抜け出して参加します。
動物たちは会議を経て、人間にこんな要求をしました。
しかし人間たちはこれに抗議します。困った動物たち。そこへ、ある一匹の動物が提案をします。
その動物はミッキーマウス!実は、チラシの挿絵にもミッキーマウスやゾウのババールなどが隠れています。
動物たちは、人間たちの会議で意見がまとまらないこと、戦争がなくならないことの原因が書類と制服にあると考えます。しかし、ミッキーの「書類を全て引き裂いてしまう作戦」、カンガルーのグスタフ考案の「制服を取り払う作戦」は、悲しいことに失敗に終わります。
困った動物たちは、最終的に子どもたちの力を借りることにします。効果は絶大!子どもたちと離れ離れになった大人たちはすぐに動物たちの要求を受け入れました。これにて動物たちの最初で最後の会議は終わります。
ケストナーの思いが世界中に届くこと、平和な世界になることを願っています。さて、この図書は誰に向けたものなのでしょうか。
わずか76ページの、挿絵がたくさん載っている「岩波のこどもの本」ですが、私は大人たち、そして未来の大人たち…つまり全ての人たちに向けた本なのだと感じています。
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