【本棚から冒険を】もりのせんたくやさん(絵本)
今日はなんだか上手くいかなかった、友達に意地悪を言ってしまった、職場で言いすぎてしまった…。
生きていれば、誰にだってそんな日があります。本当は優しく言えたのに、もっと上手に折り合いをつけられたのに、と後悔するときが。
小学生の頃から、そんな日は矢部美智代さんの『もりのせんたくやさん』を心の拠り所にしています。
お話は、森の中にお店ができたところから始まります。お店の名前は「もりのせんたくや」。動物たちは興味津々です。
おじさんの話を聞いた動物たちは、洗濯してもらいたい物を探しに家に帰っていきます。
そんな中、白うさぎがおじさんの元へ来ました。
動物たちは自分の羽やしっぽの洗濯をしてもらいにお店へ出掛けていきます。洗濯してもらう”物”を探しに帰ったはずなのに、自分たちの毛・羽をきれいにしてもらうなんて、なんとも動物らしいです。
お店に来た動物たちは、口をそろえて言います。
「いじわるおおかみに きをつけてね。」
その夜ーー
ついに意地悪なおおかみがお店に!ーーと思ったら…。
涙を流しながら話すおおかみに、おじさんは「いまの なみだで いじわるな こころは でていったよ。」と励まします。
しかし、次の日もおおかみは動物たちに意地悪をしてしまうのです。
「みんなとなかよくなりたいよ~!」と泣くおおかみ。
そこでおじさんは、おおかみをきれいに洗濯します。
そして次の日、動物たちに小さな石鹸を渡して回りました。
おじさんと、おじさんの石鹸の力で、おおかみは森の動物たちと仲良くなることができます。
このお話を読むたび、言葉は大切だなと感じます。おおかみがもっと早く「仲良くなりたい」と動物たちに伝えていたら、おじさんの力を借りなくても仲良くなれていたことでしょう。それでも、それができないのがおおかみ(=子ども)なのかもしれません。そんなときに大人や周りの人がちょっとだけ気持ちを伝えるお手伝いをすれば、みんなが笑顔になれるのでしょう。
私はもう子どもではありません。それでも、上手く伝えられず八つ当たりをして後悔する日があります。
そんなときは「動物たちはおおかみを怖がっていたけれど、嫌いにはならなかった」ということを胸に、きちんと相手に謝って、何度でも関係を結んでいこうと思います。