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ホノルルマラソン物語:Therapy was also an option


ワイキキの雰囲気が好きだ。
お店が立ち並び、海がきれいで、アメリカにしては驚くべき量の歩行者が常に歩いていて、そしてみんななんだか楽しそう。
夜になるとパフォーマーが並び、まるでディズニーランドみたい。

そんなワイキキで、いつもに輪をかけてお祭り感がマックスなのがHonolulu Marathon Weekendだった。なんせ3万人を超える人が走るわけだから、前々日ぐらいからそこら中にランナーがいる。みんななぜか浮足立っていて、誇らしげにTシャツを身に着けている。

Expoで前日までにゼッケンを受け取る

私もうきうきした気分でBibを受け取り、グッズを購入したりなんかして、お祭り感Max!!走るつもりなんて1週間前までなかったのに、その気になっちゃうから不思議なものですね。記念写真撮りたかったけど一人で列に並ぶのも切ないので後でにしようとこの時はGive up. しかし結局、走り終わった直後は全くエネルギーが残っていなくて写真を撮るなど不可能で、次の日完走証を受け取りに言ったタイミングではちょっと違う感じになってたので、写真撮っておけばよかったな。

マラソン当日は3時半に起床し、4時にスタート地点に向けて徒歩で向かう。泊まっていたホテルはゴール地点に近い場所だったため、シャトルに乗るという選択肢もあったのだけど、歩いても30分強だし、時間も読みやすいから歩くことにした。幸い同じ考えの人は多く、迷うことなくスタート地点につくことができた。4時半過ぎにスタート地点についたときにはもうお祭り騒ぎ!友人と写真撮りつつ、妹と待ち合わせにてこずりつつ、何とか自分のタイムの場所まで進んでいく。

スタート前のアラモアナ。人がぎっしり!

あまり余裕を持たずにスタート地点に向かったせいか、並んだらすぐスタートの号令がかかる。実際にスタートラインをこえてスタートするまでは20分ほど歩く。花火を見つつ、ノリノリの音楽に踊りつつw私はもう絶対に歩くと決めていたので、スタートラインを超えたとたん走り去る人たちを見送りながら、早歩きでレースを始めた。まだ真っ暗な明け方のワイキキは、応援する人たち、昨夜から飲んでるであろう出来上がった人たちがあふれており、とても賑やかで、クリスマスイルミネーションも相まって町全体がお祭りだった。

スタートとともに20分くらい花火が続く
日が昇ってきた!

10kmランのゴールを横目に見つつ、ダイヤモンドヘッドを回り込む上り坂に入ると、ようやく夜が明けてきた。まだまだこれからが本番だ。

走ってると虹が見える

ハーフ地点ではまだまだ余裕だったので(なんせほとんど歩いて気が向いたときにちょっと走るくらい)、歩きながらいろいろなランナー・応援を観察してた。応援する人たちも思い思いの看板を掲げて(「頑張れ」「You’ve Got It!」「このキノコを触ってPower Upだ!」など)いるので、読んでると楽しい。そんな中、題名の看板が目に入ったのだった。

「Therapy was also an option!」… つまり、マラソンじゃなくてカウンセリングを受けるという手もあったでしょ、転じて、問題がないとマラソンなんて走ろうと思わないよね、こんなつらい思いをするのではなくておとなしくカウンセリングを受ければよかったのに!みたいな感じかな?

見た瞬間に笑ってしまった。本当に、私はなんで鬱で休職しているさなかに、ハワイの地に来て42キロ走ってるんだろう。別にトレーニングを重ねたわけでもなく、目標にしていたわけでもないのに、安っぽい自分探しじゃなかろうか。走ったことで何かが変わるとでも思ってるのだろうか。でもこういうシチュエーションって、看板になるくらい「あるある」なことなんだろうな。結局私のIssueなんてそのくらいちっぽけなものなんだろうな。

記念に看板を持ってた彼女とSelfieを取らせてもらう。「Crush it!」声援を受けて走り出す。鬱で悩んでいたことを心から笑い飛ばせるようになった自分を感じる。それだけでも、よかったんじゃないか。

素晴らしい景色を横目に最後の5マイルが遠い

 なんていう楽観的な思いは最後の10Kmで打ち砕かれた。歩く足が重い。痛い。登ってきた太陽が暑い。蒸すから水をかぶっても氷をもらっても全然体が冷えない。ばてて来てるのに胃がせっかく持ってきたアンパンを受け付けない。。。!これまで走ってきたならつらいから歩くという選択肢もあるだろうに、もともと歩いてきてしまってるから、もう止まるしか選択肢がない。でも止まってたらいつまでも終わらない。全くいろいろな人に迷惑をかけて大金をはたいてこんなところまできて何やってんだろう私。。。と後悔と涙にまみれながら、何とかゴールを目指す。

おわったぁ!

最後のゴールに向けて周りのランナー皆走ってたけど、私はとてもじゃないけどそんな余力はなかった。それでも何とかたどり着いたゴール。終わった安堵感しかない。終わってみれば6時間40分台と、予想よりは速いタイムだった。しかし疲れた。何やってんだろう。本当に。足が痛い。頭が痛い。気持ち悪い。全身臭い。

妹に何とか支えられながらたどり着いたホテルで、シャワーを浴びたら気絶するように数時間寝てしまった。夕飯を外に食べに行く足取りが重い。お祝いのお肉を食べなきゃと何とか街に繰り出す。Honolulu Cookiesのパイナップルクッキーのサンプルでさえ口にする元気のない胃よ、本当にお疲れ様。わたしの足、頑張った。美味しいお肉は半分以上持ち帰りになったけど、でもやり切った後のディナーは格別だった。ABCストアでジュースを買って、やっと帰ってきたホテルでは脱ぎっぱなしのウェアとシューズが信じられない悪臭を放ってた。

お疲れ様、私。42歳の私。まだやろうと思えば、意外とできちゃうものだね。




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