この夏の出来事。
時々、クリニックに来てくれる子がいる。
その子は人生の分岐路に立っている。
人と会うのが怖かったようだが、勇気を出してくれて、一緒に運動を始めることとなった。
自分は理学療法士だけでなく、トレーナーやピラティスの先生をしていることもあり、仕事でもその技術を活用している。
出会った時は、驚くほどの猫背さんだった。
話をせずとも、人の顔も見たくない、と思えるほど下を向いていた。
そのモヤモヤについては、あまり触れる事なく運動をした。専門家として、骨格的に正しい姿勢や身体の個性として受け入れた方が良いことなどを本人に伝え、それに沿って身体を動かす練習をした。
その運動途中に出た、彼の思いを聴いた。
そんな日々を繰り返した。
ゆっくりでも、着々と身体は変わっていった。
数ヶ月を経て姿勢が変わっていった。
不思議なことだが、そこから彼は変わった。
『進む道を決めたいと思って』
目も背けたかった、嫌な過去や現実に向き合い始めた。
何故彼が動き出したかは、神のみぞ知る所で、本人にすら分からないかもしれない。その時の自分に正しく、そして自分らしく進んでいる、そんな一瞬を見ることができた。
気持ちの変化は、肉体に現れる。
『心身相関』というやつだ。
ここでは、その言葉を体現してくれる子たちが沢山いる。それは、いつも突然で、感動を与えてくれる。自分が慣れることは無い。
その謎を改めて、強く、知りたいと思った。
自分自身も、もっと学びを深めなければならないな、と。
衝動に駆られて、研究に踏み切る事になった。情報が殆どなく、ほぼ0からのスタートだけど、これで救える人がいるのならと、がむしゃらに進んでいる。
お互い、険しい道のりは続くけど、一緒に歩いて行こう。深い深い谷底から、一緒に見える景色がどんな風景か、苦しみ悩み楽しみながら、もがいていこう。
そう思わせてくれる出来事でした。
自分への備忘録に。
初心忘るるべからず。