ASDを持つ子へのわが家の環境調整法~指示を視覚的かつ端的に伝えること~
今日は「ASD(自閉症スペクトラム障害)を持つ子へのわが家の環境調整法その①~指示を視覚的かつ端的に伝えること」と題して、具体例を挙げながらお話ししたいと思います。
よろしくお願いいたします(*^_^*)
自閉症スペクトラム障害を持つ子への環境調整
自閉症スペクトラム障害の家庭療育法は定型発達児にも使えます
ASDこと自閉症スペクトラム障害を持つ子どもたちには、定型発達の子どもたちとは異なる様々な発達上の特性があります。
その一つに、この子どもたちが話し言葉だけによる抽象的なコミュニケーションを苦手とする一方、視覚的な情報を端的に伝えるようなやり取りには強さを発揮することが挙げられるでしょう。
このことは家庭療育の本や神経発達症(≒発達障害)に関する概説書にはしばしば書かれていることですが、彼らが弱いとされる「抽象的な情報」や「未来に関する想像力」が具体的に何を指しているのかについては、本の執筆者によって多少の差異があるように思います。
受験勉強で現代文読解のための用語集を紐解いたことのある方はすぐお察しがつくでしょうが、「具体」vs「抽象」とか「過去」vs「未来」という概念は、必ずしも二項対立概念として説明し尽せるものではないですよね。
具体性と抽象性の間や、過去と未来との間には、必ず「今ここ」の中間領域がある訳で、だからこそ発達障害は定型発達と明確な線引きをして区別できるものではないのです。
今日は発達障害の中でも特に自閉症スペクトラム障害の子どもの環境調整についてお話ししますが、自閉症スペクトラム障害の子の家庭療育で使える武器は、定型発達の子に対する育児にもそのまま応用できることになりましょう。
自閉症スペクトラムの子が視覚的情報に強いことを活かそう
自閉症スペクトラム障害の子どもはしばしば極めて敏感なために、本人にとっても周囲の人々にとっても生活上の困難を招くことが多いのですが、その視覚的な鋭敏性を逆手にとって行う家庭療育法は上手く行くことが多いとされています。
発達障害を持つわが子に対するわが家の家庭療育については前に少しお書きしたことがありますが、今日は自閉症スペクトラム障害を持つ子に対してわが家で行っている家庭療育法の一端を、妻が使っている「やることリスト」を例に挙げて具体的に説明いたします。
上の画像は、妻が書いた夕食後の子どもたちの「やることリスト」です。
娘は平仮名や片仮名の読み書きができますので、上のように大きな文字で「やることリスト」を図示すれば、生活の段取りが子どもたちにも分かりやすいのですね。
妻はそこにユーモラスなイラストを描き加えることで、文章で伝えた伝達内容をよりいっそうイメージしやすくしています。
二枚目の画像は、子どもたちが入浴後にどういうことをどんな段取りでしたらいいかについての「やることリスト」です。
自閉症スペクトラム障害を持つ娘たちに対しては、ASDの持つ「物事をパターン化して一定の段取りに整えてあげると生きやすい」特性を逆手にとって、わが家ではこのような「やることリスト」を作って、娘たちの行動をパターン化しています。
自閉症を持つ子は一定のパターンに則ったライフスタイルを保ってあげると暮らしやすく、何らかの事情でそのパターンが崩れて不測の事態に見舞われることでパニックを起こしやすいのです。
ですから、わが家ではこのように妻が生活上のル―ティーンに関する「やることリスト」を作って、娘たちに「今は何番をするんだっけ?」というようにコミュニケーションを取りながら生活を整えています。これはわが家ではとても奏功しています(*^^)v
今日お書きしたことはささやかなことですが、このようにしてビジュアルかつ端的に子どもと意志の疎通を図ることは、親子ともどもにストレスを減らしてくれるところが大きいので、育児で難儀しておられる親御さんにはお薦めの方法のひとつではないかと私は思います(*^_^*)
自閉症スペクトラム障害の子どもを育てることは、そのこだわりの強さや社会性の難しさゆえに苦労がつきものですね。
しかし、考えようによっては、この子らのこだわりの強さという発達特性は、一つのことを極めるエネルギーの源泉ともなります。
わが家の長女は来春からいよいよ小学校に通うことになる予定ですので、学校生活に関してもこれまでとはまた違ったサポートが必要になるでしょう。
今後とも私は神経発達症や発達障害に関する知見をアップデートしつつ、娘たちの力強い応援団でありたいと思っています(*^^)v
結びに
今日は「ASD(自閉症スペクトラム障害)を持つ子へのわが家の環境調整法~指示を視覚的かつ端的に伝えること」と題して、妻がイラスト付きで平仮名を使って書いている「やることリスト」をご紹介しました。
「やることリスト」は、コトバだけを書いて子どもに伝えるより、ユーモラスなイラスト付きで作成なさるといいのではないかなぁと思います。
妻はDAISOのスケッチブックを切り取ってリストを作っていますが、ホワイトボードを使う手もありますよね。
育児は育自とはよく言われますね。しかし、あまり堅苦しくならずに親がゆとりと遊び心を持って子育てに当たることも大切ですよね。
そのためにも、私たち親が地域社会の人々や行政の子ども家庭支援課の方々と血の通った人間関係を作ってソーシャル・サポートを受けるように努めることも、風通しの良い家庭療育をするコツのひとつではないかと私は思います。
この私の記事が、いま自閉症スペクトラム障害を持つ子の生活訓練にしんどさを感じておられる方々の参考になれば幸いです。
秋の気配が漂う時節となりました。あなたがしあわせで健康でありますように祈ります。
お読みいただき、ありがとうございました。深く御礼して感謝申し上げます。
Koki Kobayashi