妊娠、産後、育児期の不調をあたり前にしないために
妊娠したから、産後だから、子育て中だからと、「不調や痛みは仕方がないもの」だと、女性自身も周囲の人も思っている人が多いようです。
1.産前・産後の不調と痛みを軽減し、女性に余裕を!
・妊娠期から産後1年まで、多くの女性が様々な不調を抱えています
例えば:
肩こり、腰痛、手や手首の痛み、尿もれ、おならや便のもれなど
・しかし、多くは子ども、家事優先で、自分のことは後回し
・自分のことを省みたり、ケアする余裕がありません
2.産前・産後と女性の生涯の健康との関連
・妊娠・出産を機に発症する症状は、加齢とともに悪化する可能性があります
例えば:
姿勢の変化と悪化
妊娠高血圧症候群⇒高血圧、妊娠糖尿病⇒糖尿病など生活習慣病の発症
けんしょう炎の再発、慢性化
尿もれの持続と加齢に伴う悪化
骨粗しょう症など
3.女性の生涯を通じた健康への助産師と理学療法士の思い
・大学でウィメンズヘルスに関する研究や実践活動を行っていた佐藤珠美(助産師:佐賀大学名誉教授)と坂本飛鳥(理学療法士:西九州大学リハビリテーション学部講師)が、寺野幸子(佐賀の女性の元気を応援するNPO法人poco a bocco代表)の紹介で出会い、共同研究や実践を始めました。
・佐藤は助産師としての臨床実践や教育、子育て支援活動を通じて、女性や母親の健康問題が放置されていることを知り、予防や改善の必要性を感じるようになりました。そこから、産後のけんしょう炎や尿もれの研究などを始めました。現在は、佐賀大学理工学部と西九州大学との共同で「抱っこの姿勢判定アプリ(生後6ヶ月まで)」を開発中です。
けんしょう炎予防プログラ(日本語版・中国語版・スペイン語版)は、下記で無料公開しています。
https://mercury.med.saga-u.ac.jp/4mama/
・坂本は理学療法士として整形外科をはじめ脳神経系など広い分野のリハビリテーションに携わってきました。オーストラリア留学時に産前産後のリハビリテーションに触れたことをきっかけに、女性の健康に関するリハビリテーション医療の必要性を強く感じ、日本と海外とのサービスの格差を痛感しました。帰国後、女性の健康に関する(特に産前産後の不調や尿もれ)研究を開始し、研究から得られた知見と臨床の経験をもとに産前産後の不調や尿もれに関する支援活動を行っています。
☆佐藤と坂本の両名は、助産師と理学療法士が協働することで、妊娠出産に伴うトラブルの予防・軽減から、女性の生涯を通した健康の実現に貢献したいという思いを強くするようになりました。
4.助産師と理学療法士の協働によるヘルスラボの始まり
・産前・産後ケアヘルスラボは、NPO法人pocoaboccoが、JTのSDGs貢献プロジェクトからの助成を受けて実施した事業の一部として、2024年2月にモデル事業を始めました。
・事業では、下記の2つを目標にしました。
1.妊娠中から産後にかけて正しい姿勢を維持し、不調を緩和する
2.安楽で快適な育児動作(抱っこ、授乳、おむつ交換)やセルフリハビリを行い、身体の回復を促進する
・今後はサービス内容を見直し、2024年5月から本格始動予定です。