見出し画像

変わらない組織

先日息子の通う学校のPTA役員の
抽選会が行われた。

流れとしてはまず立候補を募って
立候補がなければくじで役員を
抽選するというものである。

正直PTAの役員が何をしなくてはならないか
何の説明もないなかで
誰が立候補などするのだろうと疑問に思いながら、
今回も案の定立候補がないので
抽選会が開催されることになった。

その案内を息子から手渡された時に
私は一つあることが気になっていた。

今回の先行は男性役員を決めるということが
書かれていたからである。

ご存じのようにPTAとは親と教職員によって
作られている会のことである。

つまり男性役員を決めると言うことは
父親が対象ということになる。

この時点で私の中では疑問が芽生え始めていた。

しかし、その疑問を誰にどう聞いていいのかわからない。

とにかく抽選会に行くしかないので
私は会場に向かった。

地区ごとに保護者が集められ、
現役の役員の方から抽選についての説明が
行われた。

その後、抽選に入るのだが、
ここで免除希望者についての説明があった。

家庭の事情などで抽選の対象者から外してほしいと
希望する人がいれば、
その理由を全員に述べ、了解を得る必要があるそうである。

昨年この抽選会が行われた時にも
このシステムには大きな疑問を持ったものであるが
今年もそれは変わらないようである。

そう思っていると、さっそく免除希望者の方が
手を挙げて話し始めた。

その内容を要約すると下記の通り。
・私の夫は出張が多く不在がち
・役員に選ばれたら私が代理で出席することになる
・それでは他の役員さんにご迷惑をかける
・なので自分は免除してほしい

この方が話終えると、他にも2人ほど
同じような理由で免除を申し出る人がいた。

この申し出について異議がないかを問いかける
現役役員の人。

ここで私はどうにもたまらなくなり、
思わず手を挙げて異議ではなく質問をすることにした。

私が聞いたのは至ってシンプルなことである。

「そもそもなぜ男女の役員を選定しなくては
ならないのか?
男性でないとできない仕事は何なのか。
それは奥さんが代理で務めることはできないのか。」

前半にも書いたように、今回の役員は
男性役員を選定するというものである。

だが、それは男性でないとできない仕事があるという
ことに他ならない。

そうでなければ男女を分けて選定するという
理由にはならないからである。

今回免除を申し出た方は決して夫婦二人共に
参加ができないと言っているのではなかった。

つまり、奥さんが代理で出ることは
やぶさかではないと譲歩してくれているわけである。

なので、この人たちの申し出に対して
賛成するにしても反対するにしても、
男性でないとできない仕事なのかどうかが
ポイントになってくると感じたのだ。

そうして私が質問すると
現役の役員さんはそのような質問が
飛んでくることは想定していなかったのであろう。

少し間があいて、回答があった。

「いまのところ会長や副会長は
恒例として男性にしていただいているので
その候補者するためにも男性役員を
今回求めている」

そのような回答であった。

全く私の中の疑問は解決しない回答であったが
このまま質問をしても彼らにとって
嫌な思いになるだけだと思ったので、
私は質問の仕方を変えて確認をした。

「では奥さんが代理で出席することは
必要ないという認識でいいのですね?」

すると次はハッキリと「はい、そうです」と
答えが返ってきた。

理由はよくわからないし、非常にモヤモヤはするが
これで免除希望者の方の申し出に対して
異議を述べる理由はなくなったわけである。

その後、全員の同意が得られたということで
その方々は会場から退場し、
残った人たちから役員選考のくじ引きが行われた。

幸いなことに私は選定されなかったので
その後早々に帰路についたのだが、
心の中にはモヤモヤの霧が渦巻いていた。

今の時代、「男性だから」「女性だから」という
感覚はビジネスの場においてはご法度になった。

それに触れるのはセクシャルハラスメントとなり、
私達男性が女性に対して、女性だからと区切るような
発言をすることは許されなくなった。

私自身この流れに対して違和感はない。

身体的な違いは当然あるので、
よほど強靭が力が必要な職場環境であれば
性差は問われても仕方がないが、
今どきそのような仕事はほとんどないだろう。

人間として性別は有しているものの
それは職場においては関係ないという考えは
非常に納得できるものである。

そして、この考え方は家庭においても
基本的に同じだと思っている。

とくに我が家は夫婦共働き世帯なので
妻もフルタイムで働いており、
家事は妻と私で完全に分担しているし、
授乳を除いては私も完全に育児に参加ているという
自負もある。

だが、今回参加したPTAでは
男性、女性と明確に役員を分けて
役員を決めているのだ。

もちろん、男性の意見を会の中に
入れるべきだという考えはわかる。

どちらが参加してもいいというスタイルにすれば
恐らくいまだに女性が参加する率が
高くなることは間違いないので
どうしても意見が女性寄りになるであろう。

だが、いまや共働き世帯など珍しくもない。

どちらが参加してもいいというスタイルでも
男性が参加する率は20年前と比べれば
劇的に上昇しているはずである。

にもかかわらずいまだに男性・女性と役員を
分けているのは、
明らかにおかしいと私は思うのだ。

さらに会長や副会長は男性がすることが
当たり前だというが、
それこそナンセンスである。

他国と比較する必要などないとは思うが、
実際国のトップも女性が当たり前のように
出てきている時代なのだ。

PTAの会長、副会長を女性ができない
明確な理由など、誰にも述べることはできない。

PTAという組織が日本に発足したのは
戦後アメリカの統治下にあった頃であるが、
その頃と性的な捉え方は変わらずに
今に至っているのではないか。

今回私は役員には当たらなかったが
どうすればこの組織を
今の時代の感覚に合わせていけるのか。

自分には何ができるのかを考えると
モヤモヤが止まらなくなってしまった。

こうして記事に書くことで
少し自分の中で消化できた気がするが、
現役でされている役員の方や
教職員の中からこのような疑問は
出てきていないのだろうか。

自分としては今住んでいる町や
そのコミュニティにある程度なじんでいる自信はあったが
何だかまだ見えていないギャップが
あるような気がする経験であった。

ちなみに今回の抽選会は男性役員を
決める会のはずなのに
私と後2人を除いて後は全員女性が
会に参加されていた。

奥さんが抽選で当たりを引いても
旦那さんは何も思わないのであろうか。

自分のことなんだから
自分で出るぐらいすればいいのにと
思う私はこの町では少しズレているのかもしれない。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集