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”小田君”のナゾ

人には誰しもナゾに思っている物事が
一つはあるものである。

最初は「これは一体なにだろう?」と
疑問に思いながらも、
そのうちそれが当たり前になり、
疑問を感じなくなってしまう。

そんなことがあなたにも一つぐらい
あるのではないだろうか。

実は私には沢山ナゾに思っていることがある。

公共交通機関で通勤をしている影響で
日々色んな人に出会うので、
必然的にナゾな人に出会う確率も
高くなるのだ。

毎日同じ席に座っている女装のおじさんや
どうやったらつくのかわからないぐらい
シワシワなカッターシャツを毎日着るおじさんなど
どこでどのようにそうなったのかを
知りたいと思うことがとても多い。

だが、当然人のことなので勝手に調べるわけにもいかず
結局私の中で想像だけして終わってしまう。

だが、よく考えてみればこれは
noteのネタとして活きるのではないだろうか。

私が書いているネタをあえてカテゴライズするならば
①子育て系記事
②趣味系記事(昆虫、釣り)
③学習系記事(読書 英語 映画等)
④実験系記事

この4つに分けられると思う。

そして、③の実験系記事というのがまさに
日常で疑問に感じたことを検証してみるシリーズで
読者の方の反応もこのシリーズは比較的高い。

だが、この手の記事を書くにあたっては
何かしらの結論に至らなくてはならない。

考察して、可能性を検証はしてみたが、
結局何もわからずじまいでは
なんだか記事として片手落ちな気がしてしまう。

そんな風に私はずっと思っていた。

だが、かのエジソンはかつてこう言った。
「私は失敗したことがない。 ただ、1万通りのうまくいかない方法を見つけただけだ

そう、結論にたどり着かなかったとしても
それは決して失敗ではないのである。

仮説を立て、考察してみてその結果がわからなかったとしても
それはそれで一つの結論であり、進歩なのだ。

そう考えるともっと気楽にナゾを掘り起こして
記事にしてみるのもいいかもしれない。

前置きが非常に長くなったが、
今日はそんな私のナゾシリーズから一つ
ネタを出して考察してみようと思う。

それは”小田君”のナゾである。

私は電車とバスを乗り継いで通勤している。

仕事帰りには最寄りのバスターミナルまで行き、
そこでJRの駅までいくバスに乗るのだが、
バス停でいつも5~10分ほどバスの到着を
待つ時間がある。

列に並びながら本を読んでいつもバスを待つのだが、
私達が待っている列から3mほど離れたところに
週に2~3回ほどの頻度で立っている男子高校生がいる。

その高校生はやせ型でいつも制服姿なのだが、
顔が小田和正さんに似ているので私は勝手に
”小田君”と心の中で呼んでいた。

私が小田君を認識し始めたはいつだったか
記憶は定かではないのだが、
少なくとも今年の初めには既に小田君が
その場所で立っている姿を記憶している。

最初私は誰かを待っているのかと思ったのだが、
ただ人を待つだけなら、近くにベンチがあるし
バスターミナルの前にはショッピングモールがあるので
そこで時間をつぶせば暑さ寒さを感じる必要もない。

だが、小田君はかならずその場にいつも
立っているのである。

そして、多くの場合小田君は立ちながら
目を閉じて眠そうに揺れる。

立ったまま眠りに落ちそうになって
膝が崩れかける感覚というと想像できるだろうか。

まさにその感じでいつもそこに立っているのだ。

私達が乗るバス停からは別方向に向かうバスも
出ているので、
もしかするとそのバスに乗るために
ここで待っているのかもしれない。

そんな風に考えた私であったが、

ある時早めにバス停に着くと、ちょうどその路線のバスが
出発するタイミングであった。

「もしかすると小田君が乗っているかもしれない」

私の心は高鳴ったのだが、
小田君はそこに立っており、バスに乗る様子はなかった。

一体小田君はあの場所で何をしているのだろうか。

他のバスを待つのであれば、当然その路線が出ている
バス停の付近で待つのが普通であろうが、
小田君はどうみてもそんな様子はない。

見れば見るほど私のナゾは深まっていく。

しかも不思議なことに私は小田君が着ている
制服を小田君以外であまり見たことがない。

毎日バスや電車に乗っていると、
何となくどこの駅でどんな制服の学生が多いかを
無意識のうちに認識するものだが、
小田君が着ている制服はどうもこの近辺では
見かけないものなのだ。

こうなるとなおさらナゾが深まってくる。

家族が迎えに来るのを待つにしても、
待っているのがバスターミナルというのが
全く腑に落ちないし(一般車は侵入できない場所)、
彼女や友達と待ち合わせしているにしても
わざわざ立ってあんな場所で待つ必要性はない。

そんな目立つ小田君なので、
多くの人が気にしていることは間違いないだろうが、
バスを待つお年寄りの中に小田君に声をかけた人を
いまだに見たことはない。

お年寄りなら一人ぐらい声をかけても
おかしくはなさそうなものであるが、
それもないということは、
もしかすると小田君が見えているのは
私だけなのではないだろうか。

なんだかここにきてホラーのような話になってきたが、
そのぐらい小田君は景色に溶け込んでいるということである。

結局前半に書いたようにこの記事では
何らかの結論には至らなかったが、
こうして小田君のナゾを考えてみることで
私の中で違う仮説も出てきた。

私にできることはバスを待ちながら
時々小田君を観察することぐらいであるが、
小田君が卒業していなくなる前に
このナゾが解けることを願ってやまない。

このナゾがとけたときにはきっと
”言葉にできない”のであろう。

今回の小田君のナゾが記事にまとまったことで
私の中で書きたいネタがうようよと動き始めてしまった。

あまりに結論のない記事ばかりになると
さすがにマズいので、
時折混ぜるぐらいにしておこうと思う。


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