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子供の選択肢を狭める親

最近モヤモヤしている。

何に対してかというと、息子の受験についてである。

私個人としては中学校受験など
全くする必要がないと思っている。

中には特別な私学でないとできないことも
あるだろうが、
逆に公立の学校でしか学べないこともあるし、
中学校までは余計なフィルターがかからない
環境で過ごすことで社会に出た際の
振舞い方がわかると思うからである。

この考えについてはちょうど1年ほど前に
記事に書いていたので、
そちらもご参照頂ければ嬉しい。

そんな考えを持っている私ではあるが、
息子自身が行きたいと思う学校があるならば
それは応援してやりたいと思っている。

昨年息子が興味を持っている
公立の中高一貫校の学校説明会に参加して、
この学校を受けてみたいと息子は言っていた。

なので、フィルターのかからない世界も大切だが、
本人にやりたいことがあるならば
それを優先すべきだと思うので
私は息子のその選択を応援してきた。

だが、ここにきて何だか雲行きが
怪しくなってきた。

知らぬ間になぜだか私立の中学校も受験する話に
変わってきたのだ。

別に私立の中学校が悪いと思ってはいないし、
先ほど書いたようにその学校でないと
出来ないことがあるならば、
そこに入ってもらうことはやぶさかではない。

だが、今回話が出てきた学校で何ができるのかと
聞いてみると、
どうやら校風が学習に特化しており、
中高一貫で難関大学現役合格の実績が高く
それでいて文武両道だというのが
その学校の売りらしい。

正直、それならば高い授業料を払って
その学校に息子を行かせる理由には
ならないと私は思った。

やろうと思えば公立学校に通っていても
いくらでも勉強はできるし、
文武両道は強制されるものではなく
自ら興味があれば目指せばいいものだと
考えているからである。

では息子はなぜその学校を受けることに
なったのか聞いてみると、
どうやら息子の友達たち何人かが
そこを受けようと考えているかららしい。

では、その友達たちは一体何がしたくて
そこを受けようと思っているのかを更に聞くと、
どうやら彼らの母親が受けろと
言っているそうである。

何だか妙な気がしたので
妻と話をしてみることにした。

息子が進路に関して話をするときには
大抵の場合、妻の意見が大いに入っているからである。

すると、妻はこんなことを言った。
「A君(息子の友達)のお母さんは
『A君は環境に染まりやすい子だから公立中に行って
悪い友達の影響を受けるのを避けるために
私立に行って守ってやらないといけない』と
言ってたで。
みんな色々考えてるんやで」

私の頭の中では?マークがいくつも出てきた。

A君が環境に染まりやすいかどうかを
A君のお母さんがどのように判断したのかは
私には全くわからないが、
仮に影響を受けやすいとしても
公立校にいるいい友達の影響を受けるとは
なぜ考えられなかったのだろうか。

もちろん、私立に行けば入試のフィルターがかかるので
一定の学力以下の子供や、
経済的な理由で公立にしか行けない子供は
いない環境を作ることができる。

だが、そのフィルターがかかったことで
A君が付き合う仲間達が
いい影響を与える確率はどれほど上がるだろうか。

極端なことを言うならば、
A君にとって多少ヤンチャな子たちと一緒にいるほうが
自然な姿でいられて楽しいとすれば、
それはA君にとって辛い選択肢になりはしないだろうか。

これではまるで子供の選択肢を
親が狭めているようなものではないか。

もちろん、明らかにその道が危険に満ちているならば
それを避けるように促してやることも
大事なシチュエーションはある。

だが、彼らが数年間という長い期間を過ごす場所は
子供たち自身に選ばせるべきだと思う。

彼ら自身も成長する中で選択が変わることも
多々あると思うが、
その時にはフレキシブルに選べる方が
私としてはずっといいと思っているし、
公立校のほうがその選択肢は多いと思っている。

聞いてみるとA君以外の息子の友人の親も
多少理由は異なれど、似たようなことを
言っているらしい。

そのうちの一人の子供は既に1日4時間勉強をし、
電車で20分の場所にある塾に行き、
週3で21時頃に帰宅する生活をしているそうである。

それを聞いて私はブラック企業で働くアップ体操を
しているようだと思ってしまった。

勉強すること自体は素晴らしいと思うが、
この4時間で自分の興味があることに打ち込めば
もっともっと違う選択肢が見えるかもしれない。

子供といえど、今年の4月から彼らは6年生である。

具体的ではないにしても、
おぼろげながら自分が将来どうなりたいのか
考え始める時期でもあるが、
その時期にこんなにも親によって選択肢が
狭められていいものだろうか。

私はいい意味で親に自分の進路相談したことは
ほとんどなく今まで人生を歩いてきた。

基本的に決めた後に事後報告のような形で
親に説明しても、
親は「お前が良いと思うならいい」というスタンスであった。

そのように歩いてきた私からすれば
息子が本当にその学校でやりたいことがないならば、
今から選択肢を狭めてやりたくない。

このような議論においてはどういうわけか
母親の意見が圧倒的に強くなるし、
私がいくら意見を言ったところで
焼け石に水であろう。

そんな中私にできることは、
息子と話をして、
本当に彼が何をしたいと思っているのかを
ちゃんと聞きだしてやることしかない。

妻は自ら中高一貫の私立高の出身なので
子供ができた頃から薄々こうなるのではないかと
考えていたが、
まさかその予想が的中するとは。

1月も間もなく終わろうとしているが、
今年も悩ましい1年になりそうである。


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