UX組織でゆるやかな発信が続く仕組みをデザインする
こんにちは!GoodpatchでUXデザイナーをしている、はずむです。
この記事はGoodpatch Design Advent Calendar 2023の14日目の投稿です。
アドベントカレンダーは「書こう」と思う絶好の機会をくれるものですね。書くぞ、と宣言すれば否が応でも筆を進めるものです。そしてこの記事、実はGoodpatchのUXデザイナーの自由帳の38本目の記事でもあります。
UXデザイナーの自由帳は、アドベントカレンダーのように特定の期間での発信をする企画とは異なり、今年の2月からGoodpatchのUXデザイナー自らが発信を続けているnoteを集めたマガジンです。
PRチームやマーケティングチームではない、現場組織が発信を続けるのはどこでも苦労があるはず。そんな中で、もう少しでこの取り組みが開始されてから1年が経ちます。
今回はなぜUXデザイナーたちによる発信が続けられているのか、について書きたいと思います。
UXデザイナーの自由帳の始まりと今
UXデザイナーの自由帳は、UXの魅力を感じてもらう、そしてGoodpatchの価値を感じてもらうことを目的にはじめました。GoodpatchにはGoodpatch Blogもあるのですが、Blogよりも個人の思いや魅力を届けやすいのでnoteでの発信を行っています。
(始まりの経緯が書かれた、UXデザイナー自由帳の1本目の記事はこちら!)
ほぼ1年が経つ今もその趣旨の根幹は大きく変わっていませんが、発信を支える我々の思惑として、多様なバックグラウンドを持ったGoodpatchのUXデザイナーの個の表出を狙っているところもあります。
Goodpatchはクライアントワークをメインとする企業であり、特定のドメインに関わらず、「デザインの力を証明する」というミッションに共感した多様なバックグラウンドのUXデザイナーが集まる組織です。だからこそ、いろんな人がいて、それぞれの個性をもっと表に出して、面白い集団だと思ってもらいたいのです。
現場起点で発信を続けることの難しさ
先日Goodpatchに他社から出向してきたとあるメンバーにこんなことを言われました。
「PRチームでもないのに、よくこのような発信活動が続きますね。自社(出向元)でデザイン組織でのnote発信を始めたことがあるものの、数ヶ月で途絶えてしまいました。」
確かに言ってしまえば本業はデザイナーであり、発信をすることはメインの活動とは言えません。メインの業務が忙しいことを理由に辞めてしまいたくなる理由ばかりが見つかります。
それでも続けられているのは、UXデザイナーの一部メンバーで構成された”認知の変革チーム”、通称”にんちむ”による発信が続く仕組み作りが上手くいっているからだと、1年が経つ今感じ始めています。
(“にんちむ”の活動経緯を過去に記した記事はこちら)
仕組み作りの中でも、重要だと感じている内容をここから紹介していきます。
続ける仕組み①:ハードルを下げる
1つ目はハードルを下げること。結局、習慣づくりの体験設計で考慮することに近いのかもしれませんが、やはり書くことにどうしても付きまとうハードルをできるだけ低くしてあげることは重要だと感じています。
特にいざ何か書くとなったときに感じやすいハードルは下記のようなものがあるかと思います。
書くネタ/テーマを見つけるハードル
このネタ/テーマを書いたら面白そう!と確信するハードル
より読みやすい・面白い構成や文章を考えるハードル
これに対して、”にんちむ”では下記のようなサポートを行うことで、”にんちむ”に所属していないUXデザイナーも含めて、みんなが発信しやすい環境を作ってきています。
■書くネタ/テーマを見つけるハードルを下げる
こんなテーマを読みたい!というヒントのアイデアを出し、そのテーマに詳しそう、やったことがありそうな人に「書いてみませんか」と声かけをしています。
■このネタ/テーマを書いたら面白そう!と確信するハードルを下げる
やはり、このネタ書いて受け入れられるかな、読まれるのかな、は気になるポイントだと思います。
書いてみたいんだけど不安、という方にはどのようなネタが思い浮かんでいるのかをヒアリングさせてもらい、まず書けそうなテーマがあることに感謝する(一緒に喜ぶ)、さらにこうしたら今のトレンドにも合う/前に読まれてた記事の続編っぽくできる、などのディスカッションをしています。
■より読みやすい・面白い構成や文章を考えるハードルを下げる
いきなり何千字かを書き出すのはどうしても筆が進みにくくなる瞬間がありますし、書いているうちに結局何が伝えたいのかわからなくなることもあります。
それを回避すべく、一旦テーマをもとに骨子を作成してもらい、場合によってはその骨子レベルの段階で一度簡単にレビューや打ち合わせでの相談を行うこともしています。
また、初稿が仕上がった段階でGoodpatchのPRチームの方にもレビューをお願いし、より読みやすくなるようFBをもらえる仕組みも作っています。
続ける仕組み②:成果を追いすぎない目標・指標作り
ただ、これらのハードルを下げる仕組みや伴走する体制だけでは、ここまで発信が続かなかったと思います。もう一つ重要だと感じている要素、それは成果を追いすぎない目標・指標作りです。
発信を行うときに目標としてPV数や、さらにその先の会社資料へのCVR数を掲げることはよくあることかと思います。
しかし、これから発信を始めていこうという組織でいきなりCVR数などを追い求めると、それに資するようなテーマを書かなければと思ってしまったり、数字上がらないことで書くモチベーションが失われてしまう可能性があります。
そこでまず”にんちむ”では、発信数という定量目標と、ハードルを下げる仕組みがあるという状態目標を掲げました。
つまりとにかくまずは発信が行える環境を作り、発信が継続するようにすることを目標にしたのです。結果、前述したような仕組みに加え、中途で入社してきたメンバーが持ち回りで、新社員の紹介記事を書くことなども仕組み化されています。
また、取り組み開始からほぼ1年が経つ今では、発信した結果として、とあるアウトカムを目標として掲げているのですが、実は発信数も変わらずに目標として置いてあります。
最初の方でお話しした通り、メンバーの個性の表出を実現したいという狙いもあるので、結果的に比較的自由で固くなりすぎないテーマでのnote発信が続いています。
仕組みによる効果
成果を求めすぎず発信することに重きを置いていることは、ゆるく、でも想いのある・普段の考えが垣間見える発信ができることにつながっています。そしてその結果は、UXデザイナーの自由帳を始めてからのスキが多かった記事ランキングにも表れていると感じています。
上位3つを見てみましょう。
2023年UXデザイナーの自由帳スキ数ランキング
1位『使いたくはない言葉たち〜ボタンは押させるものじゃない〜』
2位『化粧品マニアデザイナーが売り場を見るときの3つの観点』
3位『子持ちUXデザイナーが本気でオンライン家庭教師を選んでみた』
ぜひまだ読んでいない記事があればチェックして欲しいのですが、タイトルからも分かるとおり、これらの記事はダイレクトにGoodpatchの案件依頼には繋がりにくい内容です。
でも成果を求めすぎない目標設定によって、こうした日々の想いや考え、こだわりの発信ができた結果、これらの記事にはその想いに共感したコメントや引用ポストが集まっています。
採用におけるカジュアル面談でもこうした記事を読んだ方から「日常の至る所にUXは関わっていわってますよね」などと、GoodpatchのUXデザイナーへの共感をもらえています。
ゆるやかな発信の継続が、当初の狙い通り、GoodpatchのUXデザイナーのイメージをつくっていっているのです。
これからの自由帳
まだまだ、2ヶ月先くらいまで、ほぼ毎週、発信したい内容でカレンダーが埋まっています。
これからも今の組織における発信の成熟度に合わせながら、目標を見直して、一見効率的ではない内容も含めてUXデザイナーでの発信を続けていきたいと思っています。
ぜひマガジンをフォローしてみてくださいね!
また、こうした個性の発信ができているように、組織としては多様なバックグラウンドを持ったUXデザイナーが集まっています。
世の中のさまざまな事業に対して、デザインの力を証明する、ということに共感いただける方、今はUXデザイナーではない職種でも、UXデザインに興味がある、実は近しいことをやっているという方も、ぜひこちらから一度お話ししてみませんか。
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