文【会話というのは恐ろしい】
相手の話のペースに乗せられた。
乗ったつもりはなかったけれど。
気付いたら泥船の上。
相手の質問に答えているだけなのに。
心に爪を立てられ、牙を剥き出しにされた。
過去を否定し、未来を潰しにかかろうとするその姿は、善も悪も無い、ただの狂気のようだった。
泥船の行く先は雷鳴の中。
このまま相手と共に進みたくないと、荒波に身を投げようとすれば。
言葉の網で雁字搦めに捉えられる。
必死に逃れようと、こちらも牙を剥き出しにすると。
「そんなふうに聞こえてたの?」
「そんなつもりじゃな