畑の癒やし効果
畑は野菜を育てたくて始めたわけですが、やってみると、畑は食べものを得られる場所であるのみならず、そこで過ごすだけで元気が得られる場所なのだということがわかってきました。食べものを得るためだけなら、買って済ませることもできるけれど、畑で体を動かして、そこにいる生きものたちや土、風、雨、自然のさまざまな要素と触れ合いながら過ごす時間に意味があると感じています。
自分は家にじっとこもっているタイプではないと、香川に来てから実感するようになりました。東京にいた頃は、アパートの一室でパソコンの前に座って長時間過ごすことが多かったのですが、夕方になると狭苦しさを感じ、近所の公園まで散歩に出かけることがよくありました。自然に飢えていたのでしょう。草花や木々や鳥たちがいる場所にでかけてゆったりと過ごし、外の空気を吸うと、気持ちがすっきりとしました。
香川に来てからはなおさら、自然不足を敏感に感じるようになりました。毎日一時間でも畑に行くと調子がいいのだけど、雨の日が続いて室内でばかり過ごしていると、とたんに調子がわるくなることがよくありました。気分がさえず、体も重たくなってきます。ところが、また晴れて畑に通い始めると、気分が冴えなかった自分はどこへ行ったのだろうと不思議に思うほど、あっという間に気分爽快。畑のパワーはすごいものです。
疲れているのか、体がだるくて、畑に行くのもしんどいようなときでも、ちょっとがんばって畑に出かけてみると、いつの間にか体が軽くなり、思いのほか畑仕事が進むということもよくあります。
家にいるときはパソコン仕事をしていることが多く、体に取り入れた電磁波を畑がアーシングしてくれている、ということもあるのでしょう。裸足で土の上を歩くといいと言われていて、何度か試してみましたが、裸足のまま畑仕事をするのはリスクもあり、靴下を脱いだり後で足を洗ったりするのも面倒で、結局普段は天然ゴムの長靴を履いたまま畑仕事をしているのですが、それでもアーシング効果は充分あるような気がします。畑に行くと、頭や首まわりがすっきりし、顔色も明らかによくなります。
ある時、畑の土手で足を踏み外して捻挫したことがありました。畑仕事が追いついていないときで、痛みがなくなるまで家で安静にしている余裕がなかったので、翌日、痛みを感じながら畑に出かけたのだけど、その日の畑仕事が終わる頃には捻挫の痛みがなくなっていて、このときも畑の癒やし効果を感じました。家で休んで安静にしていても、痛みがなくなるには数日はかかりそうな気配だったのに、畑仕事で足を動かし続けていたのに痛みが消えてしまうとは驚きでした。
畑にいると、不思議な安心感があります。手足を動かして作業していると、余計なことを考えている暇がなく、不安や心配事があってもそのときは忘れてしまいます。いそがしく働いていた思考に休息が与えられ、気持ちもリフレッシュし、前向きに進んでいけるエネルギーがどこからともなく湧いてきます。