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世界は、人類史でありえなかった壊滅的な終末を迎える。

2020年の末、僕はメディア学者で哲学者であるマーシャル・マクルーハンの"understanding media"を読んでいた。

そこでは記号論の中心周縁理論という、割合と有名な図式を使った論旨が展開されていた。例えば国であれば、官僚が中心で、中小企業が周縁だとか、会社なら本社が中心で、海外子会社が周縁だとか、そんな図式を想像されたい。

ただしである。これが面白いのは、ある種の革命性を内包しているところだ。

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時間を追うにつれ、中心は硬直化し、野蛮な周縁にとって変わられる。大企業がベンチャー企業に駆逐されるとか、第二次世界大戦後のイノベーションの95%が中小企業発だとか、中心周縁理論はこんなある種の革命的な成分を包含しているのだ。

そして最後に、中心が断末魔の叫びをあげ社会は終結を迎える。マクルーハンによれば、滅びの間際に自身の持つ統治能力を極限に発揮し、その社会は滅亡するのだという。

現在、実のところ自由主義の限界を感じざるをえない状況にある。ノーベル経済学賞を受賞した米国の経済学者、ミルトン・フリードマンの自由放任主義など、今は誰も信奉しまい。

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どこの経済圏でもベーシックインカムを導入しようとしているし、日本でもコロナ下での特措法を発動したりと、自由主義経済たるものが統制経済の如くの統治を開始している。

社会主義を毛嫌いしてきたあの米国でさえ、ミレニアル世代(80~90年代生まれ)とZ世代(90年代以降の生まれ)を中心に社会主義を肯定的にとらえだしている。ほんの数年前なら絶対にありえなかったことだが、民主社会主義者を自認するサンダースが「旋風」と呼ばれる支持を集めたのだ。

僕にはこれが、マクルーハンが述べる”社会が終焉を迎える際に放つ断末魔の叫び”に思えてならない。

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彼によれば、かつての「遅い時代」は分権的であらざるを得なかった。だから大航海時代のイギリスは分権的な統治をしていたし、陸(アフリカ)を支配したフランスは強権的だった。陸は海よりも早いから強権的だったのである。

そして情報社会になり「遅さ」が消失したとき、世界は超集権的にならざるをえなかった。マクルーハンはそれを、周縁が消滅するほどのものだと語る。かつてない中央集権的な経済社会。ほぼ完璧と言えるほどの巨大かつ強権的なグローバル経済社会が成立した。

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この社会は非人間的なものでもあった。部族的、田舎的な土臭さは極力排除され、近代社会の起源である西欧社会ですら西欧的な人間らしさをなくしてしまった。どこに行っても画一的、標準的な教育が理想だとして進められてきた。

マクルーハンは、「われらがもし人間的なものに価値を置くならば、この電子的なメディアを排除しようとすら、するだろう」と述べる。

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かつて存在した中心周縁構造を持つ社会が消滅する際には、それが経験したことのないレベルの崩壊をさせられてきた。大日本帝国、アヘン戦争の中国、ローマ帝国。みな同じだ。

ならば、である。歴史上ありえないほど完璧に形成された我らが住むこの社会。この現代社会が崩壊する際には、人類史上比類なき壊滅的な終末を迎える、と、マクルーハンは、そう示唆している。

ならばどうするか、僕らは考えねばなるまい。

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お読みくださいまして、誠にありがとうございます!
めっちゃ嬉しいです😃

起業家研究所・学習塾omiiko 代表 松井勇人(まつい はやと)

下のリンクの書籍出させていただきました。
ご感想いただけましたら、この上ない幸いです😃

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Hayato  Matsui『逆転人生』共著者
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