【雑感】「オーダーメイド治療」とは現実問題どういうことなのか?
「あなたに合った治療をします」
「オーダーメイド治療をします」
そんな広告を多くの整骨院で
見かけるようになりました。
今回はこれについて
徒然なるままに書いていきます。
きっと共感いただけるところが
あると思いますので、
もしよかったら覗いていってください。
この謳い文句が意味するところ
こういった謳い文句の意味するところは、
おおよそ決まっています。
およそこの3点を
ユーザーに訴求するものだと思います。
しかしですよ…
そんなのやって当たり前でしょ
って思うわけです、花田は。
広告するに値する内容ではありませんし、
こんなことで差別化できてしまう
業界を憂うべきだと思います。
一人ひとりに合ったとは何か?
そもそも
「一人ひとりに合った治療」とは
どういうものを指すのでしょうか?
クライエントの健康状態が
どんな具合か探ることでしょうか?
あらゆるアプローチの中で
最も適した選択肢を選ぶことでしょうか?
クライエントにとっての
「購入の失敗」というリスクを減らし
価値あるプロセスと結果を
目指すことでしょうか?
そんなこと、
改めて広告などしなくても、
業界全体で100%実施できていなければ
いけないくらい初歩的な問題です。
優位性のあるものとして
広告しようとすること自体おかしいのです。
この謳い文句が映す業界の現実
広告は社会の鏡です。
アフターケアの要らない脱毛が
広告されればされるほど、
世間の脱毛サービスのほとんどは
1回では終わらないことを示します。
出会えると評判の出会い系アプリが
増えれば増えるほど、
いま現在「出会えない」アプリが
シェアを大きく占めており
乗り換えを求めるユーザーが多いことを
暗に示しています。
広告で差別化を図るということは、
・それが難しいサービスであるか
・そもそも実現できない業界事情があるか
いずれかの背景があることを示し、
かつその中で優位性を
アピールすることにつながります。
…しかしどうでしょう?
「個人差を踏まえた施術をする」
という至極当然なことを、
他社との差別化を図って謳えるのが
現在の治療家業界です。
至極当然とは、
やって当たり前ということ。
むしろできていないとオカシイ。
達成されるべき
最低レベルのサービスです。
そんな
最低限を誇大に示すことで
差別化を図る業界でありますから、
裏を返せば、
個人差を治療に考慮するという
当然のことすらできていない
そんな整骨院で
溢れているということになります。
オカシイですよね?
個人差を踏まえた施術をする
と謳う整骨院だらけであることは、
個人差を踏まえたやり方ができない
実態を持つ整骨院だらけ
とも言えるというわけです。
では
その実態はどうなっているでしょうか?
個人差が考慮されないリアルとは
花田は以下の4つが
業界の実情なのではないか?
と考えます。
①そもそもの選択肢が少ない
例えば治療方法や治療理論が
100個扱えるとします。
その100個の中から
目の前のクライエントに
最も適したものを選択するのであれば
一定の個別最適性を
担保できる気がしますよね?
でも多くの整骨院、
特にグループ整骨院の
マニュアル的なアプローチでは
そもそも提案する治療方法が
「猫背矯正」か「骨盤矯正」の
2択という治療院も少なくありません。
肩こりの方は猫背矯正
首が痛い方には猫背矯正
腰痛の方には骨盤矯正
膝が痛い方には骨盤矯正
といったように
上半身なら猫背矯正
下半身なら骨盤矯正
というルールをもってして
「あなたの症状に合わせて治療」
という看板を掲げるわけですね。
それで本当に個別最適性を
担保できているのでしょうか…?
②喋りが拙い
喋り、もっと言えば
振る舞い全般が拙い治療家も
多く見受けられます。
言い換えれば
コミニケーション能力が低いのですね。
「あなたに合った治療をします」
という広告に価値を感じて
来院される顧客がいるということは、
「あなたに合った治療」をされなかった
ネガティブな経験をしたことがある
顧客も一定数いるはずです。
やって当たり前のはずの
「あなたに合った治療」を
やっているにも関わらず
そう受け取られなかったとすれば
術者側の説明不足か
信頼関係構築のミスと言わざるをえません。
「あなたに合ったものを提供しますよ」
という演出すら
伝わっていないわけですから
・どういう状態だからどうする
・希望に応えるサービスはどれとどれ
といった説明や提案もできていない
可能性が高いわけです。
こういった場合はそもそも
「クライエントを安心させよう」とか
「納得して施術を受けてもらおう」とか
そんな意識が低いのではないでしょうか?
あらゆる可能性から絞り込むオープンな態度ではなく、「気持ちのせい」「仕事のせい」「歪みのせい」など、クローズドな何かの結論に向かってだけ診察をしていませんか?
歪んだ「プロ観」「職人観」を
強く持ち合わせていませんか?
そういった振る舞いになっていませんか?
あなたは違いますか?
あなたの上司は違いますか?
③個人差を考慮しうる問診時間がない
個人差を考慮するには
・個人について聞き取る
・他の個人との違いを明らかにする
・施術計画の立案に加味する
といった工程が必要です。
当然、遂行するには時間を要します。
ところがどうでしょう。
下記のアンケート結果を見てください。
このアンケート結果で
どこまでパーソナルな情報を
ひきだせるのでしょうか?
顧客が「私に合ったものを提供するためによく準備をしてくれた」と感じられるでしょうか?
そう感じられない
嫌な経験をしたのであれば、
「あなたに合った治療を!」と掲げる
整骨院を選びたくなるのは当然です。
④業種混同を踏まえた広告
これは完全に集客視点に立った側面です。
「リラクゼーション・サービス店」と
「整体」と
「あん摩マッサージ指圧院」と
「整骨院」との違いを理解していない
知識が乏しい一般ユーザーに対して
「あなたに合った治療をします」
「検査もします」
「問診もします」
「説明もします」と謳って
「専門性」と「効果性」を打ち出して
購入失敗のリスクを減らせるように
感じさせる手法といえます。
これは言ってしまえば
「術者が提供するサービス」を
明示することで、
それに共感してニーズが一致した
クライエントのみ来院するという
“集客戦略”です。
決して
「あなたに合った治療をします」
という意思表示をすることが
特別に優れたサービスを提供している
とは限らないわけです。
実はこれ、
就職先を探す上で
勘違いしている学生が多いんですね。
ぶっちゃけ言ってしまえば
どの整骨院も基本的には
「あなたに合った治療」を
やろうとしています。
ただし前述のとおり
「あなたに合う治療」と
「合わない治療」の選択肢が
そもそも少なかったり、
コミュニケーションの拙さから
「合っている」と感じさせられなかったり
時間的余裕がなく
顧客理解が乏しかったりと
さまざまな理由で
「あなたに合っている」が
不徹底なケースが多いということです。
もしも
「あなたに合った」系整骨院に
就活をしているのであれば、
これらの問題に会社として
どう取り組んでいるのか
尋ねてみるとよいと思います。
まとめる
つまり何が言いたいかというと、
商売的な意図ゼロで「オーダーメイド治療」と、本気で医療的観点から掲げているのは、見えている社会も世界も見識も狭すぎる
ということです。
そもそも達成されていなければおかしいものを、わざわざ広告として掲げる「業界の程度の低さ」と、しっかりとそれを構成する一部となっている「己の程度の低さ」を自覚しなければなりません。
自分の施術の優秀さをアピールするために「あなたに合った施術」「オーダーメイド治療」を掲げるのは、そもそも認識不足だということです。
この思い、届きましたでしょうか?
それでは。
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