「今の自分」と「理想の自分」
うちの高校は私立のため、公立高校を落ちて入学する生徒がほとんどだった。当時の校長もこの高校の卒業生なのだが、「不本意入学」だったそうだ。でも、そこから校長にまでなるのだから凄いなと思っていた。もちろん俺も「不本意入学」の一人だった。
高校最初の夏休みを終えた9月頃。
県内の高校の文化祭ラッシュだった。
俺たちは泉館山高校の文化祭に、数人で行った。(俺らどんだけ仲良しなんだよ笑)
俺はこの高校に落ちて、榴ヶ岡高校に行くことになったので、ここに来るのは受験のとき以来だった。
俺には2つ上に姉がいる。姉は館山のチアガールをやっており、この日が最後のステージだったらしい。それもあり、ぜひ来てほしいと言われていた。
姉から、チアが始まる時間など教えてもらっていたので、この文化祭に一緒に行くメンバーにも伝え、集合時間などをメールで連絡した。
みんなから、「了解」などと連絡が来る中、宗弘からすごい返信が来た。チアガールと聞いてテンションが上がったのか
「むひょっす!!最高だぜ!」
と送られてきた(笑)
そして当日。
みんなでチアガールのステージ見たり、食事をしたりとても楽しめた。
姉の最後のステージを見れたのも良かった。
お化け屋敷にも行った。
聡汰は、出口を出てからも絶叫を続けており、周りから見たらサクラかと思われるくらい怖がり続けた(笑)
本当に楽しい1日を過ごすことができ、改めて館山はいい高校だなと感じた。
俺がこの高校を受けたのは、姉が通っていたからという理由が一番大きかったかもしれない。
小さい頃から姉は、俺より何でもできる子だった。小学校や中学校でも、姉は作文などでいろいろな賞状をもらっていたけれど、俺は何もなかった。尊敬はしつつもどこか劣等感があった。
同じ高校を受けたのも、姉に追いつきたいという思いがあったのだと今は思う。でも追いつけなかった。当時は後悔ばかりしていたけれど、陸上部に入ってからはそんな気持ちは1ミリもなくなった。もし俺が館山に受かっていたら、榴ヶ岡陸上部のみんなには出会えていなかったからだ。
大好きだったサッカーを辞めて、陸上を始めることになったことも同様で、もし俺がめちゃくちゃサッカーが上手くて高校でも続けていたら、みんなには出会えなかった。
気付けば俺は、大学も第一志望のところには合格できず、第二志望の大学に行くことになった。でも、これも落ちて良かったと思っている。もし第一志望の大学に行っていたら、妻に出会えていなかったし、もちろん娘たちにも出会えなかった。
第一志望のところにしっかり合格できる人は、すごいと思うし憧れるけど俺には一度も果たせなかった。
でも、そういった挫折から得られることは多かったし、たとえ思い描いた人生になっていなくても、「今の自分を正解にする」ことはその後の行動で十分可能である。
「理想の自分になるための努力」はもちろん大切だが、「今の自分を正解にする努力」も同じくらい大切だと感じている。
「今の自分」を肯定して前に進むことが、もしかしたら「理想の自分」になる近道なのかもしれないなと思った隼人でした!