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ブル・マスケライト《仮面の血筋》100ページ小説No.6



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前回までのあらすじ…

栗原とあわナミ3人で仮面の特徴を捉えようと話し合うととんでもない事実を突きつけられた。
主人公たちばなだけ右半分が黒色の仮面だと。
仮面の封筒が届いたこの日、急速に物事が動き出す…


『たちばな君の仮面だけ…右半分が黒いの…』


想像してなかった栗原の答えに愕然とした。
「右半分が黒色…他の人と違うのか⁇な、何で俺だけ…」
直ぐに栗原が口を開いた。
「昨日も言おうと思ったんだけど、たちばな君が変に心配するかなと思って。今日には仮面が外せれると思ってたし…黙っていてごめんなさい」
栗原が申し訳なさそうに言ってまたうつむいた。それを聞いてあわナミが口を開く。
「私はもう仮面は見えないから栗原さんにしかたちばなの特徴は分からないし。もしそうならきっと他の人と違う仮面の特徴を見てこれを送りつけたのよ。理由は分からないけど…」
3人は同時に橙色の封筒をみた。赤い仮面の焼印が早く開けろと呼んでいるかの様だった。水口先生に渡して見てもらうはずだったが今日は来ない。そして僕の仮面だけ半分色が違うとなるといよいよもう後が引けない…
「大丈夫ですか?ごめんなさい、こんな時に驚かせてしまって」
「いや、きっとこれには何か訳があるんだ…。自分だけ違う何か…」
そう言いつつも思考がぐるぐると同じところを廻るだけで当然、考えて分かるはずもなかった。今出来ることは目の前の封筒を開けること。恐れを受け入れ覚悟を決めるしか道は残されていない。
「そろそろこれ…開けてみるか…」
二人は頷き僕はゆっくりと仮面の焼印を親指の爪で剥がし封筒の中から一枚のカードを取り出した。それは仮面と全く同じ『碧色』。取り出した左手が震えてくる。そしてカードにはこう書いてあった…
『ようこそマスケラの図書室へ』

読んだ瞬間あわナミと栗原はお互いを抱きしめ勢いよく椅子にのけぞった。そしてこの古びた図書室全体を見渡し怯えている。まるでこの瞬間を予知していたかの様に書いてある図書室の白い文字が浮かび上がっている。周りの剥がれた壁紙の隙間から仮面達が覗き込んでいるかの様な幻覚が襲いかかる。まるで送り主が僕たち3人をこの空間に閉じ込めた様に動けなくなった…。
「全て…見られている…ただの嫌がらせなんかではない…」
僕は話しながら息を呑んだ。その時だ!入口から誰かがゆっくりと入ってきた。
「カツッ…カツッ…カツッ…」
静まり返るこの図書室にヒールの音が不気味に聞こえてきた。一度途中で足が止まったかと思うとまた動き出し音はこっちに近づいてくる。
「誰か来る!隠れろ!」
ヒールの音に反射的に反応した僕達3人は急いで立ち上がり通路の死角になる本棚に身を潜めた。ヒールの音は立ち止まっては動き出しを繰り返している。まるで僕達を探しているかの様に…。音はさらに近づいて来る。
「もう一つ奥に移動するぞ」
小声で二人を誘導する。直ぐに二人も僕の後ろをついて来る。そして一番奥の本棚に背を向け3人はしゃがんだ。これ以上逃げ場はもう無い。すると栗原が思い出したかのように僕達に言った。
「封筒!机の上!」
「しまった!置きっぱなしだ!」
まずいと思い僕は急いで本の隙間から遠くの机を覗いた。だがもうそこに髪の長い仮面が立っていた。橙色の封筒を手に取り確認すると直ぐに碧いカードと一緒に持ち去り、足早に図書室を出て行った…。
「持っていかれた…誰だったんだ今の…」
僕が言うとあわナミが答えた。
「私見た…。福良先生だった!」
「本当か?間違いないのか?」
「間違い無い!私視力2.0だから!しかも先生は怪しい動きをしてた。きっと私達を探してたんだと思う」
「何で先生が…いやまだ決めつけるのは早い。このまま福良先生の動向を監視するのが得策だ」
「直ぐに追いかける?」
「いや、変に俺達が怪しまれる動きはやめよう。とりあえず俺達は封筒のことは知らないふりで通しておいた方が安全だ」
「でもどうするの?私達まだカードの裏見てないよ?何て書いてあったんだろう…」
「確かに気になる…」
考え込んでいる二人を見て栗原が言った。
「…そう言えば私、あの焼印…知ってると思う」
「どう言うことだ?」
僕が疑問に思うと栗原が言った。
「ちょっと待ってて」
そういうと彼女はすぐ外国の歴史コーナーへ本を取りに行き一冊の本を手に取り戻ってきた。急いでページをめくる。
「あった!ほらここ!」
指さした先に同じ仮面の焼印写真がそこにあった。この本はどうやらイタリアの古い参考書のようだ。僕達は直ぐに元の机に戻って調べることにした。
「中世の時代、イタリアのヴェネチアで皆んな仮面を被って踊るカーニバルがあったの。その時代はまだ階級があって仮面や衣装の種類で身分を表してたけど時代と共にその日だけは身分も関係なく顔を隠して踊りましょうっていう祭典になった。今でも2月~3月の間に開催されているわ。そしてその仮面のことを『マスケラ』と呼んでいるの」
突然話し出した栗原にあわナミと僕は呆気に取られた。参考書の内容も勿論だが栗原が流暢に話をしてることに驚いた。
「しかし何でこの本を知ってるんだ?」
「皆んなが仮面に見えた時に調べてた」
「そうだったんだ、じゃあこの焼印はなに?」
あわナミが質問した。
「これは宮廷内の上流階級の人に送る招待状に使われたみたい」
「じゃあこれをモチーフにたちばなに送ったって訳ね」
「きっとそうだと思う」
「だけどどうしてこんなことを…」
「僕に仮面の封筒を送り付けた奴は間違いなく仮面が見えていることは事実。もしかして福良先生なのか?でもなんで…」
「いや、福良先生はたまたまだと私は思うけど…」
いつもより話す栗原を見て僕はこれを機に栗原のことを聞いてみようと試みる。
「なあ栗原。急に仮面が見えた時の話し教えてくれないか?俺が仮面が見えた日は、ちょうど家に家族がいなくて遅刻気味で教室に入った時に皆んな仮面だった。でも栗原は家族もいただろ?家族が仮面と分かってそれでもよく学校に来れたなあと思って…」
さっきまでとは違いやはり急に黙ってしまった。そこであわナミが言い出した。
「たちばなも疑ってるんじゃなくて栗原さんを守ろうと聞いてくれてると思うから言いにくいかも知れないけど教えてもらえるかな?」
少し間を置いてから栗原は話しだした。

「私…人と話すのが苦手で昔から友達がいなかったの。しかも兄弟もいない。だから楽しそうな皆んなが羨ましかった。せめて家では親と仲良く話したいんだけど親が勉強できる子が好きみたいで私が部屋にこもって勉強をしてるときにしか喜んでくれない。親の目を気にしていい子でいたら、いつの間にかどんどん人に心を閉ざしていった。どうせならもう誰もいない世界に行きたいと思ってた。そんな時のあの日曜日、朝起きたら親が二人とも仮面に見えた。驚いて部屋に閉じこもった。助けてと思ったけど声が出なかった…。親は気付くこともなくまた朝から勉強してうちの子は偉いねっていう声が聞こえた。その時にもう怖さを越えて何かスッキリした。自分が望んだんだと思った。だったら仮面の世界の方が生きやすいとまで…。そして次の日に学校へ来た。やっぱり皆んな仮面だった。怖かった。でももう人目を気にしないでいいってこれでいいって…」
栗原は泣いた。とても辛かったんだろうと聞いた僕も泣けてきた。その僕を見てあわナミが代わりに話してくれた。
「話してくれてありがとう。私も親と仲が悪くて、一緒だね。もう栗ちゃんとは友達だから、まだ仮面のナミだけど…。この問題は絶対に解決しよう。手伝うから!」
「ありがとう、ありがとう…」
目を擦った後、一瞬だけ二人の顔が見えた気がした。
「もう授業が始まる、戻ろう。そしてこの図書室に何か秘密があるかも知れない。明日もまたここへ集合、いい?」
二人は深く頷いてくれた。教室に戻りながら福良先生のことを考えていた。もしかしてただの落とし物として封筒を持っていったかも…。せめてカードの内容だけでも見れれば良かったが…。

 授業が始まっても頭の中をぐるぐると謎が回る。いま頼りになるのは確実に仮面が見える水口先生なのは間違いない。しかもあわナミを治してくれた。でも先生をすがりたいがまだ学校に来ない。明日ももしかして…。不安が過ぎる。
そして気になるのが福良先生だ。僕達を探して図書室に来た様にも感じる。そして当然カードの内容も見て知っているだろう。しかも例の封筒をもっていて僕達は内容が見れていない…。先生に直接カードのことを聞くか?いやまだ早い。疑う訳じゃないがもしかしてって事もある。焦るがここは様子を見るしかないか…。それに謎はまだある。
 あの図書室だ。僕に送ってきたカードの言葉でもあったように重要な場所なのは間違いない。50年も改築してないのはもしかして壊せない秘密があるんだきっと…。
 そして一番の謎…それは「僕の仮面」。右半分だけ黒色の仮面…?僕は自分の仮面が見えないし他の人を見てもそんな仮面は見当たらない。なぜ自分だけなんだ?自分が他の人と違う何か特徴があるのか?普通の家庭に普通に過ごしてきただけなのに。
「もうこうなったら徹底的に暴いてやる。この仮面の謎を」

 帰りの時間になり福良先生が教室に入って来た。僕達はなるべくいつもと同じように話しを聞いていた。
「今日一日お疲れ様でした。明日もいつも通り学校に来れるように今日は早く寝て疲れを取って下さい。それではさようなら」
優しい丁寧な声が逆に少し怖く感じた。僕はゆっくりと立ち上がりカバンに教科書をつめ肩にかけた。ふと栗原の方を向くとまだ座ったままで福良先生に何か話しかけられている。遠くから見ながらも僕は緊張感に包まれた。
話が終わると先生がこっちを向き歩いてきた。なにか栗原が急いで振り向き俺達に合図をしてるようだ。
「やばい…」
直ぐにあわナミをみるともう気づいてるようで真っ直ぐ先生を見つめてる。そして先生は俺達の前で立ち止まりこう言った。
「ちょっとお二人とも今からお時間ありますか?」
いつもよりも優しく聞いてきた。
「何の話しですか?」
あわナミが少し強めに返すと先生は少し間を置いてからゆっくりと話し出した。それは僕達が予想してたよりも恐ろしく早い展開となる答えだった…
『仮面についてです…』

二人共凍り付いた…

 教室は静まり返り相変わらず雨音が薄暗い空間をホラー映画のように演出してくる。少し肌寒いせいか先生は廊下側の席を3つ横並びにし僕達3人と向かい合って座った。そして僕達以外教室からいなくなると先生は長い髪をかき分けゆっくり話し出した。
「黙っていてごめんなさい。3人とも大変でしたね。もっと早く伝えるべきでした。二人はまだ私も仮面に見えていると思いますが…」
僕は先生の「二人は」という言葉にもう全て知ってると理解した。だがあわナミはまだ警戒してる。
「仮面って何のことですか?」
強く言うあわナミを見て福良先生は優しく微笑みこう言った。
「安和なみさんのことはもう水口先生から聞いてます。仮面が見えてたんですね。そして先生に外してもらったことも。安心して下さい。水口先生も私もあなた達の味方です。この4日間皆さんよく耐えました。不安で怖かったでしょう」
「えっ?先生も本当に知ってるんですね?良かった!」
その言葉にあわナミは安心し前のめりになった体制を元へ戻し緊張を解いていた。しかし僕は逆に疑問が湧いてきた。
「先生ちょっといいですか?僕らが仮面が見えてることに気づいてるのは分かりました。でもさっき水口先生から聞いたって言いましたが4日間とはまだ僕ら一言も言ってないですけど…」
どうして分かったと聞くと答えたのと同じことなので言葉を濁した。すると先生はまた笑って答える。
「そういうところ…本当よく似てます。きっと仮面が見えたのはハロウィンの10月31日の日曜日からでしょう?この日を私たち二人は待っていました。そしてこうして伝える時がようやく来たんです…。仮面の外し方を…。ちょっと待って…」
先生が突然立ち上がり廊下の窓を開けた。すると誰かが盗み聞きをしていた。ブッダだ。先生が廊下に出て連れてきた。
「袴田君、ここで何してるの?」
「ごめんなさい。最近たちばなの様子がおかしいからつい盗み聞きしてました」
頭を下げて先生に謝った。
「今の話し…聞いたのか?」
僕は尋ねた。
「うん聞いた。でも何で俺に言ってくるれなかったんだよ~」
「信じないだろどうせ」
「そういう問題じゃないだろ!心配したんだこっちは。急にたちばなは飯は食わなくなるし一緒には帰らないし。それに…もういいわ」
「心配してくれてたんだ…悪かったごめん」
僕は頭を掻きながら謝った。すると先生は言った。
「まあ協力者は多い方がいいから」
確かにと思いながらも、僕はもう一度さっきの話しに戻しながらブッダを僕の横に座らせた。
「先生さっき日曜日から仮面が見えたって言ったけど実は僕、月曜日からなんです」
そういうと何も知らないはずの何故かブッダが喋りだした。
「いや日曜日のハロウィンからだぜ。だってお前朝から仮面着けてるの見てたもん」
ブッダは言う。
「どういう事だ?あの日一度も俺に仮面があるなんて言わなかったじゃないか。しかも俺はブッダの仮面を見てないし…今も見えてるのか?」
「見えてない、あの日だけだ」
「???」
僕はあの日の風景を思い出した。
「あの日はハロウィンでお前は朝からよくわからないネコの被り物をしてきた。そのせいでお前が仮面だと一日気づかなかったんだ。そしてきっとどこかで仮面を外してもらった…そういうことなのか?」
疑問が完全に解ける前に先生が口を開く。
「では袴田君も橘君の仮面が見えてたという事ですね?分かりました。袴田君にも今の状況を理解してもらう為にも初めから整理してみましょう。それにちょうど4人揃いましたし…」
ちょうど4人?どういう意味だ?っと思いながらも僕達は静かに話を聞くことにした…


10月31日…この日から4人は同時に仮面が見える様になりました…
「袴田君はその日に橘君の仮面が見え、どこかで外してもらい現在は仮面が見えない普通の状態」
「安和ナミさんもその日から両親が仮面に見え、次の日に学校を休んだ。そこへ水口先生に外してもらい袴田君同様に現在は仮面が見えてない」
「そして栗原さんとたちばな君もその日から仮面が見え、まだ誰にも外してもらってない」
「ここまではいいですね?」
4人は静かに頷く。
「では率直に今から仮面の外し方を説明します。そこからお話しした方が理解が早いと思いますので。それは…」

『その人のフルネームを言う事です』


「「「???うそっ??それだけ???」」」

4人が口を揃えて言った。そりゃそうだ。僕達が恐怖に耐え続け少しでも早く仮面を外そうと頑張ってきた答えが名前を呼ぶだけなんて思いもよらない。
「じゃあ早く呼びましょうよ」
あわナミが言った。だが直ぐに先生が止めに入る。
「ただし!ひとつ条件があります。それは仮面が『見えてる人にしか外せない』という事です。ここに大事なポイントがあります!」
初めて先生が強い口調で言った。すると栗原が小さい声で話し出した。
「仮面が見える人しかって事は呼ばれた人は見えなくなるからもう外してあげれない。だから名前を呼んであげた人はまた仮面が見える人を探すまで外して貰えれないって事?」
直ぐに理解して栗原が言った。
「そう、そこなのこの単純で厄介な仮面の仕組みは…。外し方を知った人は自分を後回しにしてまで相手を先に助けられるのかの選択を必ず迫られることになります。そして今、見えてるのが2人…ここまで仮面の恐怖に耐えた時間が長いほど辛く、同じ様に相手も恐怖に耐え続けている。つまり、今はこの場ではどちらかのしか外せないの
先生が説明した。
「分かってもらえるかな?」
しばらく沈黙が続く…
しかしその間に迷いを決心した。
「大丈夫!俺が栗原のを今ここで外すから」
僕が栗原をみると彼女は驚いていた。もちろん聞いていなかった訳ではない。聞いた上で迷うこともなかった。そして俺はためらうことなく言った。

よくここまで頑張ったな…栗原静恵(くりはら しずえ)

僕は名前を呼んだ…すると栗原の仮面が一瞬微笑み地面の方へと倒れ落ちると、同時にばらばらになった小さな仮面の碧い雫が教室に舞い消えていった…
「栗原…どうだ…?」
栗原は泣いていた…メガネを取り溢した涙を拭いてもう一度掛け直した。
「皆んなの顔が…見える…見えるよ…ありがとう」
そう言うと再び泣き出しメガネを外した。直ぐにあわナミがハンカチで栗原の涙を拭き取りながら言う。
「栗ちゃん、おかえり。もう大丈夫。怖かったね」
先生も栗原の手を両手で握りしめた。
「やるじゃん、たちばな」
そう言いながらブッダは鼻をすすりクシャクシャな顔をしていた。窓の外は雨で暗かったが僕の気分は晴れていた。しかしここからだ。気持ちを元に戻し俺は冷静に先生に尋ねる。
「ありがとう先生教えてくれて…でもまだわからないことが山ほどある。先生は見えてたの?なぜ仮面のことを…そして水口先生とこの日を待っていたって。全てを教えて欲しい」
そう言うと先生は僕の正面を向き強い眼差しで静かに語ってくれた。

 「まずは自分の意志で外してあげたたちばな君に私からもありがとうとお礼を伝えます。ですが、ここからが大変です。あなたはもう外し方を知ったことでこれからも同じように辛い選択が迫られます。誰かを外してあげればその人を救う形になります。もちろんその人からとても感謝されますが、あなたは仮面の生活が続いていきます。そしてまた仮面の見える人を探し続ける…誰かに外してもらえるまで…」
僕の為に話してくれる先生の言葉はとても深い優しさと現実の厳しさを同時に教えてくれた。栗原に喜んで貰えた感情と今後の不安が同時に入り混じり僕を襲ってきた。
そんな僕の顔を伺いながらまた先生が話してくれる。
「先生も昔、仮面が見えてました。そして今の栗原さんのように『ある人』に外してもらいました…」
「ある人?」
「そうそれは…いえ、この話は私ではなく水口先生に話してもらいましょう」
「??」
先生が少し黙った。
「その前にまず仮面の仕組みを順番に説明していきます。皆さん、宜しいですか?」
4人はさっきまでの感情を整え、全員で聞いた。
「まずは…」
先生は何かを取り出した。橙色の封筒、僕に届いたやつだ。
「先生それ…今朝うちに届いた封筒です」
「そう、これは橘君に届いた封筒。そしてこちらに書かれているのが仮面の仕組み、いわゆる招待状です。ひとまず読み上げますのでしっかりと聞いて下さい」
【マスケラの招待状】

・17の歳10月31日から始まる

・その日上流を中心に3人選ばれる

・それは近しい同性と異性と近しい遠き者

・上流とは血筋である

・上流は関係のある又は未来に関係を持つ者が仮面となる

・選ばれた3人は全ての人が仮面となる

・名を呼べるのは仮面の見える人のみである

・名を呼び外した者はその者の顔が見える

・名を呼ばれた人はもう2度と仮面を見ることはない

僕に届いた封筒の中身はマスケラの招待状と書かれた仮面の仕組みだった…

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