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ラマダーン月の断食!

私はかれこれ8年間、毎年1ヶ月と6日間は断食をしています。

他の日にも断食をする事はありますが、1年に続けてするのは、ラマダン月というヒジュラ暦に沿っています。

ヒジュラ暦で9月を意味するラマダーンに、コーランが預言者モハンマドさま(平安あれ)に啓示され、イスラム教徒にとって「聖なる月」となりました。

このラマダン月に、ムスリムは日の出から日没にかけて、一切の飲食を経ちます。
断食といっても、1ヶ月間という期間を完全に絶食するわけではありません!

日没から日の出までの間(=日本だと夕方以降から翌未明まで)に、一日分の食事を摂ります。
私たちムスリムは時計ではなく、現代も1400年前から変わらず、太陽と月の動きに従い行動しています。

この食事は普段よりも水分を多くした食事であったり、断食明けには奇数のデーツやヤギなどのミルクを飲むなど、健康面に対しての知識がコーランなどの書物で古くから伝えられています。

旅行者、妊婦・産婦・病人、乳幼児、精神的に不安定な人など合理的な事情のある場合は、断食を免除されるなど、ひと口に「断食」と言っても、その適用範囲にはある程度の柔軟性があります。

また、免除される者にも、後で断食をやり直す必要のある者(旅行者や妊婦、生理中の者など)とやり直す必要の無い者(高齢者や乳幼児、回復する見込みの無い重病人など)があります。

イスラム教徒の断食は、飲食物の摂取量を減らすことや、苦痛を得ること自体が目的ではありません。

あくまで宗教的な試練として課され、また、食べ物に対する有難みを感じさせるためとも言われています。


一切の飲食を断つ事により、空腹や自己犠牲を経験し、飢えた人や平等への共感を育み、貧者への施しをするなど、子供のいる家庭には教育の一貫として、断食をする親の姿を見て世界の現状を考えさせる月としても非常に大切な期間とされています。

実際ラマダン月には多くの寄付と施しが行われます。

2016年のラマダン月、私はサウジアラビアの聖地メッカにいました。
50度の炎天下の中で行う断食は非常に考え深く、貧者に施しをする男性などを実際に目の前にした経験など、大変感慨深い月を過ごした思い出があります。

ムスリムは断食中、飲食を断つだけでなく、喧嘩や悪口、闘争などの忌避されるべき事、性交渉などの欲も経つことにより、自身を清めます。

ヒジュラ暦は、純粋な太陰暦で閏月による補正を行わないため、太陽暦で毎年11日ほど早まり、およそ33年で季節が一巡します。そのため「ムスリムは、同じ季節のラマダーンを人生で2度経験する」と言われています。

ラマダーン月の開始と終了は、長老らによる新月の観測によって行われています。
雲などで、新月が確認できなかった場合は1日ずれるなど、国によっても開始日が異なる事はしばしば。

夏に白夜になる北極圏や南極圏の極地地方にあっては、近隣国の日の出・日没時間に合わせるなどの調整も図られています。

ラマダーン中には、世界中のイスラム教徒が、同じ試練を共有します。
ラマダーンの期間中は、رمضان كريم‎(Ramadan Kareem、ラマダーン・カリーム。「恵み多い月ラマダーンおめでとう」)という挨拶があちらこちらで聞こえてくるでしょう。

ラマダン月の断食は新月が確認されたら終了の合図。
無事にラマダン月の断食を終えられた感謝の気持ちを込めて、イード祭というお祭りが行われます。

子供達はイードのお祭りにプレゼントをもらったり、夫婦間でもプレゼントを交換するなどラマダン終了の祝福を家族や親戚、隣人や友人などと祝います。

断食は辛いもの、我慢、忍耐!といったイメージが強く持たれていますが、
私が8年もの間、妊娠中、授乳中、産後など苦痛を感じる事なく続けてこられたのは、断食をする事の益を理解していたからだと思います。

例えば、豊かな国にいると気がつかないような、世界中にたくさんいる空腹をかかえて、今日の食事にも困っている多くの貧しい人たちの気持ちを感じることができます。

引用「今日、世界では総人口65億人のうち10億人が飢えに苦しみ、6秒間に1人の子どもが餓死している。」
引用元:FAO世界食料安全保障サミットhttp://www.jaicaf.or.jp/fao/publication/QM10-spring.pdf

つまり、子どもだけでも、毎日1万4千人以上が、餓死で亡くなっています。ムスリムは一ヶ月間の断食を通して、こういった世界中の貧しい人たちに対する同情心を頭だけでなく、心の底から感じることができます。

イスラームでは、貧しい人にサダカ(喜捨)をすることを薦めますが、それも自分が空腹を感じることによって、貧しい人たちを助けるための喜捨をすることが簡単になります。
これも、欲望のひとつの金銭欲、自分だけが豊かであればいい、という利己主義に対する薬です。

このように、断食をすることで、多くのことを学ぶことができます。

更には断食をすることで、体と精神にとって、様々な良い効果を得ることができ、その効用は、年々科学や医学によって証明されて来ています。

ラマダンの断食の効用は次回へと続きます!
お楽しみに🌿

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