2023年2月の選歌
目覚ましを止めて楽しむ温もりよチェーン付けたるバスの音聞こゆ
森田郁代
施設ではペットも飼えず物言わぬ母は煤けたぬいぐるみ抱く
六甲もこ
柔らかき光に溶けし雪だるま春を迎えに行ってしまった
小島夢子
庭からの菜の花摘みて御浸しをほろ苦い味の春の訪れ
伊藤美枝子
日本から島に戻りて夕凪の海にたっぷり抱かれて泳ぐ
大室やよい
太陽のシャワーたっぷり浴びながら一心不乱に猫毛づくろいす
藤代敏江
陽だまりに新聞読みいる夫の背が小刻みに震う訃報ページに
楽満眞美
新雪に羽根を広げて飛び込みしか小鳥のスタンプくっきり残し
森田郁代
ラスベガスにて
遠山の峰に白雪積もりいて砂漠の街にも冬は来たれり
筒井みさ子
昨夜中雪を被って寝た竹を朝日が優しく揺り起こしてる
小島夢子
雪かきをすれどもすれども積もりくる越後の里の家族を想う
楽満眞美
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