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マグカップの茶渋

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マグカップについた茶渋のような、雑でリアルな人生。薄暗くて、じめっとしてて、でもなんだか悪くない。
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2020年8月の記事一覧

ずたぼろでも、書く。

文章にしたいと思う感情の源泉が、いくつもある。
あるにはあるが、実際に文章にするまでの道のりがながい。
そんなわけで、下書きが増えいくのを、ぼんやりと日々眺めている。

  〇

何かに挑戦するのを恐ろしいと思ったり、今の自分の手元になにもないことを恐ろしいと思ったり。いきていると、怖いことがいっぱいある。
自分がいつからこんなに憶病になったのか、まったくわからない。

母が「普通」という言葉を何

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憂鬱を編む

憂鬱を編む

編み物をする。
寒くなってから編み始めては遅いのだと、昨年学んだ。

近頃の私と言えば、もっぱら手を動かして憂鬱を遠ざけようと四苦八苦している。けれども、こんがらがって解けない毛糸みたいに、いじればいじるほど憂鬱がもやもやと大きくなる。

諦めて、憂鬱を共に編みこんでいる。

  〇

何か手を動かしたくなる時は、心が鬱々とし始める予兆だ。脳みそを使う作業を遠ざけて、無心になりたがっている。
そう

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『不正解』で出来ている。

『不正解』で出来ている。

 例えば何か伝えたいことがあるとして。
 どうやったらこの気持ちが、私じゃない誰かに届くのだろう。
 手を離した瞬間、あてどなく流される風船のように届くかわからないものを、それでも届けたいと願う。
 けれど上手くいかなくて、いつだって白紙の前で、私は立ち往生している。何を恐れているのかと問えば、きっと私が恐れているのは『間違える』ってことなんだと思う。

  〇

 格好よく生きたいなとそう願いな

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病気になってよかったなんて、ちっとも思えない。

病気になってよかったなんて、ちっとも思えない。

「怒ってるのね」
 先生が、眼鏡を上げながらそう言った。
 そうか、私、怒っているのか。
 目から勝手にあふれる水分が、マスクへと吸い込まれていった。

  〇

「怠けてないで、学校へ行きなさい」

 何度も、言われた言葉だった。
 だけれども聴いてよ、母さん。手足が重くて、身体はだるくて、心臓は早鐘を打っている。ベットから出るとめまいがして、部屋から出ると吐き気がする。家から出れば叫びたくなる

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