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【創作の役に立った本10冊】何故新人の作品は小さく収まりがちなのか


ちょっと前に自分の「ヒッチコックの映画術」で物語のメカニズムを学んだというつぶやきがちょっとバズったんですが…



この時の元々の創作論の話題はコレですね。本当にためになります。

【すかぢ式 シナリオライター脱創作論 【第1回】 https://moepedia.net/blog/19/

僕はですね、ここで話した「何故邦キチで迷惑系Youtuberが1コマで逮捕されて大丈夫なのか」に至った経緯はいずれ説明しないとなと思ってました。

これには僕がデビュー後10年ぐらい陥っていた問題と、それをいかにして解決したかという話です。




そもそもですね、冒頭の記事でも書かれてるし円居挽先生も言ってる通り、素人や新人の書くストーリーってのは基本的にルールに囚われて小さく収まってしまいがちなんですよね。

漫画ってのは全部が全部セオリー通り真面目に作ってもそんなに面白くない。どっかで読者をびっくりさせるような事を入れないと面白くなりません。

これは尾田先生がむかし手塚賞の講評で「企みがない漫画は面白くない」と言っていて、その「企み」の部分だと思うんですよ。



で、僕の話になりますが受賞・読切・連載会議など度最初のハードルは乗り越えて初連載やその次の連載をぶじ始められたわけなんですが(かおすキッチンやダークアクト。約15年前ぐらいですね)ギャグ漫画的にはかなりふざけてはっちゃけていたわけなんですが、まぁどちらも短期で打ち切りだったわけです。


ど~うにも根っこが真面目なんですね。やっぱり。

ふざけながらも心では「これ…ここでふざけて本当に大丈夫なのか?」と思っている。作中のあらゆるシーンで「これをやって大丈夫」という確信がないんですね。

その時の運とノリでたまたまそういうシーンを描いてるだけなんです。
確証がない。ハマってもたまたまハマっただけ。賭けで描いてるんです。


多分新人はみんな漫画を描きながら考えると思うんですよね

「こんな事描いて叩かれないだろうか」

「読者から突っ込まれないだろうか」

「ここでこんな事やって大丈夫なんだろうか」

「矛盾してるんじゃないだろうか」

「ふざけずに真面目に描かないといけないんじゃないだろうか」

「漫画といえどちゃんとしてないといけないんじゃないだろうか」

こうしてなんとなく委縮し、攻めるのが怖くなりなんとなく抑え目な展開になりなんとなく地味な漫画になっていくわけですね。我々の作品は。





そしてですね、ここからが本題ですが僕がダークアクトが終わって仕事がなくなり、暇な時期に読んだのが前述の「ヒッチコックの映画術」なわけです。
そして実はこの本だけじゃなく沢山読んでるんです。


この時期からクリエイティブの本や企画の本、脚本術の本、広告の本、マーケティングの本、コピーライターの本、構成作家の本、脚本家の本、舞台演出家の本、TVプロデューサーの本、漫画家の本、漫画編集者の本、映画監督の本、芸人の本、ネットビジネスの本、行動経済学の本、電通の本、博報堂の本、コルクの本、インフルエンサーの本、ユーチューバーの本、小説家が創作について語る本、社長の本、いろんな業界人のビジネス本、スポーツ選手の本、秋元康の本、川上量生の本、柳井正の本、ホリエモンの本、西野さんの本などとにかくかなり色々読みました。覚えてない本はマジで何も覚えてないです。読み捨てたといって過言ではないです。


本に加えて勉強のために映画のDVDも沢山買った時期だったので連載の貯金はほとんど残りませんでした。次の「テラおや」を描き始めるころには貯金が7万円しかありませんでした。

でも、ついにわかったんですよ、「お客が面白いと思うメカニズム」が。理屈が。

今までのふわっとやってた事全てにいいか悪いかのが確信できるようになったんです。自信をもってふざけられるようになりました。

脚本術の本なんかは流行ったので漫画家で結構読んでる人も多いと思いますが、僕はとにかく無駄なものを沢山読んでいる。キツい本も沢山ありました。ほぼ読み捨てなので全体の7割ぐらいの本はもうあんまり記憶にありません。あと、めちゃめちゃ同じ事が書いてある。

辛い戦いでした。


しかし、このおかげでその次の漫画「テラおや」は本当に見違えるようにふざけのキレが増し、人生で初めて重版がかかり、おかげさまで(一部の)ファンにも原作の先生方にも好評をいただき、パーティで集英社の今までは喋った事ほぼ無い有名な編集の人からも「テラおや面白いじゃん」と褒めてもらえるようになりました。


ちなみに当時のフォロワーの人は僕がテラおやを描き始めるまでただのバズツイッタラーの同人作家だと思ってたみたいです。




その後は美ー子ちゃん、美子ちゃん、邦キチと続き今に至ります。


美子ちゃんは7年、邦キチは6年連載が続いてます。

打ち切り漫画家から打ち切られない漫画家になったんです。

つまり、テラおや以降完全に「ふざけ」をコントロールできるようになったという事です。。




しかしこのメカニズムを一から説明するのは無茶苦茶難しいので、今回は僕が読んできた本の中で「これは役に立った!」という本10冊を紹介したいと思います。

評判良かったらまたやりたいと思います。まだ死ぬほどあります。
ちなみに本屋でよく面出しで並んでるベタベタなビジネス書は大体書いてる事一緒なのでマジで一冊読めば大丈夫です。

とりあえず試しに一冊は読んどいた方がいいです。(でもTVプロデューサーの本とか、一般的に地味めな業種だとタイトルがビジネス書っぽくつけられがちなので見分けが必要です)






~創作の役に立った本10冊~

(ちなみにアソシエイトとかは一切ありません。)



言わずと知れた筒井康隆先生が語る創作の極意の本。

おそらく冒頭から順に創作に大事な極意が並んでいるのですが、一番が「凄味」二番が「色気」…とマジで独特なんですが、でもよくよく考えたらマジでその通りだと思います。

この言い切り具合に衝撃を受けました。まさに凄味。

創作に最も大事なのは「凄味」という事です。



漫画界では有名な藤田先生の本。
ドラマとはなんなのか、キャラクターとはなんなのか、漫画作りとは漫画家とはなんなのかどんな商売なのかががめちゃくちゃわかりやすく書かれてます。

商業漫画家を目指すなら一度は読んどいた方がいい。

こういう作家が創作術を語る本ってあんまり具体的すぎると「そりゃ先生の作風だとそうでしょうけど…」ってなりがちなんだけど、あくまで誰にでも当てはまる普遍的な話が中心なので、弟子がいっぱい有名になるのもわかる気がします。



以前にも紹介したマーケティングや消費者心理、広告マーケティングの基礎みたいな本。

人間が無意識に何に関心を向けるか、何故関心を向けてしまうのか等の消費者心理のわかりやすい説明が多く、非常に明快で読みやすいです。いわゆる「フック」の正体は何なのかが何となくわかります。

「人は食べ物の中でもよりカロリーの高い物に注意を向ける」「人間は猫と赤ちゃんが好き」など具体例が多く色々驚きがあります。



有名な舞台の演出家の人が舞台演出の為に作家にとって、稽古について、俳優にとって舞台にとって必要な事を130個ぐらい書いてるんですが、それが非常に作品作りに関してクリティカルな悩みにズバッと回答する内容になってます。

「ストーリーを動かす『問い』を見つけよ」「すべての点をつないではいけない」「すべてのシーンは『追う、追われる』」「すべてに答えを出そうと思うな」「全員が永遠の緊張感と恐怖の中にいると思え」「あなたのためのショーではない」「シーンが精細を欠くなら、はじまりを疑え」「演出家にとって最大の誉め言葉は『あなたははじめから何がしたいかはっきりわかっているように見えました』」



日本を代表する超有名コピーライターの人の本。

昔と違って現代は広告のコピーが本当にマーケティング重視というかむちゃくちゃ軽くなった時代ですが、やはり本物の言葉というのは一言の奥行きが違います。漫画の言葉というのもちょこざいなテクニックやノウハウではなく、これぐらいの重量感を目指すべきです。



電通のクリエイティブディレクターの人が書いた新しい商品、サービスの為のコンセプトの作り方の本。

古い商品、古いコンセプトに対して新しい商品のコンセプトはどうあるべきなのか、お客のニーズに対してコンセプトとはどうあるべきなのか、「いいコンセプトが見つかった!」と思っても実は本当に必要なコンセプトじゃなかったという非常に陥りがちな落とし穴「フェイクコンセプト」の話など、コンセプトに困ったらこの本です。



「モヤさま」でも有名なテレ東プロデューサーの本。

他のテレビ局よりも圧倒的に知名度でも予算でも不利、そしていい企画をやっても他局にすぐパクられるテレ東でいかにアイディアと行動力勝負でヒットを生み出したかという本。

組織の中でアイディアをいかに実現するかという具体的なノウハウもあって全社会人向けです。ちなみにテレビ局プロデューサーの本なら圧倒的にテレ東の人の本がおすすめで、そして大体みんな同じ事言ってるのが面白いです。テレ東のプロデューサーなら誰の本でも大丈夫です。



有名なデザイナーの人の多分結構有名な本なんですが、今まで凡人には一生手に入らない物と思っていた「センス」についての本。
「センスは勉強すれば誰でも身につきます」という驚きの内容が書かれてます。

じゃあ勉強した方がいいじゃん…!



言わずと知れたウメハラの本。

プロ格ゲーマーの勝ち負けに関する考え方、技術の向上への考え方、メンタルの保ち方っていうのは本当に繊細かつ大胆かつ本質的で格ゲー以外にも活かせるものが多く、ウメハラの本はどれでもいいのでみんな一度は読んどいた方がいいです。

勝っても負けても(ある意味永遠に)勝負は続いていく中でどうメンタルを保ちどうコツコツと日々成長していくかという点が、連載と似てるなと思います。



言わずと知れたノムさんの本。

野村再生工場と言われた名監督の考え方は非常に野球以外にも活かせるものが多く、我々でもルールに囚われない柔軟な考え方と使い方一つで何か大きい事がやれるんじゃないかと思わせてくれます。

ノムさんの本は大体同じような事が書いてあるんですが、どれでもいいので一度は読んどいた方がいいです。あとノムさんの本はマジで多いので僕もどれを読んだのかよく覚えてません。

#推薦図書


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