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火傷して皮膚科に行ったら、半裸の医者が出てきた話

面白いお医者さんとのエンカウント率が高い。
この前盲腸になったときは、「頑丈な建物にいると、地震が起きても気づかない」とか「四国は東南アジア」だと熱弁された。前者は普通に考えてありえないし、四国は日本である。38℃の熱が体感40℃くらいになった。

もはや私も、変な医者との出会いを求めているまである。「BBQで肉を焼いているつもりが、自分の太ももを焼いちゃった、なんちゃって★」とかぬかしている間に見事に膿んだ火傷をみて、なぜか【変だけど優秀な医者がいます】といわれている皮膚科に目的地をセットした。そういう口コミに弱いのだ。

じりじりと焼けるような暑さの8月上旬。迷いながらも病院をみつけた。2時間後に予定があったので少し気持ちが急く中、病院の扉を開けた。受付には、恰幅のいいおじさまがいた。

彼は上半身裸だった。

私はたいていのことに対して動揺しない方だと思う。でも、この時はさすがに動揺を隠せなかった。そんな私をみておじさまは白衣を羽織りながら、

「あ、はいっていいよ~」といった

・・・ほんとに?

既に営業開始してから30分たっている。事務員募集!という張り紙が大きく貼られているのを見るとワンオペで病院をやっているようだ。おずおずと診察室で座った。滝のような雑談を聞き流しながら、まず私がしたことは友人に連絡を取ることだ。こういうときは誰でもいいから助けが欲しい。

私「皮膚科いったら半裸のおっさんでてきたんだけど…?」
友達A「草」
友達B「面白すぎでしょ」
先輩「なんさいくらいかによるね」
私「恰幅のいいおじさまです」
先輩「わーお」

筆者のLINEより

診察室に通された後も、『神戸はいい街だ』『名古屋もいい』という話を延々と聞かされた。神戸は本当にいい街なんだけど、それ以前に普通に火傷が痛い。
30分はたっただろうか。やっと彼はこちらをむいた。

「さて、」

おっ??

「傷を見るかな」

やっとだ!これで予定に間に合う!!
私はできるだけ診察を早く終わらせるべく、情報を網羅的にかつ効率的に話そうと口を開いた。
「3日前に火傷したんですけど、直後には冷やせなくて……」

「あーもういいだまってだまって、見りゃわかる」

……さっきまで話してたのは誰だよ……という顔を必死で隠した。「あ、はい…」としか言えなかった。

診察は確かにめちゃくちゃ正確だった。傷の処置の腕もよかった…といいたいところだが、若干の問題がある。

それは、先生の怠惰な点である。処置方法を(超丁寧に)説明しながら教えてくれるのだが、

「わ、この薬切らしていたな、、、めんどくせえんだよな貰うのが」
といわれて爆笑したし、粘着力が絶望的に弱いテープをみて、

「これすごい昔のだからねえ」

と一言。

私「何年前のですか?」
先生「ここの病院いつできたか知ってる?(笑)」
私「(質問に質問で返されたな…と疑念を抱きつつ)いつなんですか?」
先生「20年前!」
私「え!じゃあ20年前のテープですか!」
先生「さすがに違うよ~10年前とかだなあ~」
私「(なんで病院の開業年聞かれてん…てか10年前も古いわ!と思いつつ)へえ~~~」

結局傷を見てもらうのに一時間かかった。予定には間に合わなかった(ほんとうにすみません)。実際、腕は本当にいいらしく、傷の治りは異常に早かった。

「エイ、可愛いからあげる」と渡された、破られた7月カレンダーのエイの写真を見るたびに、あの皮膚科が恋しく思われる。
次、ニキビができた時には、あの変なお医者さんに会いに行こう。もう半裸だろうが全裸だろうが驚かない自信がある。私は変なお医者さんが好きだからだ。

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