運動で痩せる方法 ・・・水泳/自転車/ランニング/筋トレ比較
「美味しいものは身体に悪い」とはよく聞く話。でも僕は問いたい。
このnoteは、美味しいものは美味しく食べ続けながら体型を整えたい、そんなアナタのために書く。
ただし、読む前に、条件と根拠について合意いただきたい:
さらに、前提となる優先関係についても書いておくと:
くらいの優先順位だと思っている。つまり、「睡眠」が最重要である。なぜならセンサーが最重要だから。睡眠とはセンサーを含めた総合メンテナンス作業だから。
本noteのテーマである「運動で痩せる方法」とは、優先度としては最低ランクだと思う。逆にいえば、「運動だけで痩せることは難しい」(プロ並みに大量に動く場合を除く)
では実際、どうすればいいのか?
運動でやせるための、3つのセットを、提示したい。
まず最強Aセット:
運動は好きだけど競技までは…という今の僕のようなタイプにはBセット:
高強度の自転車が難しければ、やや効果の落ちるCセット:
だと思っている。理想的には自転車最強ということだ。
なお今の僕はBとCの中間くらい、体重はほぼ変わらないけど、筋肉分だけ少し減ってしまった。僕的にダイエットとは体重が減りすぎても嫌。。
そんな僕なりのバイアス満載な個人的経験論です。教科書的な正しいお話が知りたい方は、大手メディアとか専門サイトとかで確認してくださいな。(約8,000字、最終更新2021/10/3)
太るのは年齢のせいではない
2021年10月追記:「エネルギー消費は20代から60代までほとんど変化がない」との研究が注目されている。なお変化がないとは「除脂肪体重(fat-free mass)あたりのエネルギー消費量についてで、つまりは、筋肉量が減ればエネルギー消費量が落ちる。
だから、運動で筋力を増やしながら、使っていけば、逆回転できる。
運動で痩せるための原則
運動で痩せるには:
両アプローチは二択ではなく併存させる。これにより、生活全体でのエネルギー消費量が増える。(※いわゆる「基礎代謝」という概念とは違います。「基礎代謝+運動=消費カロリー」とは小学生向けのデフォルメ概念なので注意)
とくに30−40代以降の現代日本人にとっては(若者は僕のnote読んでないと思うんで笑)、A=強度の向上を意識したい。
強度とは?
これが僕の定義。トライアスロンで速くなるための考え方も同じ。ジムの筋トレマシンでは②だけ強くしがちなので注意。
人間は30代以降、筋量がだんだん減り、日々の活動量も減ってゆく。だから筋量を維持・増大させるのが第一目標。それらを全身連動することで、運動時の強度を高めることができる。そして強度の高い運動ほど、筋肉量を維持・増大させやすい。(※低強度でも回数が多ければ効果ある)
そして、高強度の運動後、身体は回復のためにもエネルギーを消費する。僕の使うSUUNTOでは「EPOC=運動後過剰酸素消費量」として数値化されるので、おおざっぱな目安にはなる。(僕はトレーニングの"やりすぎ防止"目的で使っていた)
B.時間を増やす、とは、「運動時間」とカウントしないような日常の活動のこと。特に座りっぱなしの生活は最悪。3万人のアメリカ人を対象とした観察研究で、
・活動量最多グループと比べ、ほとんど座りっぱなしグループの癌死亡リスクは82%高い
・1日の座る時間を30分の運動に置き換えると癌死亡リスク31%減
という結果がある。
「アスリートですら座り過ぎの人は体脂肪が多めになっちゃうかもだぞ!みたいな観察研究の話」(鈴木祐ブログ, 2021.3.10)というタイトルそのまんまの追加的報告もある。
在宅ワークやクルマではなく電車で通勤する、在宅なら高級リラックス椅子を使わずにスタンディングやバランスボールを使う、という日々の差は、確実に積み重なってゆく。
これらは、「身体が固まらない効果」も大きい。
※長距離スポーツでの注意点
ABの両面が同時に必要なのは、特に長距離の場合だ。長距離に偏重したトレーニングは、やればやるほど、筋肉量が減少してしまう。食べる量が不十分だと助長される。それでも20歳くらいまでは身体が成長過程にあるのでなんとかなるかもしれないが、ポテンシャルを活かしきることはできないだろう。
だから今、世界トップレベルの中長距離ランナーは筋トレに熱心だ。「筋トレは余計な筋肉をつけるからダメ」とは20世紀の知識であり、余計な筋肉をつけるような筋トレの仕方のほうがダメなだけ。
趣味で走るだけのレベルでは、
という現象に注意したい。「毎朝1時間かけて10km走ってます」というような場合で、おそらく消費カロリーはだんだんと減ってゆく。この現象はスポーツ科学では「ランニングエコノミーが向上した」と表現する。アスリートとしては喜ばしいこと。(2020/10追記 ↓)
この対応は、スピードを上げるか、距離を増やすか、つまり強度を上げること。
これら原則に基づき、個別の手法について解説していこう。
水泳=精神疲労
水泳は、キツさ、非日常感からか、どうも期待過剰な感がある。でも実際には、指導実績豊富なプロ指導者さんが:
と言うくらい。
僕の経験的にも水泳とは、
そもそも人間は、水中運動に慣れていないし、特に呼吸動作はそれ自体がストレスになりがち。だから泳ぐことに付随する精神疲労が大きくなりがちだと思う。※ただしプカプカ浮かんでるレベルは別=陸上以上にカロリー消費してないだけ
水泳による疲労感とは、ほどよい身体的リラックスもあいまった健康な疲労感。「睡眠力」を上げる効果なら大きい、ただしわりと遠回りだ。
ご飯が美味しくなって太りがちなのもある。これは幸福なことか笑
自転車=高強度なら最強
競技用の自転車=ロードバイクとは、「全身筋肉のトータル稼働量」を最大化できるように設計された装置、と僕は理解している。だからアクセル全開時のエネルギー消費量もMAX。(ちなみに効率=重さ×移動距離に対する消費エネルギー量的にも地上最強の乗り物)
ということは、十分な強度でトレーニングする限り、全身の筋肉量を最も効率よく最大化できるのも自転車ということになる。全身筋肉量最大化とは、体幹を中心とした「大きな筋肉」から順に増えてゆくということだ。
さらに、作った筋肉を稼働させやすい。たとえばボディビルダーは凄い力こぶを持っているが、日常生活の中で稼働させることは、引越し業者とかアメフト選手でもない限り、そうそうない。しかし自転車で作った筋肉なら日常生活の中で簡単に使いやすい。こういうの大事だよね。
僕は35歳過ぎて自転車を始めて、体重/体脂肪率は
直前: 58kg/17%
2年後: 61kg/8%
つまり筋肉が7kg増えた計算だ。この間、食欲を抑えなかったことが筋量増につながり、トライアスロン始めた直後からの成績に直結したと思っている。
ベスト体重はさらに1−2kg増やした、この写真の62kg台後半。オフの冬は65kgくらい。体質的には簡単に太れるタイプだ。
(2013セントレア常滑113km, 最近流行のハイハンドは当時から)
なお体脂肪率は、初期に気にしていたけど、結局、競技パフォーマンスに対する影響度が低いと判断し、この頃は測っていない。良いトレーニングと十分な食事の後、結果的に収まったものがベスト体脂肪だと思っている。トッププロの領域ではまた別だけど。
問題は、自転車を高強度で安全に走らせるのは、日本の多くの公道では難しいこと。安全に勝る上位価値など存在しない。
そこで室内トレーニングが最強となる。固定ローラー台に自転車を載せて、今ならZwiftでバーチャルレースするのが流行り。これなら競技志向でなくてもモチベーションもって高強度をしやすい。(いっとき意識高そうなネット民たちがPelotonをもてはやしてたけど、意識高いが情報力低い…)
僕は固定ローラーでは平均速度だけ見ていた。2016ブログ:
自転車の弱点は、水泳と共通して、身体を機械が支えてくれるため、力を使わなくても進めてしまうこと。強度を上げなければ逆にご飯が美味しくなって太りがちなのも同じかな笑。実際、
というような、お腹たっぷんたっぷんさせて高級ロードバイク乗ってる人いるよねー。それでご飯が美味しくなるなら幸せなことだと思うけど!いやマジで!笑
ランニング=ほどほどだが確実
ランニングは、筋肉が最大稼働してるのは接地時くらいで、平均筋稼働は意外と少ないと思う。また着地衝撃により心拍数が上がりやすく、心拍ベースのカロリー消費は過剰評価されがち。
ただ、水泳や自転車と違って常に姿勢維持にエネルギーを要するので、走れば走っただけの効果を実感しやすいだろう。
同時にそれがリスクでもあり、着地衝撃による疲労感が大きく、また故障リスクにより量を上げにくいのが弱点。故障してしまうと最も運動量を落とすことになる。
だから、水泳や自転車を間にはさむことで、身体損傷リスクを分散・軽減するのをオススメする。全身のストレッチで身体をほぐすことと併せてね。
あと暑い時期の場合、最も暑さ感が高く、放っておくと発汗量も増えるのがランニングだ。「運動した感」の高さのわりに運動量がそれほどでもないことも起きがちなので注意。対策は、水を掛けてムダ汗を抑えることだ ↓ ↓ ↓
筋トレ=「日中よく動くサラリーマン」に向く
「有酸素運動か筋トレか」という話を見るけど、比較対象が極端だったり、前提が書いてなかったり、レベルが低い議論ばかりだ。
そもそも、二択の議論にしてる時点でダメ。情報弱者さんを釣るためのレトリックだと思う。二択とは最後の決断のタイミングで使うもの。(Twitterで出てくる二択はかなり情弱ホイホイが多くて、安易にリツイートすると認定されちゃうかもよ?)
実際には、良質な持久的運動(=有酸素運動)には筋トレ要素を含むし、筋トレも持久的要素を含む。
それ踏まえていえば、筋トレは「日中よく動くサラリーマン」に向くと思う。
たとえば「学生時代にハードな運動部、ホワイトカラーだが営業とか教員とか日中こまめに動く、30代から太り始めた」というパターンをよく見る。これは、筋肉量が減ったことが結構多きい場合が多いように思っている。
そこで、筋トレで筋肉量をある程度戻せば、立つ、歩く、などの「日常的な運動量」が底上げされる。たとえば通勤でかばん持って歩くだけでも、やり方次第で、運動量はかなり上げることができる。逆に、ダラけようとすればかなりダラける。30代以降は、放っておくと、ダラける方向に落ちてゆく。その方向を逆回転するために、きっかけとなりうるのが、筋トレだ。
筋トレは、単に筋肉量を増やすのではなくて、筋肉の使い方=つまり脳+神経系も同時にトレーニングしているから。
<筋トレの弊害> 2021.3.28追記
筋トレは動脈硬化を促進することが研究でわかっている。高強度の筋トレ後、少なくとも60分は血管内皮機能が低下する。この積み重ねで長期的に動脈硬化が促進している可能性がある。
実際に、長期間筋力トレーニングを継続した筋力系アスリート(アメリカンフットボール選手、やり投げ選手など)は、一般成人と比較して動脈が硬い事が報告されており、一般成人も筋トレを一定期間継続すると動脈が硬く変化する事が分かっている。(動脈硬化の促進)
NHK筋肉体操の谷本道哉先生も、20代終わりごろか、博士とって就職した国立健康・栄養研究所で調べると70歳平均くらいに硬化しているのが判明。検証のためさらに1カ月間めいっぱい筋トレをして計測したら80歳平均になったそう ↓
対策として、谷本先生は自転車を始めた。筋トレ後10分だけでもサイクリングなど有酸素運動を行えば、動脈硬化の予防が可能という研究もある。(法政大学スポーツ研究センター森嶋琢真講師) ↓
<応用すると効果あると思う>
ランニング前にプランクするのは効果高いと思う。ランニングは一瞬の動きの連続で、実は休んでいる時間も多い。プランクは常時筋発動している。また「体幹にスイッチを入れる」的な神経系の効果もあって、ランニング中に大きな体幹の筋肉群を使いやすくさせると思う。
(画像出典いらすとや・・・プランクまであるとは笑)
<僕の場合は…>
僕は、公園の器具と自重を使ったオリジナル筋トレはわりとやり、バーベルやマシンを使った筋トレはほとんどしない(たまにする)人間だけど、僕の理解として、自転車でもランニングでも、強度を上げればだいたい同じことだ。目的が減量/体型維持/ボディメイク程度であれば。実際、(言うほど)差を感じる人に会ったことがないし。
違いが出るのは、ボディビルとか特殊な目標を持ち始めた時くらいで、それはスポーツ理論の「特異性の原則」まんまの話だ。
念のため、長距離競技でもレベルを上げるために筋トレは有効。それは「限界効用逓減の法則」とも通じる話だ(またいずれ書きたい)。ただし、痩せる、という今回のテーマからは外れるので。
これ踏まえて、こっちがいい!というのは、単純に好みの問題。そう信じることで幸福になれているのならすばらしいこと、他人がどーこーいうもんではない。
(2013ハワイ島、レース直前165cm/62.7kg、腰や背中の筋肉群とか多め)
「カロリー制限」のリスク
そして食事は、健康的な食生活が身体の本能的感覚としてわかっているのなら、気にする必要はないというのが僕の考え。
特に20世紀の情報のままの人がやりがちなのは、痩せる=ダイエット=カロリー制限、という発想。これは(運動できない体質とか病気とかでない限り)ダメ。なぜなら、
から。筋肉の活動量を落とし、筋肉量自体も減らし(=タンパク質を分解して糖を作る「糖新生」が起こる)、エネルギーを確保しようとする。筋肉の総量が減り、活動も落ちるのだから、同じ量を食べていては太る。そこで食べるのを減らすとさらにエネルギー消費量が落ちる。つまり。
に陥る。
運動すれば解決!スポーツと高カロリー料理とスポーツはセットなのだ。
どれくらい食べていいのか?は感覚で良い。だから
食べたエネルギー(カロリー)は、そのまま吸収されるわけではなく、まず腸内細菌が受け取って、分解した残りが、血液中に栄養として取り込まれる。「食事の栄養を発酵させ有機酸に変えるタイプは太りにくく、すぐに糖類として分解するタイプは太りやすい」という研究が2021年9月に発表されている。そして、取り込まれたエネルギーがどのように消費されるか?も複雑。
イチロー先生もそんな感じっぽい。「食事とか気を使ってますか?」という質問に、「別に、ハンバーガー4つくらい食べるし」と答えてて、一部で話題になっていた動画:
でも運動を生業とする、180cm79kgの大男(顔が小さいのでスリムに見えるが)、ハンバーガー4つなんて別に普通の話であるのは、ここまでお読みいただいたみなさんには理解できることだろう。
最終結論:睡眠
むしろイチローが死守してるのは十分な睡眠の確保ではないだろうか。多くの日本人は、食事を重視しすぎ(※できているというわけではない)、睡眠を軽視し過ぎな気がしている。
以前の「睡眠力」noteでも書いた通り、睡眠は実は非常に重要。
十分に寝れていれば、運動と食欲を最適化するセンサーが働いてくれて、あとは感覚に任せればいい。逆に寝不足だと変な食べ方をしたくなり、抑えるのに忍耐が必要になってくる。睡眠とは食事量を適正化するためのセンサー調整作業なのであり、「カロリー消費をしていない時間」ではないのだ。
これは最新メタ分析で実証されている。中国・上海交通大学(※自動車学校ではなくて世界では東大より有名なトップ大学です)2019年の論文が庵野拓将さんブログ『ダイエットが続かないのは「寝不足」が原因?【最新エビデンス】』(2019-05-17)に ↓
睡眠不足は、脳の報酬系(扁桃体〜視床下部)を活性化し、摂食中枢を刺激して、「もっと食べたい」という欲求を高め、同時に食欲を制御する意志力を低下させ、とくに間食を食べ過ぎることになる。
あらゆる身体の問題解決は、まずはちゃんと寝ることから。睡眠不足で無理をして痩せるには、結果にコミットする30万円の高額サービスを必要とすることになる。毎日ちゃんと寝ればタダで済むものを。この効果は、ものすごーーーく、実感している。一番大事なこと1つを選ぶなら睡眠だ。
もう1つだけ上位概念があるならば、
といえるかもしれない。自分自身に意識を向けて、結果も得られれば、自己肯定感も高まるだろう。自信とは結果。だが、自信はすべてのエネルギーとなる。
・・・
以上、教科書的な知識から離れて説明したきたけど、「基本」はあり、知っていた方がいい。
僕だって何十冊と読んだうえでこれ書いてます。
そして数値管理。いまやスマホ連動の体組成計が3,000円で買える。安!
追記:ミシュランガイド調査員による実践事例
2020年10月、NHK「ねほりんぱほりん」に登場したミシュランガイド調査員さんも、水泳自転車ランニングを欠かさないことで、「1週間すべて天ぷら」とかのハードコア美食生活の中で長年スリム体型を維持されてると。
まさに「美味しいものは身体に良い理論」の究極の実践者である。
そのために10年続ける習慣:
トライアスロンじゃないのか?!
まあトライアスロンの世界は狭くて、誰か1人2人を介せば誰にでもマジでつながるレベルで密なので(たとえばホリエモンでも福田萌子さまでもね〜村上春樹先生だけはコミュニティ経由でつながれるイメージないが)、仮にやってても、「トライアスロンやってます」と言ってしまうと、身長高くてスラっとしてて上品で食に通じてる正体不明の人、という属性で一瞬で身バレしてしまう笑。
そんな話はネットには出てこなくても、ミシュラン掲載店の常連客なトラアスリートを通じて伝わってしまう笑笑
まあ実際、この手のひとたちは、こっそり海外レースだけ出てるケースも多い。フランス出張ついでに出てたり?
でも今お読みのアナタなら問題なくトライアスロンできるはず!
・・・
追記:当note, 近藤秀一さん(東大で箱根駅伝を走ってGMOインターネットグループでランナー)のnote、「ランニング故障中のクロストレーニング(スイム、バイク)」2021/03/12 で紹介いただきましたー