【肥満や癌の遺伝子】『日本人の遺伝子からみた病気になりにくい体質のつくりかた』を読んだ管理栄養士の感想文
肥満や癌、多くの病気は遺伝子的要因がベースにあり、環境要因が重なって発症します。家系的に特定の病気になることを心配している人も多いのでは?
・その影響の割合はどの位?
・遺伝子変異を持っていた場合の対処法は?
・日本人は欧米人と違う体質(遺伝的特徴)⇒その影響は?
という疑問に答えてくれるこの本は面白かった!!
栄養価計算をするとエネルギー量も栄養素もほぼ不足ない人が、全然元気そうにしていない!
20代の時から管理栄養士として働いてきて、この事実にずっと違和感、居心地の悪さを感じていました。
なぜなのでしょうか?
1つ思いつくことがあります。
日本の栄養学のベースは、欧米から来ていることが多い!
だから、肉や乳製品を推奨してきました。
・もっとたんぱく質が必要
・もっとカルシウムを摂って体格を良くする
終戦後の日本では、それは正しい指導内容だったでしょう。でも、私が生まれた時には、ひどい栄養失調は過去の問題でした。
この数十年、食べ過ぎや運動不足による生活習慣病が主な問題です。
少々栄養過多でも、若いうちなら元気。
とも限りません。
まわりに、こんな人が多くはないですか?
↓ ↓ ↓
・見た目からしてイキイキとしていない
・若いのにぐったり疲れていて、目に力もない
・すぐに風邪をひく
・お腹が痛いと言い、度々トイレに行く
・30代から生活習慣病を指摘されてしまう
・常に精神不安定な状態
高齢者の方がずっとイキイキと元気そうにしているかもしれません。弱い体だった人は、淘汰されて残っているのが現在の高齢者だからという説もあります。
でも、やはり若くしてあまり元気そうではないのは変ですよね。
少しずつ毒でも盛られたかのようです(汗)
何が毒なのか?
食品ではない薬物である添加物かのか?
と最初は思ったのですが、そうではなかった。(一部それもあろうが……)
🌎 🌎 🌎 🗾 🌎 🌎 🌎
西洋医学で言う栄養価の高い食事=元気にイキイキ生きられる食事
ではなかったということです。長生きは出来るようになったが、ピンピンコロリではない!
健康寿命と寿命の開きは、女性は10年以上、男性は10年弱です。介護を受けないと生きられない期間が長すぎます。
「心身共に健康に人生を歩んでいけますように!」
と願う時間を毎朝少し持つようにしています。
この、「心身ともに健康」というのが、いとも簡単に崩れる可能性があることを知っているからです。
言い換えると、心身が脆弱なのが現代人!
脳も臓器の1つです。複雑な臓器なので、誤作動するとすぐにマズイことになります。
学校では1クラスに1人以上がうつ症状を抱えています。流行している病気は、感染症だけではない!
昔からうつ病も生活習慣病もあったでしょう。
しかし、いくら何でもおかしい!と感じるのです。
その理由は、遺伝子である程度説明がつきます。
日本人の遺伝子は、欧米人ともお隣の中国人とも随分違うようです。
長年、食物繊維の多い無精製の雑穀や米を栽培し食べきた日本人は、その生活スタイルや食事に合った消化器官や身体に進化していたのです。
すごい!
腸の長い人が多いのは知っていましたが、胃の形まで変化していたとは!
欧米人と違って、少し太っただけで生活習慣病を発症するのも遺伝子変異が原因だったわけです。
飢餓を何度も体験しながら苦労して進化してきたのに、急に欧米化した食事=栄養価の高い食事⁈を食べ出したのです。身体はその急変に対応しきれませんでした。いろいろなところに、それがひずみとなって表れているように感じます。
もちろん脳にも。例えば、糖分の摂取などによる血糖値の急な上がり下がりは、精神不安定の原因になります。
⚡ ⚡ ⚡ 🧬 ⚡ ⚡ ⚡
日本人の死因1位は、がんです。
がんの発生も日本人の遺伝子が関与しています。
「遺伝子変異による影響と、食事は生活習慣の影響と、どの程度の割合で病気が発生していくのか?」
これもこの本の中で説明されています。とても明るい情報でした。遺伝子変異スニップで病気になりにくい体質だとわかったとしても、悲観的にならなくてよいからです。
とあります。
朗報です。
親から受け継いだ遺伝子変異(スニップ)は変わりません。しかし、その後の食生活などの生活習慣で生後に起きたエピジェネティック変異があってスイッチが入ると病気になるというメカニズムが説明されています。
食生活が、欧米化している現状は問題です。
がんや生活習慣病の発生に、欧米化した食生活はマイナスが大きいからです。
肥満の発生についても親から子へ伝わる遺伝子変異だけではなく、4つの関門があると説明されており、興味深い見解でした。
日本人の肥満(BMI25以上)は、男性33.0%、女性22.3%であることが、2019年の国民健康・栄養調査の結果わかっています。成人男性の3人に1人、女性は5人に1人は肥満です。多いですよね。
親が太っているとお子さんも太っているというケースはよく見ます。でも、それは、太りやすい遺伝子変異が伝わっただけではなかったのです。
遺伝子が肥満に与える影響は30%に過ぎず、残りは生活習慣が原因だという研究結果でした。
子どもは親の用意した食事を一緒に食べて育ちます。環境を自分で選べません。親子共に肥満しているのは、遺伝+環境要因がそろってしまった結果です。
◆肥満に至る4つの関門とは?
本の内容をまとめると
①受精卵が出来る時に肥満に関わる遺伝子変異をひきつぐこと
②胎児の時に母親が飢餓を体験、またストレスを感じる事
③生まれてから:母乳か粉ミルクかの違い
④成人後の生活習慣
ということです。
この内容は、他の文献や論文などでも指摘されていることではあります。
ヤセのお母さんが妊娠中にまでダイエットをして体重を増やさずに出産することのデメリットは、最近やっと指導されるようになりました。生まれた2500g未満の低出生体重児が、後々に太りやすく生活習慣病にとてもなりやすいことがわかってきたからです。
肥満している妊婦についても胎児にまで影響があるので、ちょうどよい体重が一番良いのです。当たり前ですが……。
BMIと体脂肪率で肥満判定する方法を、主に減量指導者向けに書いた記事です。良かったら参考にしてください。
遺伝子変異は、自宅で簡単に調べられる時代になりました。気になる人は、こちらの記事を参考にしてみてください。
テレビやネットを見れば、美味しい食べ物やお店の紹介が山のように出てきます。
高脂肪で低食物繊維のものが紹介されているのを目にする度に、ため息が出まうのは私だけではないはず。肥満しているタレントがそれを食べていると、軽く心拍数が上がってしまうので、すぐに消します。
食物依存の状態になるのすら、遺伝子が関与していたのを読むと、更にため息が出ます。高脂肪の食品が依存しやすい特徴の一つだからです。
<さいごにひとこと♪>
どんな遺伝子を持って生まれたとしても、自分の健康を守るために出来ることはたくさんあるという事が救いです。
何が出来るか、どうして出来ないのか、しばし考える時間を持つことは健康管理対策の第一歩です。
「遺伝子のせいで太りやすいから仕方ない」という言い訳はもう通用しないくらいに科学は進んだのです。
生まれ持った遺伝体質は、変えられる!
素晴らしいじゃないですか?
「日本人はどう食べれば病気になりにくいかを知って、食の欧米化にちょっとブレーキをかけて健康寿命をのばしましょう!」
ここまで読んでいただいてありがとうございます💛
強靭な心身を手に入れイキイキと生きられる人が増えますように💗
はつみ|管理栄養士|プラントベース食の栄養と料理|@ベジ広間の縁側