大人になってから食べる母のお弁当
数年ぶりに家族4人で旅行をすることになった日の朝、離陸前の羽田空港で、母は「はい、あやの分。飛行機の中で食べたら?」とお弁当を渡してくれた。私にとっては突然の嬉しいサプライズ。もう最後に母の弁当を食べたのは、10年以上前だもの。
旅先で捨てられるようにプラスチックでできた弁当箱を見てみると、つやつやに炊かれた筍の炊き込みご飯の上に、分厚くふっくらと煮た甘い椎茸が並んでいる。黄色い卵焼きにほうれん草の胡麻和え。シンプルだけど好物ばかり。空腹の私はたまらず、ひとりで飛行機に乗り