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『TRIO パリ・東京・大阪』 雨の竹橋駅、MOMAT

 先週、もう最近の天気予報は外れないと確信したばかりなのに、一昨日早速、「ハズレだよね?」と友人と顔を見合わせた。
 竹橋駅を出ようとしたら、土砂降りなのだ。一旦出たが引き返したほど。
 こんなに降るって言ってたっけ?と、記憶を辿るが、言われた覚えはない。
 急いでてるてる坊主、作るんだった‥

 本日のお目当ては、私の美術鑑賞仲間である友人Jをして “一人でも絶対に行く!”と言わしめた展覧会。やっと都合を合わせて、今日という日を想望していた、『TRIOパリ・東京・大阪モダンアート・コレクション』展だ。
 パリ市立近代美術館、大阪中之島美術館そしてここ、東京国立近代美術館、三館のコラボである。

 開場の10時を目指しやって来た。本日はQRコードで入場、右へ進む。

 先ず、佐伯祐三の代表作『郵便配達夫』と目が合う。新宿区のアトリエ記念館、昨年の東京ステーションギャラリーでの展覧会と、このところ気になる画家の一人だが、大阪出身だからか、大阪中之島美術館には60点もの作品が所蔵されているらしい。

 様々な作家の作品が、年代を追って展示されていた。マルケ、杉浦非水、シャガール、ボナール。辻永つじ ひさしの『椿と子山羊』なんて、ものすごく可愛い。好みの作品がどんどん流れて来て、つい頬が緩む。

 ゆっくりと全ての作品に挨拶して回り、展示室を出た。ショップに立ち寄り、恒例のポストカード購入。

 空腹感を覚え時計を見たが、まだ11時半だ。

 その時、思い出した。入場時に手渡された小さなチケット。確か、『MoMA』の文字があったので友人と話し合う。

 「え〜、改めて確認だけど、MoMAってニューヨーク近代美術館だよね、このチケット何だろ?」

 はい、違います。よぉく見て!

MoMAではなくてMOMAT 、最後のTはTokyoのT 。

 私はニューヨークのMoMAとMOMATを勘違いして、ニューヨークの作品も見られる!とぬか喜び寸前。それはMOMATコレクション入場券、つまりここの常設展チケットだった。

 常設展は左側へ。以前、あの時も確かJちゃんと、国立西洋美術館の常設展で度肝を抜かれたが、ここも素晴らしい。長谷川利行、津田青楓作品が良い。

 19世紀末から20世紀初頭に日本が西洋から技術を吸収、そしてその西洋ではジャポニスムが巻き起こった。互いに影響し合い、それぞれが個性を模索、開花していった。そう感じられる作品にも出会えた。

 時々、以前別の展覧会で目にした作品と再会した。年間約250点が、国内外の美術館へ貸し出されるというから、かなりのお宝が眠っているに違いない。この常設展が“おまけ”で見られるなんて、ある意味驚きだ。

 東京在住の利点の一つは、こうした重厚な所蔵品を持つ美術館や博物館に、気が向いたらふと足を運べることだ、今日みたいな雨で、足元が悪くても、なんとか。
 随分と長居したのに、まだ雨は止まない。
 東京はどうやら梅雨入りしたようだ。

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