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3世代で旅をした その1

 春休みになり、いよいよ旅の第1日目。午後からは降りそうな予報だけど、おひさまが照っている。
 アクアに5人で乗りこんで、車椅子と折りたたみ歩行器と5人分の2泊3日の荷物を積み込むと、パンパカパンだ。
 まずは運転手のおとさんに敬意を表して、ワイナリーをめざす。月は車中用のBGMをこの日のために用意した。みんなが好みそうな歌を入れたから様々なジャンルの曲ががランダムに流れてくる。これは母さんのリクエストだと必ず教えてくれる。
 休憩に寄ったSAはツバメがいっぱい飛びまわっていた。。声をたどったらたくさんのツバメの巣。

ツバメの巣が両側あちこちに。キープディスタンス

 月は朝食を食べてきたので、迷いに迷って牛串を食べる。やはり肉だ。満足そう。
 コーヒールンバを聞くために、自販機のコーヒーも買う。これも旅の時しか買わないね。
 父と母は五平餅を頬張った。
 ハンドルをにぎるおとさんに後ろからペットボトルの蓋を開けて渡したり、母のトイレを気にしたり、今日の予定を確認したり、ちょっとしたツアーガイドをする。
 お昼は道の駅。車椅子でゆったり入れて、土地のものが食べられるのでありがたい。おやつや土地の物を見て回る。月は早速自分のお土産探し。まだまだ先は長いぞ。
 道の駅でワイングラスがもらえるクーポンをもらって、いよいよワイナリーへ。
 ぶどう畑が広がっていたが、まだぶどうはお休み中。

静かなぶどう畑


 日の当たるところで、母に待っていてもらって、醸造所を見学。ちょっと酸っぱい香りが下へ行くと和らいだ。ワインになるべく大きな樽とたくさんの瓶の中でお休み中。

発酵がすんだら瓶をつめかえてお店に並ぶ
大きい樽


 ワインの販売所はかわいらしく、私たち5人が入るといっぱいになる。いろいろなワインが試飲できるようになっていた。月と母と私はジュースを試飲させていただく。
 おとさんと父はワインをそれぞれにいろいろと試飲させていただく。 
 私も母にワインをと思って、試飲機のボタンを押す。ん?ワインが出てこない。
 カチッというまで押すんだと教わって、もう一度押して待つ。カチって言ったっけ?ともう一度押した。
 おおー出てきた。いやいやいやいやもういいよ。止まって。全然止まらない。店員さんを呼んで、小さなカップでうけるけど、あっという間にあふれ、新しいカップを出しても間に合わぬ。店員さんも一緒にあたふた。結局ワインが空っぽになり、全部床に広がった。赤ワインだったから、あちこち染まってしまった。申し訳ないことをした。申し訳ないと思いつつ、母に甘口のワインを注いだりして。ごめんなさい。
 申し訳ないので、ワインをたくさん買った。スモークチーズに山葡萄ジュースも。ワイングラスを2ついただいた。宿で飲もうかと思ったけど、全部家に送っていただく。帰ってからのお楽しみ。
 ここから私の運転。萌木の村へ向かう。着いたらちょうど雨がポツポツ。ワインを試飲した父と母は少しうつらうつら。雨だし、車中で待つという。3人でオルゴール博物館へ。最終のオルゴール演奏にかけこむ。
 丁寧な説明の後で貴重なオルゴールが動き出す。美しく厳かな時間。
 閉館間際だったからちょっと急いで見る。手回しオルゴールがとてもいい音色でほしくなった。
 外は傘がいらない程度に雨降り。地ビールをと思ったが、ちょっと離れたところにあるし、肌寒いので、宿でゆっくりしようということになった。
 今年初めてのふきのとうを見つけた。春だねえ。


バイオリンのオルゴール
ふきのとうお初です


 宿はすぐ近くだった。この日は私たちだけ。4つの部屋のうち2つに案内していただく。とても丁寧な案内。月は父と母の部屋へ。
 夕飯までゆっくり。母と私はお風呂の動きのイメージを確認。
 ベッドに柵がないと不安だという母。寝返りがうてないから落ちるわけはないけど、不安はどこからでもやってくる。歩行器を柵代わりに置く。これで安心。
 今度はベッドから立ち上げるのに足が滑るという。お風呂用の滑り止めマットをしく。これで安心。
 お風呂用に滑り止めマットがあったり、トイレも広く、手すりがしっかりついているのでありがたい。トイレがいつも使いにくくて困るのだ。
 月は早速テレビ。
 私たちはちょっとティータイム。薪ストーブがあたたかい。

やわらかなあたたかさ
かわいいカバさん

 くつろいでいると夕飯になった。夕飯はラクレットとポークステーキ、そして父と母にはうな重!!葉が弱いからと、用意してくださっていた。父と母は大喜び。ついでに月も大喜び。やっぱりちょっとちょうだいって言うよね。
 ラクレットはチーズのおかわりもできる。スナップエンドウや舞茸がおいしい。

ポークステーキ
ラクレット      

 三陸産わかめと豆腐の入ったお吸い物もおいしくいただくと、デザート。
 薪ストーブにあたりながら、フローズンヨーグルト。さっぱりしておいしかった。
 宿の方がほどよく話しかけてくださり、父や母も楽しそう。調度品も素敵なので母が喜んだ。
 さてお風呂にと部屋に戻る。もう一度シュミレーションをする。
母が服を脱ぎ、浴槽の縁に座って見たが、足があがらないという。怖いようだ。骨折して入院する前は家のお風呂に同じように入っておたのだけど、骨折して退院した後は、デイサービスのリフト浴ばかりなので、もう自分の力でお風呂に入るのが、怖くなったようだ。
 シャワーで体を洗い、お湯を何度もたっぷりかけてお風呂はおしまい。残念。でも、宿の雰囲気や宿の姉妹の人柄がいいと喜んでくれた。
 月はテレビの前に父と並んで楽しそう。2人は大親友なのだ。
 父と母と月におやすみなさいを言って、部屋でおとさんとワインを飲んだ。すっきりとしたワイン。
 地ビールは飲めなかったけど、けっこう満足してくれていた。運転ありがとう。おやすみなさい。

まるきワイナリーのワイン「いろ」

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