日比野はさめざめと泣いた。実家から電話で「帰ってくるな」と言われたのだ。 しかたないことだ。留年穀潰しのこの俺を愛してくれなど言えるはずがない。 根無し草、もう放浪の旅に出よう。 ふと携帯が鳴り、母からメールが届いた。 「不要な外出も控えること」 母は息子の性格をよく知っていた。