ハンガリーの博物館で茶を点てた際、収蔵まえの茶碗を使わせていただいた。ご夫人が逝かれたあとに師が焼いた黒茶碗で、現地の客にも愛でられていた。それから三年後の暮れ、師も急逝し、茶碗だけがその博物館に今も収蔵されている。願わくば百年おきくらいに蔵からだし、一服点てて欲しいものである。